タイトルにある"誰も死なないミステリー"が好きなのでタイトル買いしてしまった本。
人の"死の運命"が見える遠見志緒と佐藤くんが死の運命を回避しようとする物語。字面で見ると壮大だが、あくまでミステリーの延長線。"死の運命"が見えてしまい、ミステリーであれば、殺人事件などに発展するような話をいかに人を死なせずにするか、という感じ。
大きく二部構成となっており、1部はプロローグとして、遠見志緒の能力とそれをどのように解決に導くかを短くまとめた話。
2部がメインで、同時に死の運命が見えた4人と共に無人島にいくという話。
2部はアガサクリスティのそして誰もいなくったをオマージュしており、本書の中でもそのような話が登場する。
能力はいいとして、さらっと無人島が用意出来たり、終盤の推理パートでは全員がおとなしく全員の話を聞くような不自然な状況だったり、よくよく考えると違和感を覚える箇所があるが、全体を通しては読みやすく面白かった。
罪と罰がテーマとなっていて、意外と考えさせられる。
登場人物それぞれがそれぞれに自身の罪と罰について考えていて、どうすれば償えるのか、もしくは償えないのかということを葛藤している。
誰も死なないミステリーとして誰も殺さず殺されず、全員が救われるというのが一つの答えなのだろう。
武藤一歩の正体は最後まで分からなかった。わかりやすく伏線が張ってあったのに気づかなかったので、判明した時には一定のカタルシスが得られて心地よかった。
また、エピローグには武藤一歩のシーンや、遠見志緒と佐藤くんの出会いのシーンが記載されていてわだかまりもなくすっきり終えていることも高評価。