森田邦久のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とてもおもしろかった。
これから色々考える際に、新たな選択肢、新たなルートが開通したような感覚。
厳密に定義したりしようとするといずれも無理が出るし、どこかで諦めて、実際に役立つことだけ考えようというプラグマティズムに逆に共感した。
一方で、現実世界(と考えていること)も、モデルの集合や数式で表そうと思えばできるのではないかと考えると、そんなにかかずらうことでもないのかも知れないという緩衝地帯も手に入れることができた気がする。
そんなことまで気にせんでええやんと普段思われることが多い人(つまり私)にとっては、科学哲学はおもしろいと感じるだろうと思った。
「理解」できていない箇所や「知識」にもできなかった箇所はあるが、科学においても、形而上学的信念が、発展(そもそも発展とは何かということはあるにせよ)に寄与するという信念は良いと思った。
もちろん、科学の実際のところや実験の作法、計算等についてはてんで分からないが、科学というものを、人文学的な勘違いで無碍にする必要もなく、ともに共創することも可能と感じた。
余談として、色々な学問分野や関連知識、人とその関係性が何となくでもつかめてくると、色々な本を読んでも、個人的な親近感が湧き、一冊の本を読み進める、読もうと思う良いきっかけになると思う。実際には明確に定義することはできないが、感覚として「開けていく」ところ、その裂け目(付近)にいるように感じる。 -
購入済み
読みやすく深い
なにを見るかでなにが見えるかが決まる。
月や太陽、そして自分自身、すべて原子からできている。さらにその原子を構成するミクロな世界。そこは、観測することによって状態が変わるという、実にデリケートな、そして粒子と波の二重性といった、なんとも摩訶不思議な世界。でも、次元が上の世界からみれば不思議ではないのだとか。
ミクロの物質に関する様々な学者の考え方が紹介され、所々で「ちょっと難しいなぁ」と思いつつも読み進めるうちに、どこかミクロな物質に愛情すら感じてくる。量子力学に興味がある人にはオススメです。 -
Posted by ブクログ
《感想》
覚悟はしていたがやはり難しい。量子力学について多少の知見はあるはずだが、それでも読み解くには普段より多く脳を働かせなければならなかった。しかしながら量子力学の様々な解釈についてきちんとまとめられた書籍は多くないだろうし、歴史的な背景や余談も豊富で充実していたように思う。必要にせまられたら再読するという読み方もありか。売ったりせず本棚には残しておきたい1冊である。
《メモ》
①ある出来事が空間的に十分離れた別の出来事に瞬間的に影響を与えることを「非局所相関」という(エンタングルメントのことか)。
②物理学の基本精神は「なるべく少ない仮定で多くのことを説明する」。
③ド・ブロイは「今まで波だと思われていた光が粒子でもあったのだから、今まで粒子だと思われていた電子が波だったりしてね」と言い出し、その後電子に対して行われた二重スリット実験によって干渉縞が観測された。
④「軌跡解釈」とは、光や電子は粒子だがガイド波と呼ばれる目には見えない波に乗って粒子が動いている、という解釈。「存在論解釈」「因果解釈」「パイロット波解釈」という呼び名もある。
⑤量子力学の哲学における4つの課題と標準的な解釈(コペンハーゲン解釈)
(1)測定前の物理量は確定した値をもつか(実在するか)?
┗標準的な解釈:もたない。もしくは、それについて議論することは無意味。
(2)非局所相関はあるか?
┗標準的な解釈:ある。
(3)射影公理をどう扱うか(状態の収縮をどう扱うか)?
┗標準的な解釈:射影公理を認める。
(4)粒子と波の二重性をどう考えるか?
┗標準的な解釈:粒子と波の二重性を認める。 -
Posted by ブクログ
科学哲学者(そういう人がいるんですね)の筆者が、量子力学の現象の解釈に関する、諸研究について紹介した本。
序盤で、量子力学の標準解釈という、現在実験で確かめられている現象について、世界中である程度の?妥当性が認められている解釈の話が出てきて、その後、その問題点に対し、どういう議論がなされているか、という流れで話が進む。
標準解釈については、読んだら何となく知っていたことが多かったが、そこに問題点があるということは知らなかったし、また、これだけ多くの議論がなされていることも知らなかったので、面白かった。
特に、量子力学というと、測定するまで粒子の物理量が確定しないものだと固定的に捉えてしまっていたが、多世界解釈や、未来からの因果関係を含めて考える理論など、物理量は確定しているという立場もたくさんあることが新鮮だった。
また、実は物理世界は状態が重ね合わされているのが実相で、我々の意識が錯覚しているのだ、という説や、上記の未来の事象に現在の事象の原因を求める説などを知り、所詮、人間の認識などは、ごく限られた範囲にしか及ばないのかもしれない、ということを強く意識させられた。
ただ、難しかった。
前の議論を完全に租借してから次にいかないと、どんどん分からなくなる。
それに、ベクトルとかを懇切丁寧に解説している割に、説明が足りないんじゃないかと思われるところが散見され、新書を読むような一般の読者層をターゲットとしていそうな割に、全体としてちぐはぐな印象を受けた。
ただ、巻末の推薦図書(どれも本書よりも難しそうな感じ)を見て、また唸りながらも量子力学の世界を感じたいという気持ちにさせてくれるのは不思議だった。
次は、もうちょっと腰を据えて読みたいと思った。 -
Posted by ブクログ
そもそも科学って何だっけというところからの出発。比較的平易に伝えようという著者の優しさは伝わってくるが、それでもところどころ議論が難しくてついていけない。が、それはこの本において特に大きな問題ではない。多かれ少なかれ難しい議論への理解には限界があるのであり、むしろそういうなかでどれだけ学べるかが重要なのだ。
という言い訳?を述べつつ、著者の言いたいことは第6章にまとめてあるので、何だか分かった気になれるのは嬉しいものです。
「科学的知識に正当性を与えるのは難しい」(第1~3章)。そしてその科学において実は「合理的な基準などなく、結局のところ、科学と他の知識体系の区別はできないのではないかという疑念」(第4、5章)が生まれた挙句、最後もやはり「科学的知識が正しいとする保証はありません」で締めるあたり、舌足らずだけど、何だかすごいなあという言葉しか出て来ない。
それでもやはり素人的に見て「科学」を大きく特徴づけているのは、というか科学への信頼を担保しているのは、その反証可能性にあるのだと思う。つまり、自分なりに解釈すれば、常にある命題(理論)が間違っているあるいは覆される可能性を確保しているところだ(その反証可能性主義にも批判があるというのだから哲学の議論は奥が深すぎてちょっとついていけない)。
ハイライトは第2章の因果関係の議論から始まり、第3章の量子力学の解釈あたり。原子の位置について、「現在の状態は、過去と未来の両方から決められている可能性がある」という解釈は、何ともロマンがある話だなあと思いました。勉強としての理科(物理)は何だか嫌いだったが、このように講義として聞く分には面白い。 -
Posted by ブクログ
魔眼『リーディングシュタイナー』が疼いたため購入。ページ数は多くないのでわりかしすらすら読める。が、ちゃんと理解できているかと問われたらry
有名な『シュレディンガーの猫』や『多世界解釈』などについて噛み砕いて説明してくれているので、今まで曖昧だった知識が若干強化された感(人に説明できるかどうかは別)。他に光の性質(粒子なのか波なのか)や量子自殺の思考実験、量子ゼノン・パラドクスなど面白い話が沢山ありました。
これらをソラで友人などに語って聴かせることができたらかなり格好良さそう(かなり鬱陶しそう)。
言うまでもなくシュタゲやオルタに影響を受けたクチなのだけど、こういう楽しい話に興味が持てるのだからやはり読み物ゲーはやめられぬぬぬ。 -
Posted by ブクログ
「本書では、量子力学のさまざまな解釈を紹介する。これらはいずれも「解釈」であるから、量子力学が経験的に正しいこと(実験事実をうまく予測したり説明したりすること)を認める。つまり、実験的に確かめることができるものについては、どの解釈も一致しているのだ。それゆえ、どの解釈が正しいのかを実験的に確かめることは、いまのところできない。だから、これは「科学」ではなく「哲学」なのである。(p.7)」
量子力学の非-常識的な性質は、それこそ量子力学が提唱された黎明期において既に指摘されていた。それというのは、本書の副題にあるように、「非実在性・非局所性・粒子と波の二重性」のことである。以降、不可思議な量子の世界を何とか人間が分かる形で言語化しようと様々な「解釈」が考案されてきたが、残念ながら未だ、物理学者や科学哲学者の皆が同意するような解釈には至っていない。
量子力学に対する批判として最も有名なのはEinsteinらによるEPRパラドックスの議論だろうが、量子力学の非-常識さを定量的に表現できたのはBellの定理が最初らしい。本書も、このBellの定理から始まる。
Bellの定理の主張は、「(B1)量子力学系における物理量はいつでも明確な値をもっている (B2)量子力学系において局所的な相関しかない (B3)量子力学は経験的に正しい の三つが同時に満たされることがない(p.120)」というものである。現在の標準的な解釈(コペンハーゲン解釈)は、(B1)と(B2)を諦め、状態の収縮を認める射影公理を導入するというものであるが、この「諦め方」は他にも色々な可能性が考えられる。本書では、その様々な解釈がパターンごとに整理されて紹介されている。名前だけ列挙すると、GRW理論、デコーヒレンス理論、軌跡解釈、多世界解釈、裸の解釈、多精神解釈、単精神解釈、一貫した歴史解釈(多歴史解釈)、様相解釈、交流解釈、時間対称化された量子力学…。こうして改めて並べてみると当然というべきか結構沢山あって驚くが、Bellの定理やKochen-Speckerの定理などのNO-GO定理のために何かを守るためには何かを諦めねばならないので、そこに解釈の「個性」が生じるわけだ。
筆者の一推しが、「時間対称化された量子力学」という解釈である。この解釈によればBellの定理を破ることなく実在性や局所性を守れるので、著者の『アインシュタインvs量子力学』を読んだ時は、どこが悪いのか・なぜもっと支持されないのかが分からなかったのだが、本書では、確かに有力ではありつつ問題点があることも述べられていた。曰く、「ハーディのパラドックス」と呼ばれる状況において、負の確率(みたいなもの)が出てきてしまうそうだ。しかも、それが単なる思考実験にとどまらず、大阪大学の研究チームによって実際の実験として行うことに成功したらしい。この負の確率に対して幾つか説明が提案されてはいるそうだが、取り敢えず留保というのが現状のようだ。負の確率がどのようにして導かれるのか非常に気になるが、本書では数式などは登場しないので分からないのが残念。
新書にしては、とても難解。多分、常識が通用しないために理屈を積み上げていくしか方法がなく、頭がこんがらがってしまうんだろうなぁ。
はじめに
1 量子力学は完全なのか 量子力学のなにが不思議なのか1
2 粒子でもあり波でもある? 量子力学のなにが不思議なのか2
3 不可思議な収縮の謎を解け
4 粒子も波もある
5 世界がたくさん
6 他にもいろいろな解釈がある
7 過去と未来を平等に考えてみる
読書案内
索引 -
Posted by ブクログ
科学的根拠とか科学的説明といったとき、それは客観的に正しい主張であるという意味が含まれていると思います。
物理を学んでいるうちに、物理学は「タダシイ」と思われているらしいけど、正しいってなんだ?と思いこの本を取りました。
僕らはある主張についてそれは科学的か非科学的か日々なんとなく判断しているわけなので、科学的な主張にはなんらかの構造、型があってそれを知っているはずです。するとそれらを具体的に知りたくなるわけです。
そういう期待で読んで、扱っている内容自体はこの期待に沿って書かれていました。
内容ですが、
法則性、因果性、道具主義、量子力学の解釈、パラダイム論等、多岐にわたって「ざっくり」書かれてあります。これだけたくさんの見解を一冊にまとめているわけですのでそれぞれの話題で説明に不満が残るのは当然でしょう。科学哲学の様々な見解を知るためには良い本です。
ある命題について、それが科学的である根拠と同時に科学的とはいえない根拠を提示し、結論としてどちらともいわずに終わる。という感じで繰り返して進んでいきます。読んでいていもやもや感が残る本ですね。
一番興味をそそったのは、エントロピーを切り口に僕達が未来についての記憶を持っていないことを説明を試みているところでした。