黒井千次のレビュー一覧
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ネタバレ働く職場(日本全国、時に欧米など)から退場し、地域社会に登場、年齢と共に生きる場所、行動範囲、使う言語・言葉を大きく変えて生きていますw。本を持ち歩く癖は学生時代から変わっていません。これまでの人生の節目は、大学の選択、結婚、定年です。黒井千次さん(1932年生まれで、五木寛之さんと同年生まれ)の「生きるということ」(2013.4)を再読しました。社会は狭く、家庭は広いという言葉に納得している現在です(^-^) また、ラジオは地味だけど心優しい暮らしの同伴者という言葉にも同感です!
今思うと、50代半ば頃が折り返し点だった気がします。国家・社会・家族への視点から、自分自身をみつめる視点にw -
Posted by ブクログ
老いのかたちは白骨死体、手厚く箪笥の中や床下に入れられたり庭に埋められたり、離れたくないと身近に置いて、死んだことにはしたくないと死亡通知を出さず代わりに老齢年金いただかれちゃったりして・・・。
彼奴らにとってはした金でも私たちには大事な虎の子を、社会保険庁(現・日本年金機構)のウジ虫どもが寄ってたかって使い倒して出るか出ないかわからないようにしてしまった、いってみれば国家的詐欺とでもいうしかないような代物にしてしまったわけですが、そういうとんでもない現実が待っている未来の≪老い≫という、いずれ私たちにも到来する重要なテーマは、今からでも決して早すぎはしない、否、ひょっとして最大の問題性をか -
Posted by ブクログ
人間って、年老いると、こんなに「老い」のことばかり思い続けるものなのか?
私は、私に関することはとてもよく考えます。
でも、「中年女性」だったり、「オバサン」だったりする自分の属性について考えることはまず、ありません。
だから、この本、エッセイ56本すべて「老い」をテーマに貫いていることに、驚きを覚えました。
その驚きは、感動ではなくて、「ああ、やっかいだな」というため息が混じる種類の感情で、「あきれる」に近いのでしょうか。
もちろん、「老い」をテーマにした本なのだから、最初から最後まで、老いのことばかりで間違いはありません。
でも、黒井千次さんですよ。
一人の老人以前に、一人の大御所作家 -
Posted by ブクログ
後藤明生。今だと完全にクズ扱いされる男性像だけど、この当時はまるで問題視されない「モテ自慢」の域だったのかと驚愕。そんなに昔ではないのに。
黒井千次。多人数視点の現代的な構成だが、いかにも小説的な登場人物の行動の突飛さにやや違和感を覚えるのはやはり時間の為せる技か。
阿部昭。私小説風だけど障害者の兄弟など現代にも通じるテーマを扱っていて、本書の中では一番印象的。
坂上弘。阿部昭にも通じる家族の葛藤を扱うが、近親相姦的な描写が生理的に無理。
古井由吉。現代的な視点でみると一番の問題作ではないか?男性作家による「女性」という主題の扱いがとにかく難しくなったと痛感する。