井上悠宇のレビュー一覧
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幼い頃、目の前で母親を失ったショックで当時の記憶がない主人公は、ある日かつて暮らしていた"予言館"への招待を受ける。
事件現場である予言館に霊能力者を集め、未解決事件を解く。そんな趣向で集められた主人公と霊能力者たちの前で、たしかに心霊現象が起こり─
かなり好きなタイプのミステリ!
本格度が高いかと問われるとそうでもないとは思うけれど、なにをもって真実とするか、なにを真実としたいか、を見定めて解きほぐす過程には確かにロジックがあり、導き出された答えの寂しさも"物語"らしくて良い。
霊能力者たちのキャラもよく爽やかさがある。
あと相馬夫婦が好きなタイプの男女夫婦で笑顔になりました。
井上悠宇は「不実在探偵の推理」もおもしろくてシリーズ化しないかなと思ってるけどこちらもシリーズ化に向いてそう。 -
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ネタバレ井上悠宇『誰も死なないミステリーを君に』は、ミステリーというジャンルに対する誠実な問いかけから始まる作品だ。人はなぜ謎を解き、なぜ死を描くのか――その根源的な疑問に対し、本作は「誰も死なない」という大胆な前提を掲げることで、静かに、しかし力強く応答してくる。
死の予兆が見えるという特異な設定は、単なるギミックにとどまらず、登場人物たちの選択と覚悟を浮き彫りにする装置として機能している。事件を“解決する”ことよりも、“誰かを救う”ことに重心を置いた推理は、読者にミステリーの本質を改めて考えさせる。謎が解けた瞬間のカタルシスだけでなく、そこに至る過程の切実さが胸に残る構成だ。
また、登場人物たちの関係性は丁寧に描かれており、軽妙なやり取りの奥に、互いを思いやる確かな感情が息づいている。だからこそ、物語が進むにつれて読者は「真相」だけでなく、「この結末を迎えてほしい」と自然に願うようになる。その感情の誘導が非常に巧みで、読後には静かな余韻が長く残る。
本作は、血や死の衝撃に頼らずとも、ミステリーはここまで深く、人の心に迫れるのだと証明してみせる一冊だ。謎を解くことの意味、生き延びることの価値、そして誰かの未来を信じることの尊さ――それらが重なり合い、穏やかでありながら確かな重量をもった読書体験を与えてくれる。
読み終えたあと、タイトルの言葉が決して綺麗事ではなかったと、静かに実感させられる作品である。 -
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主人公、現(うつつ)は大学生。
叔父さんは刑事の百鬼広海(通称オニさん)。オニさんは相棒の女性刑事烏丸とともに事件の捜査に当たる。そこで出会った謎に現は関わっていく。
章がが4つあるため、比較的読みやすい印象。
タイトルにもある主人公は透明なダイス。その数字の目で「はい」「いいえ」「分からない」などを答える。今は結構メジャーになった水平思考クイズをいち早く小説に落とし込んだ作品。(あ、でも2023年発行なんでいち早くという程でもないか……)
トリカブトの服毒死、宗教のモチーフの血涙、そして誘拐と殺人。それらを通して主人公とダイス(命名アリス)について考えさせられるストーリー。
こうじゃないかと、ミステリー好きなら予想するようなことは烏丸が問いアリスが「いいえ」と言われるようなこともあり、ならどういうことだ?と一緒になって謎解きができる感覚がある。
まだ調べてないがこのシリーズはこれで終わりなのかな?続きそうな感じなので、また調べて読んでみようと思う -
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自殺した先輩が残したファイルのパスワードを探すお話
内海夕凪は生まれつき心臓にあなが空いていて、平静な生活を心がけていた
そんな中、高校の図書室で人間失格を読んでいて出会った先輩 葛城才華
「物語に殺されることってあると思う?」と問われた事をきっかけに二人は親友となる
しかし、夏休み明けに才華は前触れもなく自殺してしまう
悲嘆に暮れる夕凪の元に、才華からのSDカードが届く
SDカードカードには「この物語の作者の名前」と「私と彼の罪」というパスワードのかかった2つのファイルが格納されていた
才華の突然の死と関係があると考えた夕凪は、思い当たる単語を入力するが、パスワードは違う
パスワードを解くため、才華が所属していた文芸部に話しを聞きにいくが……
部員たちは曲者揃いで、「読むと死ぬ」と噂される物語を読んだからだと主張する女生徒、パスワードを探す事に協力するので解けたら中身を読ませて欲しいという男子生徒、中身が才華の書いた物語であるならば部誌に掲載したいという部長等々
人は物語で殺されることがあるのか?
生前の才華との会話を気に留めながら彼女の死の真相を探る夕凪のお話
表紙の印象から、ファンタジー要素を含む百合モノかと思ったけど違った
あくまで現実的な、彼女は何故死んだか?が描かれている
真相らしき状況は判明するけど、自殺が「そんな理由で?」と思ってしまう
でも、才華とはそんな人だったのだろうなとも思う
ジュブナイル小説らしい、思春期の青臭さを感じる
だが、それがいい
「あなたが犯人だったらよかったのに」というタイトル
作中で2度の回収があるけど、やはり解釈としては後半の方なのでしょうね
確かに、才華が犯人だったらよかったかもね
読後感もそう悪いものではない
夕凪の将来に希望が持てる終わり方になってる
とても良かった事を前提に
途中で登場する卒業生の作家さん
意味ありげなこと言っていたので、もっと絡んでくるかと思ったけど、伏線ではなかったようだ
「呪い」の仕組みはそう
母親の呪いという匂わせもあったけど、実際に心臓にあながあるのだろうな
それにしても、そこまで酷い教師が高校にいるか?
ブチギレて職員室に帰るのは小学生の教師までじゃね?
いや、むしろ高校だからこそそんな教師も存在し得るのかも?
夕凪が学内の噂というか情報に疎すぎる
病弱という設定の影響もあるのだろうけどね
一番のツッコミどころ
ローカルファイルのzipパスなんてツールで一発だぜ(笑)
作中のファイルなら、多分英文字小文字のみだろうし、そう時間もかからなそう
桁数も少ないしね
と思ってしまうのは野暮なのでしょうなぁ
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あなたは殺されたの? 自殺したの?『人間失格』がきっかけで知り合った夕凪と才華の、青春の罪と罰を描いた切なすぎる学園小説
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ネタバレやわらかなイラストとは裏腹にドキッとするタイトル。
最後まで読み終えて、ああ犯人だったら本当によかったのに。そう思いました。
犯人だったら罪をきちんと償って、才華は生きることができたかもしれない。
しかし犯人にはなれない。人の命を奪ってしまったのに。自分は人の道を外れてしまった。その心から自殺を選んでしまう。
その傍ら、夕凪には生きる希望を与えた。
自らを人間失格だという夕凪へ、あなたが幸せに生きることが望みだと、そう願いを伝えた。
最初から香坂先生がいなければ、なんて思ってしまうくらい優しさに才華と夕凪の日常をもっとみていたかった。