あらすじ
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山を紅葉させるのは、山神の大事な仕事のひとつです。この仕事をスズナ姫がひとりでやりおおせたら山神としての独立をゆるすと、お父さんの山神さまはやくそくしてくれました。小さなスズナ姫にそんなむずかしいことができるわけがないと思ったからです。そうとも知らないスズナ姫は、アマノスズシロという自家用雲(山から山へ空中を自由にうごくためにつかう山神専用の雲)にのって、勇んで、スズナ山にむかいました…。
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目標に向かって挑戦する時の、上手くできるかなという緊張感を思い出しながら読んでいました。スズナ姫にとっては初めてのことばかりだったけれど、冷静に自分の力を発揮することができていてすごいなぁと感心してしまいました。スズナ山に住む生き物たちにとって、良い山神様になれると思います。
Posted by ブクログ
3年生に、図書の時間を6回分使って、まるごと読み聞かせして楽しんだ本。学校や通学路で3年生に会うと、「スズナ姫」のことを話題に出してくる子が多くて、手応えを感じられた。
「先生、明日はスズナ姫の続きを読むんですよね? やったあ!」と声をかけてくる子。「今はモッコウギツネと会ったところまで読んで、これから木の葉染めだよね。スズナ山がどんな色に染まると思う? 秋だから黄色とか赤とかかな? 楽しみ!」と友達と話している子。本を読んでいないときにも、こんなふうに物語を楽しみにしてくれることに感動した。
小さな子ども扱いされて反発するスズナ姫に、子どもたちは自分とのつながりを感じるんだろうな。子ども扱いしてくる父親の山神に立ち向かっていくスズナ姫の姿を、子どもたちは嬉しそうに笑いながら聞いていた。
スズナ姫が、ついに山神に認められてスズナ山をもらい、モッコウギツネが家来として付き添ってくれることになったときの、子どもたちの喜びようといったら…。自然と拍手が起き出して、みんなで嬉しさを分かち合えた。
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父親の山神に屈せず立ち向かっていくパワフルな女の子、スズナ姫が魅力的。呪文を唱えて雨を降らし、スズナ山に虹をかける様子にワクワクするし、モッコウギツネたちと協力して虹から絵の具をとって、山を紅葉させる様子にうっとりする。見事、山を紅葉させて山神に、その力を認めてもらう場面では誇らしい気持ちになれる。
人物や山、雲の名前は、特に話し言葉だと難解に聞こえてつまずいてしまうため、最初に黒板等に書いて紹介しておくと理解しやすい。また、やってみて気づいたけど、子どもたちは、その名前が出てくるのを楽しみにして聞いてくれるようになる。途中には壺の名前を同様に書いておくとよい。
雲呼びの呪文と、雨降らしの呪文は、呪文っぽいフォントで紙に印刷して手渡しておくと、上と同様の効果がある。脇明子さんの『読む力が未来をひらく』では、縮小コピーして結び文にして手渡すというアイデアが紹介されている。余裕があればそうするとよいが、ちょっと大変なので、最低限印刷して手渡すだけでもよいと思う。
読み終わる最終回には、スズナ姫の続きの物語はもちろん、冨安陽子さんの本をずらっと並べて、簡単に触れて紹介しただけで、たくさんの子が手を伸ばしてくれた。
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神様のくらしとか、自然とか、すごいおもしろかった。
スズナひめが、300さいということにびっくりした。神様はとしのとり方とか生活のし方がぜんぜんちがうんだなと思った。雲に乗ったり、モッコウギツネと話したりしてみたい。
オオフクロウは物知りだな。ほかのお話でも、かしこかったり、長老だったりするけど、ぼくはなんだかねむたそうなイメージがある。(小4)
Posted by ブクログ
ただ今、富安陽子さんの作品を読み続けて不思議な物語の楽しさを知る期間中です。
本書は「小さなスズナ姫」シリーズ(新美南吉児童文学賞受賞)の一作目(1996年)で、主人公のスズナ姫こと「喜仙菘姫尊(きせんすずなひめのみこと)」は、喜仙山脈をおさめる山神「喜仙大厳尊(きせんおおいわおのみこと)」の娘で、もうすぐ300歳(人間でいうと6歳くらい)になろうというのに、毎日雲の御殿で留守番をすることに耐えられず早く父親から巣立ちをしたいと感じていた、というように神様が主人公でありながら、まるで人間のような過保護な父と自立心に溢れる娘とのやりとりに思わずクスッとさせられた楽しさは、きっと神様に対する親しみやすさを子どもたちに与えてくれるのだろうと思う。
そんな毎日に飽き飽きしていたスズナ姫は、以前父との散歩で(雲に乗って)見た彼女の名前の元ともなった「スズナ山」を気に入り、ある日、意を決して父に「スズナ山をあたしにちょうだい」と大胆発言をしたものだから、山神さまもびっくりぎょうてん。
そんな軽はずみな発言とも思われたスズナ姫に対して父は、『山をおさめるということは、その山に生きるすべての生き物の命をつかさどるということなんだよ』と説いたのだが、それに対する彼女の返事が『この、わからずやのヒゲおやじ』と、実に豪快であることに小気味良さを感じたことには、その陰で『まだ小さいから』と何度も言われることに、いい加減うんざりしていた思いがあったからであり、しかもそこには、「あたしのことをもっと信用してよ」という繊細なものも潜まれているのが感じ取れたからこそ、私も共感することができて、そこから私はもうすっかりスズナ姫の味方となったのだ。
それならばと父は、「スズナ山の木々の葉を一日で全て紅葉させてみなさい、そうすれば望みを叶えよう」と、彼女に持ち掛けることによって、果たしてスズナ姫はその仕事に成功してひとり立ちできるのかという、物語の読み所も明らかとなったのだが、それを達成するためには様々な困難が待ち受けていたのであった。
飯野和好さんの絵に感じられた素朴な雰囲気は、そのままこのシリーズの世界観を表しているようで、それは喜仙山脈の中に於いて、ささやかながら忘れられない景観が個性的な『まあるい』スズナ山の、全体がしっとりと雑木林に包まれている中、まるで『山が金の王冠をかぶっているような』山の頂き周辺だけは木立が途切れて風草の原っぱが光っていて、更に王冠の頂きには大きなクスノキが枝を広げて優しい木陰を作っている、そんな自然の佇まいには、父が『小さいが、やさしくてうつくしい、いい山だろう?』と、娘の名前をここから取ったことにも肯ける魅力を感じられた。
また、子どもたちを魅了する本書に登場する呪文の一つである「雲呼びの呪文」は、山神さまの乗る雲の名前が機能性重視の「天速雲(あまのはやくも)」に対して、スズナ姫の雲は『天ノスズシロ』=『空とぶダイコン』と、自ら名付けた点に見られる遊び心いっぱいの楽しさにも感じられた彼女の個性は、かつては父である山神さまの家来であったが、今は彼の命令に背いた形となった、ある出来事によって罰を受け続けているモッコウギツネを大将としたキツネたちの気持ちにも良い影響を与えたようで、若さ故の過ちもあったものの、それを補って余りうるほどの豪快さと優しさが同居した彼女自身の魅力にはシリーズものならではの、これからどんな風に成長していくのかといった楽しみも潜まれていたのである。
『からだはちいちゃいが、きもっ玉はでかい。水のようにすましかえっているかと思うと、火の玉みたいにポンとはじけるぞ』
そして、富安さんの物語の素晴らしさの一つとして、これは前回読んだ『空へつづく神話』もそうだったのだが、子どもが大人に感じているモヤモヤ感を代弁してくれることによって、読んでいる子どもたちの、時に誰にも打ち明けられないような繊細で微妙なところにも、彼女の児童書はしっかりと寄り添ってくれる温かさがあり、例えば本書では、『なんでもみとおせる山神さまが、むすめの心の中をみすかせないというのは、まったくふしぎなことです』と、お父さんは内心、一日でスズナ山を紅葉させるのは無理だろうと予想していたことだって、実際にやらせてみたら・・・というように、子どもたちの中にある可能性も不思議なものであることに変わりはない、とても魅力的な扉なのである。
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これは山の神様のお話。
漢字にルビがつく子供向けの本は久しぶりだわーと思いつつ。
富安作品をもっと知りたくて読んでみました。
美しい言葉にあふれていて、
大人もうっとりのファンタジーな世界。
一人前の山神になりたい女のコに課せられたミッションは、
山を紅葉させること。
虹から集めた光の絵の具。
アカネにダイダイ、コガネ色☆
女のコに協力するのはキツネたち。
しっぽに絵の具をひたして山染めに走る。
木々や原っぱが輝く色に変わる様子が
目に浮かぶよう。
いつか自分の子供にも読んであげたいなあと思いました(^^)
Posted by ブクログ
お父さんの山神に一人前と認めてもらうため、一人でスズナ山の紅葉をさせようとがんばるスズナ姫。
葉っぱに色をつけるには、雨を降らせて、虹をかけて、その虹の絵の具で色付けするという。
楽しいそうだ。
親のいうのは、我が子がいくつになっても、「一人前」とは思えないです。
Posted by ブクログ
神様の娘のスズナ姫が、一人前であることを認められるためにがんばる話(適当すぎるあらすじotz)。
姫と神様とのやりとりは、現実の親子っぽくていい感じです。
Posted by ブクログ
☆小さいけれど勇気と行動力は人一倍の山神スズナ姫の物語。
偉大な山神の喜仙大巌尊(きせんおおいわおのみこと)のひとり娘、スズナ姫。
姫は自分と同じ名前の「スズナ山」を長い間おさめる日を夢見ていました。
もうすぐ300歳の誕生日というある日、「誕生日プレゼントは何が良いか」とたずねる大巌尊に、
「スズナ山が欲しい」と勇気を出して言いますが…。
飯野和好さんの画風がいい味出してます。
Posted by ブクログ
山に住む山神様のお話。
お父さんに山神になることを拒否され悲しむこどものスズナ姫。
あるところにお父さんと雲で小さな山を見つけその山の山神になるために絵の具で紅葉させるなど挑戦をした。
山神になれた。
感想 頑張って努力して山神になれたことが素晴らしと思った。おすすめ度60%
Posted by ブクログ
こどもと一緒に読みました。ファンタジーな話で、スズナ姫が気が強くてしっかりもので可愛いです。息子はあまりファンタジーに興味がないので、スズナ姫の髪型やお父さんの髭の話ばかりしていました。
Posted by ブクログ
いつまでも自分を子供扱いする父親への反抗、そして一人前だと行動で証明するスズナ姫。個人的にはいいと思える本だけど、今の子どもに自信を持ってオススメすることは難しい気がする。
Posted by ブクログ
富安陽子は、はじめからシリーズものとして書くと、一冊一冊の内容が物足りなかったり、エピソードの断片を盛り込み過ぎたりする傾向があるように思う。
「いいな」と思う作品は、一冊で完結している作品に多い。
これも、まあ、はじめからシリーズ化するつもりだから、あっさり簡単に話が進んでしまう。だから、これだけじゃ満足できないのよね。
悪くはないけど。
飯野和好の絵はいつも同じであるため、昨日読んだ『あやとり姫』(森山京)とダブってしまう。キャラクターは全然違うのに。