竹内正浩のレビュー一覧
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鉄道路線の不思議な線形。東京-新宿の中央線、新京成など鉄道と軍隊の関係を指摘した楽しい作品。
人の多く住む海岸、勾配も少なく建設費も抑えられるという立場と敵軍の艦砲射撃を恐れる軍部。国内の多くの鉄道で内陸を通るように軍部が強固に主張した線形が各地に見られるようだ。
東北本線の八戸から北、それを避けるべく建設された奥羽本線、それも途中で議決が変わり能代の海岸沿いに。せっかく急勾配を避けた山陽鉄道も三原以東では財政難等から方針変更されセノハチ経由になったり、多くの路線で軍の圧力が働いているという。
日本の鉄道史における軍の影響を指摘した力作。 -
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本書では、東京にあった、旧華族の邸宅を中心に、その変遷をたどる。現存するものもあるが、ごく一部。やはり、戦争が大きな転換期になったようだ。一つは、戦災でお屋敷が焼けてしまったこと。もう一つは、華族制度の廃止だろう。
相続税の強化などもあり、年々お屋敷を維持するのは難しくなってきている。維持管理のコストの高さやセキュリティの面で、今はお屋敷に住みたがる人も減っていそうだ。
現在、大規模な建物が建っているところには、昔から広大な敷地だったところが多い。のだ。昨今は、再開発の手法が高度化しているとはいえ、もともと大きな土地を使うほうが、時間も手間もかからない。
巻頭にはお屋敷地図、巻末には旧華族の邸宅と現在の用途が記されている。身近なエリアを現代と比べながらチェックするのはなかなか楽しい作業だった。 -
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平成と令和の境目のゴールデンウィーク中に読もうと思ったが遅れてしまった。
「旅する天皇」というタイトルがいい。読みたくなる。
その視点で平成天皇を振り返るというのが、ピッタリはまっている感じがして、とても良かった。
激戦地へ足を運び亡くなった人のために祈り、災害地を訪れ、人々を慰め励まし祈る。ハンセン病、水俣病で苦しんだ人々の元へも足を運ぶ。離島へも積極的に訪問される。移民や開拓者の苦労も労う。
それが象徴としての大きな役割とお考えになり、実践されたことに偉大さを感じる。
即位されたのが55歳だったというのを「はじめに」で気づかされ、55歳からでもこれだけの仕事ができるのだ、存在感を残せるのだ、人々を惹きつけられるのだと、畏れ多くも思った。ほんと畏れ多いことだけど、勇気が出た。
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東京の街の歴史的背景
・愛宕山は江戸時代には周囲を見渡す高さを誇り、1925年に始まったラジオ放送のアンテナもここに作られた。また明治5年に始まった測量の三角点の一つも設置された。
・上野公園の清水観音堂、不忍池、弁天堂はそれぞれ京都の清水寺、琵琶湖、竹生島を模している。そもそも江戸の鬼門に設置された「東叡山」寛永寺自体が京都の鬼門鎮護の目的を持つ比叡山延暦寺と対をなしていた。1868年の上野戦争で寛永寺は大伽藍のほとんどを焼失し、その後上野の自然を生かして公園とされた。これが日本で最初の「公園」であり(1873)、上野・浅草・芝・深川・飛鳥山が選ばれた。
・1886年のコレラの流行は東京に近代的な水道を建設するきっかけとなった。また当時の神奈川県西多摩郡の多摩川上流で川に汚物を流したという話が問題になり、三多摩地域の東京への編入を促した。
・荒川の下流部は人工の川であり、1910年の大洪水をきっかけに作られた。右岸の堤防の天端の幅は左岸より広く、都心側を守る意図があった。
・かつて山手線の外側を走る環状線の構想があり、井の頭線の新代田−明大前の折れ曲がりはこの環状線との乗り換えを見越して作られた。
・根津権現の門前の大路の本郷区根津八重垣町にはかつて遊郭が軒を連ねていたが、東京帝国大学の設置に伴い明治21年に洲崎(現在の東陽町)に移転された。 -
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ネタバレ面白い! 地下鉄の話題でずっと引っ張って欲しかった!
都心の地下を走る地下鉄線の断面図が載っていて、地中の高低差が見て取れるのが本書の白眉。
その高低差図を見ながら、開設された歴史的背景、東京都の地形としての制約、そしてそれだけでは説明のつかない謎の存在などが小気味よく紹介される。
丸の内線や銀座線の古い路線の逸話などはたびたび耳にするが、近年新しく延線された路線の話も面白い。電車は駅を出てまず下り、次の駅に向かって登っていくジェットコースター式(すり鉢状のアップダウン)になっている。理由は電気代節約のため。年間15億円の節電効果があるのだから、この手間のかかる施策も侮れない!
本書を片手に地下鉄を乗り回してみたくなる。
本書はシリーズもののようだ。同じタイトルで、地形編、都市の謎編などが出ている。本書は「地価の秘密編」ということで、地下鉄のウンチクの他、地下壕、怨霊、団地の秘密と章が続くが、地下壕以外は必ずしも”地下”に直接関連はない。
関連なくても、明治維新の折、崇徳上皇の怨霊を鎮めるため王政復古の大号令の前に鎮魂の催事が、近代の世にまことしやかに行われたというのは面白い。
団地の話も高度経済成長のあの頃、昭和を懐かしむ意味では興味深い(団地の語源、団地の三種の神器のひとつが内風呂”バランス釜”だった等の話)だが、本書にまとめてしまうのはいかがなものか。これはこれでもっと深堀りの出来るテーマだと思うし、ちょっと惜しい後半の(やや)蛇足部分。