ティムール・ヴェルメシュのレビュー一覧

  • 帰ってきたヒトラー 下

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    再読

    史実通り,ヒトラーは反ユダヤ主義という過激な思想の持ち主ですが,作中では,自らの信念のために無私の奉仕を行う高潔な人物として描かれ,多くの大衆から肯定的に受け止められています.

    彼に反対する勢力ももちろん登場しますが,その批判の方法が卑劣で(事実無根のスキャンダルを流布する,暴力的な言動に訴えるなど),かえってヒトラーの高潔さが際立つ構造となっています.しかし,その構造ゆえに,社会の矛盾や危うさが浮き彫りになる作品であり,その巧妙さには恐ろしささえ感じます.

    人柄の良さや高潔さが,その人物の思想の正しさと必ずしも結びつかないところも皮肉として印象に残ります.

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    2025年08月08日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    ネタバレ

    小説のラスト、映画よりずっと良かったです!(というより、映画のラスト、よくわからんかった。)

    ジョーシ・オーウェルの『動物農場』の終わりを彷彿とさせる「あちゃ〜、ついにここまで来ちゃったか…」という滑稽な描きっぷりなのに絶望感たっぷりな感じ、めっちゃ味があってよかったです。正直、最後どう着地するんだろうとドキドキしてましたが、素晴らしいラストでした。


    ところでヨーロッパって、コメディアンが政治家になること多いですよね。ウクライナのゼレンスキー大統領も元コメディアンだし、イタリアでもグリッロという五ツ星という政党の党首が元コメディアンなのだとか。…まあ、日本にもタレント議員はたくさんいます

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    2025年06月26日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    この本の舞台はドイツであり、ヒトラーがタイムスリップしてくるという内容なのだが、一種の風刺的なものやコメディも含まれており歴史について少しばかりの知識があれば爆笑してしまいます。しかし読み進めていると今まで笑っていた場所は最も恐ろしい場面であったことに気付かされました。この本の内容は独裁者が現れたら少しずつ政権を取るだろうという話です。日本でこそありえるでしょう。

    もう二周して,気づいた話を書きます。我が闘争と合わせて読むとやはり、訳者が同じなのでは?と思うほどには口調や思考がそっくりでした。他にも我が闘争に少ししか触れられていない話もより詳しく書いてありました。他にもヒトラーの仲間の作り方

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    2025年04月27日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    映画ほどダークなオチではなかったが、サヴァツキの姿がゲッペルズに重なって少し不気味だった。 演説の場面は映画で見た方が良い。

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    2025年01月05日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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    映画を見たので原作を読んでみた。映画とは内容がずいぶん異なっている。(サヴァツキは利発な若者ということになっているし) 映画とは違ったオチが待っているのか、下巻が楽しみ。

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    2025年01月05日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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     ヒトラー?あの、アドルフ・ヒトラー!!スリラーかと思いきや、そうでない。現代社会で浦島太郎のような体験をしているようです。現代社会をもし、ヒトラーが体験したとしたら?
     私から、一言二言。電車で読まないほうがいいかもしれません。ヒトラーの皮肉センス、鋭くて笑えました。

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    2024年02月19日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    秀逸なダークユーモア

    ナチスの問題というよりは、現代社会の問題とそれに対する向き合い方がテーマになっている。

    笑えるんだけど笑えないと言った具合。。
    とにかく予想よりも全然面白い。

    社会学などを学んでいる人におすすめできそう。

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    2021年05月05日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    ”悪いことばかりではなかった” 歩き出すのだ。このスローガンとともに。

    扇動家は消えていたわけではなかった。皆それぞれの中に生き続けていた。どこかで求めていたのだろうか。

    最初は笑いものに。そのうち難解な話の中に耳障りのいい言葉を見つけ、共感。その力強さから”自分たちの味方”と認識。悲劇は毎日の不安に内在しているのだろうか。気づいた時には手遅れになっている。。。

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    2020年09月27日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    いや〜面白かった。ずっと読んでられる。
    「暗い過去」だってこんな角度で見てみたい。
    体験してないからこそ「あれはダメ、これは悪」だけでは終わらさないようにというメッセージがあった気がする。ほんとに面白かった、続編希望。

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    2020年05月10日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    最後まで面白かった。

    タイムスリップものSFなわけですが、イデオロギー、プロパガンダ、メディア、ポピュリズムなど、勝手にあれやこれや考えさせられてしまう。それがこの作品の一番すごいところではないか。

    現代に帰ってきたヒトラーがナチズムを繰り出す事で、ただただ困惑する人、ジョークとして消費する人、ジョークとして消費する事すら禁忌であるとする人、ジョークとして扱われる事を嫌悪する人(ナチ)、いつの間にか本気で傾倒していく人、があぶりだされる。これは作者が描くヒトラーの主張にある程度共感できる部分があったり、おかしみを含めてとても魅力的であるからだ。その結果、作品を描く作者、それを読む自分、そし

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    2020年02月01日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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    ※上巻だけを読み終わった気持ちで。
    面白い。という論調で感想を書いてもよいものか、むねがざわつく。
    2011年の「現代」に蘇った総統は技術の進歩に感嘆しつつ社会の腐敗に憤る、ナチズム的に筋が通ったやり方で。一方、周りの人間はこれをメソッドとしてキャラとして消費する。このズレが可笑しみの基本線には違いない。
    ただ、単純なズレだけで処理できない部分が何箇所か出てくる。プーチンや国防大臣の件などはもちろんだが、民主主義のちょっと怪しいところに対する極論など、多少なりとも共感できる部分が出てくる。しかしそれと同時に、ナチズムに共感してしまった自分自身への怖れが現れるから、胸がざわつくざわつく。
    人類史

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    2020年01月22日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    何が笑いを誘うのかというと噛み合わない感じとか、お互いが誤解してしまってる感じか。
    ヒトラーが大した人物だと思うのはホントに自分にストイックでその信念を貫くためにものすごい努力と自制をしているようであること。単なる誇大妄想や私欲というより、ドイツという公に奉仕しようとする気持ちが強いのだな。

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    2019年09月12日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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    ヒトラーが現代に生き返ったらどうなる?という話。ヒトラーのモノローグなんだけど、文体とかヒトラーのものをよく研究している。70年前の人々が現代に現れたら何をどう思うかというのもよく考えている。

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    2019年09月12日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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    ヒトラーがヒトラーの姿のまま現代に甦るので、彼を見た人は彼をコメディアンだと勘違いした。
     ヒトラーになりきった物まね芸人だと。似ているのは当たり前、だって本人だもん。でも誰も本人だとは思っていない。これも当たり前。だから滑稽なのだ。

     そこで、この物語の続編を勝手に想像してみる。
     
     コメディアンとして人気が出てきヒトラーはメディアの寵児となる。彼の威勢の良い演説に感化された人々は、彼の語る未来像に期待を抱き始める。彼の言うことは尤もだ。彼は我々の不満を代弁してくれている。彼を支持する人は瞬く間に増えていった。
     視聴率を稼ぎたいメディアは彼をどんどん登場させる。そしてメディアを味方につ

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    2018年04月20日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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    設定はSF的だが内容は笑いながらも考えさせられる。現代から歴史を見るのが通常であるなら、本書は過去のある視点から現代を見ている。多面的に現代を捉える一助になる。ドイツの細かいことは日本人にはわかりにくい。

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    2017年12月01日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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    ヒトラーといえば冷徹な化け物のような印象だったがこの本では心細さを感じていたり、とにかく人間味がすごかった。当時の人が化け物に投票したのではなく魅力があり強い推進力を持った希望を託せるような人物に投票したという点が理解でき、自分が投票する際も人間的魅力だけに流されないよう気をつけないといけないと思った。

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    2025年08月27日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    ネタバレ

    めっちゃ面白かった。「ヒトラーの言動を笑っていたのがヒトラーと共に笑っている」という評にハッとさせられた。
    授業で習ったような薄い知識しかないのでここは笑いどころなんだろうけどどういう意味だろうというところが多々あった(P201 あれが彼の娘じゃないって)。人名も作中で有名とされている人の名前さえわからなかったので、もっと知識をつけてから再読したい。
    訳者後書きより、著者の意向で注釈がないらしく残念。

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    2025年08月27日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    映画より原作の小説の終わり方の方がリスキーだ。
    ヒトラー礼賛とも歴史終戦義への皮肉とも、どちらにもとらえられるからだ。その人の価値観、教養をあぶり出すリトマス試験紙のような結末だった。

    ヒトラーの実直さには惚れる。しかし、ドイツ国家を思うが故のユダヤ人への排外主義と婚外子や外国人雇用への徹底した合理的思考は怖い。

    世界大戦前とは時代があまりに変わっていることの、ヒトラーの目からみた描写は面白い。しかし、人々の心象に現状への不満が滲む部分は変わらない。政治や文化の部分の劣化は否めないのは物悲しい。

    時代は変わっている。悪く変わっている部分、よく変わっている部分。けれども変わらない部分もある

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    2025年07月27日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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    ヒトラーはベジタリアンで、ドイツとドイツ人のことを真剣に考えていた。その国粋主義の愚かさゆえ、致命的な失敗を犯したのか。下に続く。

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    2025年07月26日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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     結末に賛否両論だろうな、と思いましたが・・・。個人的には、ヒトラーに対して、どこか人間味を感じました。いくら総統といえども、やはり人間、とでもいいましょうか・・・。

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    2024年02月19日