黒井千次のレビュー一覧

  • 漫画 働くということ(1)

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    この本は読む者にとって自己探求の旅になるかもしれません。与えられた仕事が自分のものになる瞬間や、会社の一部としてではなく、自らの職業人としての存在を感じることができる瞬間について問いかけます。また、仕事を通じて自己を確かめ、再確認することができるのか、といった疑問も提示されます。この本は、読者にとって自己と仕事の関係を見つめ直し、再確認するきっかけとなるかもしれません。

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    2024年05月11日
  • P+D BOOKS 黄金の樹

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    中盤で明史と木賊がザインとゾルレンについて話し合い、「とにかく、切実なものだけが切実なんだよな。」「同義反復には、常に多少の真実が含まれているからな。」というやり取りが印象的だった。
    全体としては棗がやや虫が良すぎるのではと感じたが、それは終始主人公の明史にも言えるし、その我儘さや苦悩こそが青春の色なんだなとも感じ腑に落ちた。
    前作の『春の道標』に引き続き、とても楽しく読むことができた。

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    2023年03月28日
  • P+D BOOKS 春の道標

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    ネタバレ

    思春期の恋のどうしようもなさを克明に描いた作品。
    特に今まで自分が送った手紙がすべて返送されるシーンは苦しかった。

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    2023年01月30日
  • 老いのゆくえ

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    これはまだ中年のうちに出会えて良かった本である。とにかく「老いる」とはどのようなことか、老いる人自身の主観的な目で懇切丁寧に描いて教えてくれる本はなかなか無いように思う。転ぶこと、体が動かなくなること、ものを忘れること、客観的には理解しているつもりのこれらの老化現象が、その人自身にはどう捉えられているのか、自分を客観的に捉える目線も含めてユーモアたっぷりに伝えてくれている。

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    2021年10月02日
  • 老いのゆくえ

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    中年のネタに共感するのとは違って、85歳の高齢の方の本は驚きと発見の連続でした。
    終活本的ハウツーと違って、リアルに「老い」を考えさせられました。

    坂道を降りるときは前につんのめって、しゃがむと立ち上がれなくなって、ひっくり返ると起き上がれない、、、、。

    読みながら、家の中や近所の段差や坂を思い浮かべて考えてしまいました。

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    2019年08月21日
  • 漫画 働くということ(1)

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    労働の本質は自己表現への欲求だという。
    働くことを通して自分を現す、働けることの何と素晴らしいことか。

    「実社会に出る者は、その時になって初めて働く親の姿に出会う」
    まったくその通り。

    鬱々している社員へのプレゼント本。
    彼の読後に語り合いたい。

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    2019年02月20日
  • 生きるということ

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    ネタバレ

     働く職場(日本全国、時に欧米など)から退場し、地域社会に登場、年齢と共に生きる場所、行動範囲、使う言語・言葉を大きく変えて生きていますw。本を持ち歩く癖は学生時代から変わっていません。これまでの人生の節目は、大学の選択、結婚、定年です。黒井千次さん(1932年生まれで、五木寛之さんと同年生まれ)の「生きるということ」(2013.4)を再読しました。社会は狭く、家庭は広いという言葉に納得している現在です(^-^) また、ラジオは地味だけど心優しい暮らしの同伴者という言葉にも同感です!
     今思うと、50代半ば頃が折り返し点だった気がします。国家・社会・家族への視点から、自分自身をみつめる視点にw

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    2018年03月20日
  • 老いのかたち

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    昭和7年生まれ、黒井千次さんの「老いのかたち」、2010.4発行です。読売新聞夕刊に連載の「時のかくれん坊」を書籍化した作品です。「時のかくれん坊」、今も続いてますよね!?①いつの間にか、「老化」の代わりに「加齢」という言葉が。確かにw。「敗戦」を「終戦」というがごとしでしょうか・・・。②活力が乏しく、スピード感に欠け、持久力も弱く、単独生活にやや困難が伴う・・・、病と老いはよく似てる③大きな違いは、病は相対的で治癒により脱出可能、老いは絶対的で逃れる術無し④でも、「子供心」は永遠に持続~(^-^)

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    2017年01月20日
  • 老いのかたち

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    老いのかたちは白骨死体、手厚く箪笥の中や床下に入れられたり庭に埋められたり、離れたくないと身近に置いて、死んだことにはしたくないと死亡通知を出さず代わりに老齢年金いただかれちゃったりして・・・。

    彼奴らにとってはした金でも私たちには大事な虎の子を、社会保険庁(現・日本年金機構)のウジ虫どもが寄ってたかって使い倒して出るか出ないかわからないようにしてしまった、いってみれば国家的詐欺とでもいうしかないような代物にしてしまったわけですが、そういうとんでもない現実が待っている未来の≪老い≫という、いずれ私たちにも到来する重要なテーマは、今からでも決して早すぎはしない、否、ひょっとして最大の問題性をか

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    2011年08月03日
  • 老いのかたち

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    人間って、年老いると、こんなに「老い」のことばかり思い続けるものなのか?

    私は、私に関することはとてもよく考えます。
    でも、「中年女性」だったり、「オバサン」だったりする自分の属性について考えることはまず、ありません。

    だから、この本、エッセイ56本すべて「老い」をテーマに貫いていることに、驚きを覚えました。
    その驚きは、感動ではなくて、「ああ、やっかいだな」というため息が混じる種類の感情で、「あきれる」に近いのでしょうか。
    もちろん、「老い」をテーマにした本なのだから、最初から最後まで、老いのことばかりで間違いはありません。
    でも、黒井千次さんですよ。
    一人の老人以前に、一人の大御所作家

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    2010年06月11日
  • 老いの深み

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    ネタバレ

    80代から90代に足を踏み入れた作家の日常がかかれている。
    父と同世代の人の事が少しだけ理解できた気がする。

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    2024年11月14日
  • 老いの深み

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    ネタバレ

    著者の「老い」のシリーズがあるのを新聞の書評欄で知った。とりあえず最新のものから読んでみることにしたのは90台の親と暮らしているので少しでも理解の助けになればと思ったからだ。さながら老いの実況中継のような筆致で描かれていて面白かった。夕刊紙に月一回の掲載という形式なので同じエピソードがたびたび繰り返されるのは仕方ないのだろう。それも含めての老いの姿ということなのか。更に前の年代のものも読んでみようと思う。

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    2024年11月03日
  • 老いのゆくえ

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    人はみな老いてゆく。その中で、周りからよく耳にする自らの変化は、同年代からもたらされることが多い。そのため、この先、どんなことになってゆくのか?に関しては、座して待ちながら体験し、同世代とまたも共有してゆくことになる。この本では、多くの読者から見れば大先輩にあたる人物が語る生身に起こる様々なことを、率直に述べられていて、老いの予習にもってこいの良書である。

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    2023年08月15日
  • 「内向の世代」初期作品アンソロジー

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    後藤明生。今だと完全にクズ扱いされる男性像だけど、この当時はまるで問題視されない「モテ自慢」の域だったのかと驚愕。そんなに昔ではないのに。
    黒井千次。多人数視点の現代的な構成だが、いかにも小説的な登場人物の行動の突飛さにやや違和感を覚えるのはやはり時間の為せる技か。
    阿部昭。私小説風だけど障害者の兄弟など現代にも通じるテーマを扱っていて、本書の中では一番印象的。
    坂上弘。阿部昭にも通じる家族の葛藤を扱うが、近親相姦的な描写が生理的に無理。
    古井由吉。現代的な視点でみると一番の問題作ではないか?男性作家による「女性」という主題の扱いがとにかく難しくなったと痛感する。


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    2023年03月10日
  • 一日 夢の柵

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    独立した12の短編集。
    表題『夢の柵』は、老境に差し掛かる人間の滑稽と恐怖が生々しく、出色の一作。
    他作も少し怖い物が多く、氏の当時の心理が分かる。

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    2022年12月05日
  • たまらん坂 武蔵野短篇集

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    各篇、抒情と武蔵野の空気感で楽しめた。
    中年男性の下心や期待が多くを占めるが、当時の作者の内面を間違いなく反映しているようで、興味深い。

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    2022年11月14日
  • 群棲

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    通路を挟んだ4軒1画の日常を12個に切り分けた連作形式だが、来客側の話など効果的に外からの視点が入り面白い。
    “ドラマなきドラマ”と作者もあとがきで述べている通り特に構築的な展開はないが、当時の区画整理された住宅街の、干渉し合うねっとりした空気がよく描かれていて楽しめた。

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    2022年11月09日
  • 時間

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    元サラリーマン、ロジカルで透徹したお堅い文体だがそれがとても良く、労働の観念を主題とした作品群も何気に新鮮。内向の世代に挙げられつつも、彼の表現するイメージは伝わりやすいなと感じた。前のめりに継読。

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    2022年10月20日
  • 群棲

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    ネタバレ

    一軒くらい平穏な家族があったっていいじゃないかと思う。
    連作集であるがひとつひとつの短編として読んだときには家族の中に潜む不穏というところで終われる。しかしこれが連作集であることで各家族のその後が否おうにも見えてしまい、都市居住者というのはこんなに家庭が崩壊しているのにもかかわらずそこで暮らさなくてはならないというあてどない闇を見てしまった気がする。明るい不穏で終わらせてくれないところにこの話のメッセージ性や作者の意図がつまってるのだろうなと思った。
    これが現実か.....うう。

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    2021年05月19日
  • 老いのゆくえ

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    黒井千次さん「老いのゆくえ」、2019.6発行、85歳の頃の作品(エッセイ)です。60、65、75、そして85歳、新たな区切り、「ホントカヨ」といった心境だそうです。私は今年71、まだそれほどには老いを感じていませんが、これから先、ある日突然どどっとやってくるのか・・・、それともじわじわ忍び寄ってくるのか・・・、いずれにせよ、真正面から受け止めていく気持ちでいますw。まさに、著者が仰っている「人は自らにふさわしい老い方をするより他にはない」だと思います。

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    2020年02月23日