石浦章一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
歴史の謎からDNAの基礎を学ぶ、文系でも分かるDNA入門書。
歴史と分子生物学の融合により新たなる歴史科学の領域を切り拓く試みでもある。
科学者による曖昧さの無い、明快な文章が心地良い。
遺伝子組み換えの危険(外来遺伝子持ち込みによる変異の危険)の解説により、「遺伝子組み換え」と「ゲノム編集(CAS9の活用)」の違いを理解した。
(同じだと思っていた。。)
本書が出された翌年(2020年)、「ゲノム編集」の業績にノーベル賞が与えられた。
新聞やテレビの解説では腑に落ちない人には、本書第三章の解説は最適だろう。
何よりも、エキサイティングなのは、リチャード三世の遺骨発見と、そのDNA解析によ -
Posted by ブクログ
著者の石浦先生とは、15年ほど前、一度だけですが、仕事でご一緒させていただいたことがあります。
当時は東大の教授をされており、非常にお話の上手な方でした。
ちなみに、当時の、東大教授としての石浦先生の課題意識として、東大の学生の多様性のためにも、地方の優秀な高校生や、女子に、東大に入ってもらいたい、というものがあったようです。
また、その解決のためにいろいろと動いていたそうですが、なかなかうまくいかない、という話を聞かせてくれました。
本書は、現在の石浦先生の課題意識である、日本のサイエンス・リテラシーの向上に向けた提案、といえると思います。
20年ほど前に、ある方から、「日本の理数離れは、 -
Posted by ブクログ
それは誰の遺骨?・・・DNA解析で解明される世界史のミステリー。
・プロローグ 欺かれたシェイクスピア
第1章 駐車場から掘り起こされた遺体
第2章 DNAは知っている
第3章 リチャード3世のDNAが語る「身体改造」の未来
第4章 「ツタンカーメンの母」は誰か?
第5章 「エジプト人」とは何者か?
第6章 ジョージ3世が患っていた病
第7章 ラメセス3世殺人事件
第8章 トーマス・ジェファーソンの子どもたち
さくいん、参考文献有り。
発見されたリチャード3世の遺体。ツタンカーメンの母は誰か?
英国王室の遺伝性疾患。ラムセス3世の死因は?
ジェファーソン大統領の子孫の問題。
そして、日本人やエ -
Posted by ブクログ
これまでの考古学が古文書の解読が中心であったが、本書ではミイラや人骨から取得したDNA解析からの考古学を提唱している。どちらが優れているということではなく、DNA解析の技術が近年急速に発展したことにより、両者からのアプローチの重要性を説いている。
これにより、これまで信じられてきた史実が事実とは異なるという事例も見つかっており、この分野の進展が非常に興味深い。
本書では英国王室とエジプト文明を対象にDNA解析によって、これまで信じられてきた歴史との整合性を調べた結果が報告されている。詳細は本書を読んでいただきたいのだが、これまで信じられてきた歴史が覆されるため、非常に興味深く読むことができた。 -
購入済み
DNAの話だったーーー
初めての石浦章一。読み始めてから検索すると分子生物学者なのですね。こちらは歴史に興味があって購入したわけですが、あちらはDNAの話がしたくて、切り口として歴史を取り上げたというもの。まぁ、うんちくです。
-
Posted by ブクログ
DNA解析の進化により、これまで謎とされてきた歴史上の出来事や人物の実態・実像がかなりの程度明らかにされて来た。それには遺体・ミイラ・骨などの存在が不可欠であって、しかもそれらに有効なDNAが残っていることが絶対条件だ。また、その試料が盗掘者や採取者などによる汚染が無いことも必要条件である。本書では英国王家やエジプト王朝などの歴史上の人物のDNA・遺伝子を調べることによって明らかにされたその過程・結果を主題としているが(評者もそれを目当てに購入したのだが)、実はその半分以上はDNA・遺伝子の(ほぼ)最新の研究成果の説明に当てられている。かなり難解な部分もあるが、これはこれで知的好奇心を満たして