飯野和好のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久保田香里さんは、いつも難しい(資料があまりなさそうな)時代を舞台に子ども向けの小説を書く人だが、これも天然痘のエピメディックが起こっている天平九年(737年)の平城京を舞台にしている。
父は遣唐使となって唐に行ったまま戻らず、母を天然痘で亡くした少年千広が、生き抜く姿を描く。
コロナの流行で疫病を描いた小説が注目されたんだから、これもそうなればいいのに。
虐待されながら藤原家で働く少女宿奈との交流は、傷ついた心を持つもの同士が惹かれ合う切なさに胸が熱くなる。
今のような医療もなく、もちろんワクチンなどもなかった時代、それでも生き延びた人々がいたからこそ、今の私たちがあるのだ。
遣唐使とか平城京とか、歴史の教科書で覚えただけの知識が、この物語を読むことで血肉を伴った人間の営みとして感じられるようになるのも、久保田さんの作品のいいところ。
巻末の研究者の解説もとても良い。