池辺葵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ドブ川のほとりのベンチでいつもうたた寝をしている老女。川沿いの、長屋のような安アパートに住んでいる。身寄りはないらしい。
うたた寝の彼女が遊ぶ妄想の世界では、彼女は豪邸に住む四姉妹の長女。ドレスを仕立てたり、ご馳走の食べ過ぎでウエストを気にしたり。現実の彼女の部屋には何もない。ちゃぶ台と数冊の童話。そんな生活を嘆くでもなく日々は淡々と過ぎていき、町の人々もそれぞれの毎日を抱えながら彼女の傍を通り過ぎていくーー。
柔らかな絵で静かに淡々と進む物語。なのに時折り、思いもよらないほど、胸のつぶれるように切ない一コマが挟まれる。これが池辺葵さんだ。
ある夜。老女がいつも口ずさんでいる歌を、同じアパートに住む工員がレコード屋で探してきてターンテーブルに針を落とす。音が筒抜けのその安アパートで、いつもはすれ違うだけの住人たちが皆で耳を澄ましている。工員と老女は、恐らく終生言葉を交わさなかっただろう。それでもここに、こんなに優しい触れ合いがあった。いつか消えてしまっても、そういう夜があったのだと。
他人の人生を、幸せだとか不幸だとか決めることは、出来ない。誰もがただ生きている。私も、皆も、これからも。 -
Posted by ブクログ
「食」についての漫画は数あれど「住」についての漫画はなかなかありません。この「プリンセスメゾン」はオリンピックを控え都市再開発が進むと同時に単身世帯が増加し続ける今の東京を舞台に、さらりとしたやさしい絵で時に心にチクリと鋭く描かれます。
主人公の沼越さんは20代の居酒屋アルバイト。古びたアパートに住みながらもコツコツ貯金をして、いつか「自分次第で手の届く目標」であるマンションを買うために、分譲マンションの物件巡りをするのが趣味。
そんな沼越さん以外にも、たくさんの「住まう人」が出てきます。モデルルーム受付の要さんと阿久津さん、大きな部屋に一人で済む初老のベテラン漫画家、母親を一人地元に残しバリバリ働いている30代の編集者、40代で婚活中の公務員女性……年齢は憶測ですがさまざまな人々がそれぞれの部屋で、自分の「住」を生きています。大きい部屋、小さい部屋、賃貸、持ち家、みなそれぞれですが、彼女たちは日々働いて自分を養い、自分で選んだ住まいに住まう。たとえ胸に寂しさや侘しさをおぼえることがあったとしても、それはしっかりとした、とてもうつくしい生き方ではないかと思うのです。
そして私自身はと言えば、一つ所に縛られるのはまっぴら御免の引越し大好き。もしこの作品を最後まで読んで、考え方が変わったら……面白いな! -
ネタバレ 購入済み
やはり素晴らしい
凄い表現力だなぁ…と毎度この作者には驚かされる。
出版されてる全作品を購読してきたけどこれは特に素晴らしかったです。
シンプルなストーリーですが二人が手を握るシーンと残された少女が心情を吐露するシーンは衝撃でした。
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購入済み
大人にお勧め
穏やかに芯のある、優しいお話です。
世界観が美しく、仕事に人間関係に悩む心をゆったり癒してくれました。
こんなに素敵な世界観を表現できる方の作品に出会えた事が嬉しいです。
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Posted by ブクログ
ネタバレ独り身のオンナには
ちょっと本気で別の危機感と言うか恐怖を感じなくも無いのですが(笑)
万人に薦められるとは言い難いけど、
とても良い作品だと思います。
大きな盛り上がりがあるわけでもなく
画面が華やかでもなく
メジャーな熱い作品ではないけれども、
この作者独特の淡々とした、
しかし厭世的では無い
そんなキャラクター達の小さな世界は心に残る。
私的には、説明しすぎないキャラクターへの描き込み具合が
絶妙に感じましたが
この辺は人それぞれの感じ方ですね。
行間を残すと言うか
想像の余地が心地よいと思います。
読み終わった後
こういう作品がちゃんと雑誌に掲載されるのは
イイコトだなぁと思いました。