橋本武のレビュー一覧
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101歳で亡くなった灘高の国語の先生のエッセイ。
授業は中勘助の銀の匙の一冊を一年間で深く学ぶそのスタイルで注目された方だそう。
結果、生徒の国語力は上がり、学力も上がったとのこと。
学ぶことの楽しみやその学びをより一層深めていく探究心、続けることでの集中力もついたのもあるのではないかな。
著者のいう1つの本を深く読む、心から理解するというやり方は授業でなくても参考なる。
子どもに絵本を読み聞かせをするときも、これなんだろうね?という疑問はきちんと解決し、解決するまでのその手順を教えてあげたいし、本の中の経験を実際に体験することで経験値を積んであげたい。
読書により世界が広がるという -
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『銀の匙』という作品を3年間かけて学んでいくという灘高の橋本先生による授業。生徒たちの分からないことはすべて拾い上げ、みんなで考える。例えば青竹水羊羹が出てくれば、実際に食べてみる。それを食べる際の音の表現がどうしてそうなったのかがそこで初めて分かる。能の話が出てくれば、生徒みんなで観劇に行く。凧揚げの描写が出てくれば、凧を創るところから始め、みんなで飛ばす。そうしてしらみ潰しに分からないを分かるに変えていくと、読んでいるだけでは分からない沢山のことが見えてくる。
ただ試験のために暗記する授業は忘れられていくが、この『銀の匙』の授業は、生徒たちの心に生涯残り、その後の人生の糧となる。
こん -
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臨時休校中で「何か本を読みたいけど、何を読めばいい?」と悩む中学生に推薦します。
「国語の勉強の役に立つから」とかそういう視点じゃなくて、当たり前にとらわれない物の見方とか、物事を広げて考えるということの実例がいっぱい書いてあるから。
第1章では「土曜講座―27年ぶりに教壇に立つ」と題し99歳にしてかつての勤務校で「銀の匙」の特別授業をした様子が描かれているが、もうこの章だけでも一読の価値あり。
冒頭、橋本先生はこう切り出す。
-「『銀の匙』の授業は、傍観するのではなく、入り込んで一緒にやっていく授業です。それは「遊ぶ感覚」です。見ているだけでは面白くない。自分のその中に関わる、参加して、 -
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私が知っている、神戸の私立高校「灘高」は多くの東大合格者を排出する名門高。
そこで先生をしていた人、というのに興味を持って、
本の「はじめに」に書かれている「先生に親しみはあっても、授業の内容がまるで思い出せない」という一節に惹かれて、
この本を読むことにしました。
なんだかうまく書けないので、キーワードを。
熱意、努力、研究研究研究‥、
誤解、悲しみ、
だけど、趣味。
「先生」が憧れられない・尊敬されないということを私は多く聞くけれど、こんな先生、好きにならずにいられない。
型破りといえば型破りだけれど、悪いことたくさんしてたとか、そういうんじゃない。
でも、失礼ながら、聖職者 -
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今年100歳になられた著者の国語の授業方法と、これまでの人生をふりかえった一冊。
こんな先生に出会えば、きっと「国語」というものをもっともっと積極的に学ぶ人が増えるんだろうなと感じた。こういう国語教育の方法は、誰しも理想ではあるけれど、本当にやってきた橋本先生にはだただ感服。
「銀の匙」という一冊をじっくり読み進めること。たまに横道にそれながら、さまざまな知識を一人一人が深めていく。ただ、本を読むだけ、意味を知るだけ、漢字を覚えるだけ、ということではなくて、生徒たちが積極的に「銀の匙」という作品の世界に入っていく方法は本当にすばらしいと思った。
岩波ジュニア新書ということで、とても読みや -
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中勘助さん著『銀の匙』が読むべき良本という情報が頭の中にあり、長年うじうじと先延ばしつつ、やっと読み始めました。少し読んで、夏目漱石の『坊ちゃん』みたいだな、というのが率直な感想でした。『坊ちゃん』を読んだ時もその面白さがわからず、忍耐を重ねて読んだくらいだったので、この本をやはり面白いと思えない自分がいて、どうしたものかと思っていたら、この本の存在を知りました。
灘高で国語の先生をしていた作者が、『銀の匙』だけを使って三年間、現代文の授業をしたというのです。先にこちらを読んだ方が、『銀の匙』の面白さがわかるのではないかと、『銀の匙』はちょっとお休みして、この本を読んでみました。
実 -
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ネタバレ本書は「文庫本1冊を3年間かけて読む」という異例の授業をした、
橋本武先生の思考法が詰まっている一冊である。
なぜそのような授業をしたのか。
そこには先生の101年間の生き方、そして熱い想いが込められていた。
その根底にある考えが「追体験」だ。
人間の人生は限られている。
そのため読書を通じ、他人の人生を追体験することで、
人間性を豊かにしようと先生は考えたのだ。
いろいろな人生観や価値観に触れることで、
自分の人生は豊かになっていく。
さらに面白いと感じた点が、橋本先生のスタンスだ。
「興味に忠実になる」「腑に落ちるまで追及する」「まずは行動する」
これを101歳になってもできる人間を他