久松達央のレビュー一覧
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内容が勉強になるのはもちろんだが、久松さんの文章・表現が相変わらず面白いなというのが読みながらの感想。
内容としては、第一章、第六章、第七章が特に勉強になった。第一章は「農家はもっと減っていい」の根拠となる数字が書き連ねられていて、全ての農政関係者と赤字兼業農家に読んでほしいと思った。本業収入や年金収入の注入なしでは成り立たない兼業農家モデルは、農業界全体の最適にはつながっていない(一番儲かってるのは機械メーカー?)と常々思っています。第六章も然り。
第七章は、自分が何となく感じている「オーガニック」への違和感がすっきり言語化されたように感じた。思想は人それぞれの自由たけど、これからもっと冷静 -
Posted by ブクログ
ネタバレもっと上から目線の本かと思っていましたが、とても親近感のわく本でした。
憶えておきたい内容をメモしておきます。
・ヒトの1日許容摂取量(ADI)=「仮にある農薬が、関連するすべての農産物に基準値上限まで残留していたとする。それを一生涯にわたって毎日、国民平均の100倍食べ続けたとしても、動物実験で健康に影響が出ない範囲に収まる」
・野菜の味を決める大きな要素=栽培時期(旬)、品種、鮮度
・野菜は自然なものではなく、人が手をかけなければ自然界では生きていけない、いわば植物の奇形
・日本の農家約200万戸のうち7%にすぎない販売金額1,000万円以上の農家による売上が、全生産額の6割を占め -
Posted by ブクログ
脱サラして、オンライン野菜販売の農園を経営している筆者による、現代日本の農業論である。
有機農業だから安全だ、に代表される有機農業の誤解から始まる本書は、ガチガチの農業論かと思いきや、次章から自分の実体験に基づく農業の実態の説明が始まる。
野菜は旬がおいしいなど基本から、筆者の農園経営論まで、幅が広い。独立心の強い新規就農者はこういう農業経営になるだろうな、と思わせるような日本の農業の問題点も指摘している。
地震後の原発事故の風評被害や、行政の就農支援システムの疑問点などにも触れていて、実際に土や野菜と向かい合っているからこその説得力が感じられる。
本書を読むと、日本の農業はまだ潜在 -
Posted by ブクログ
今の農業における問題点や誤解、今後の目指すべき姿などが、具体的な事例を交えて分かりやすく説明されてあり、自分たちの食生活を豊かにするためにも、もっとしっかりとした農業を見る目を養わないといけないと思った。消費者が農業の本当の姿をもっと知ることが、結局は自らが美味しくて安心できる野菜を食べられることにつながるのだから。
日本の農業はまだまだ発展できる余地のある面白い事業分野だと思う。そのためには、過剰な規制や保護など今の時代に合わない事業環境を打破し、正しい生存競争の原理が働くようにならないといけない。昔からのルールを変えることは難しいが、変わらないとますます窮地に追い込まれるこの状況の中で、 -
Posted by ブクログ
タイトル通りの、非常によくできた農業論。
農地という税制上優遇されている環境が、農家の発展を
妨げているという指摘。
旬のものは旬の季節に食べるべし(冬のほうれん草は、おかしい)。
有機でなくても、安全な野菜は作ることができる。
著者自身ストーリーマーケティングと言っているように、
卵一つでも、鶏の姿や生産者の顔が浮かぶようなものを
提供することで、値段以上の価値をあげる、などは見事。
感心した箇所は、今回の震災の放射能問題について。
農業経営者として、風評被害で支持が落ちるようでは
経営者として負け。
個人と個人が、強くつながっている関係を築くべし。
こないだの小ざきの先代社長の言葉 -
Posted by ブクログ
有機農業とは、、、とモヤモヤ思っていたものが言語化されている。分かりやすい。第1~3章は一般人へ、第4~7章は農家としての思い。
「有機農業三つの神話」の勘違い
1、有機だから安全
・適正に農薬を使った普通の農産物”も”同程度に安全
・安全=客観的なもの、安心=主観的なもの
・力を借りるべき生き物を減らしてしまうので農薬を使わない、という選択(安全とか、環境に良いから、ではない)
2、有機だから美味しい
・野菜の味を決める三つの要素=旬、品種、鮮度
3、有機だから環境に良い
・環境保全型農業=有機農業ではない
・有機農業という方法が、”あらゆる側面”において環境負荷が少ない、ということ