遠藤彩見のレビュー一覧
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ネタバレ「給食のおにいさん」シリーズの著者が描く、これまた料理や食事を題材にした短編集。どの作品も主人公に共感できるし、落ちにちょっぴりひねりが(スパイスが?)効いている作品が多くて面白いです。
特に冒頭の「食えない女」は、タイトルが上手いしオチは秀逸だし、主人公の苦悩がよ〜く伝わってくるしで、のっけから強烈な“掴み”で読む意欲を強く刺激させられます。
続く「七味さん」「さじかげん」は問題をどう解決するかが気になり、「味気ない人生」は306号室のDQNに悩まされる主人公に激しく同情。「ままごと」は由奈の行動の気味悪さがサイコホラーっぽく、でも結末はハートウォーミングなそれ。ラストの「キャバクラの台 -
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ネタバレ「卒業」で大団円を迎えたと思っていたので、まさかの続編に驚き。
舞台はミッション系の女子中学。気難しい年代の女子を相手に佐々目も毛利も手を焼きます。三巻までの小学生よりも、反抗的な上に妙な連帯感を持っているので、ときに理不尽に思えるほどの仕打ちの数々にやや気が滅入ります。
それでも状況を打開しようと試行錯誤する佐々目……という構成はこれまでと同じで、綺麗に完結したと思われたのに、続きを書く必要あったのかな? と疑問に思ったりしました。
ただ、中学女子だからこその悩みや「異食症」という聞きなれない事例という要素に触れることができた点はよかったです。佐々目ではなく、新キャラによる新シリーズと -
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シリーズもすでに5冊目。
給食は子供社会を映す鏡。
5冊も出る、ということは、それだけこの社会の抱える問題が多い、ということ。
その問題のうち、今回佐々目が立ち向かうのは「しるし」。
そして「カトレア」。
「カトレア」とは、舞台となっている白蘭女子学院中学校に中学から受験して入った外部生のこと。
幼稚園、小学校からの内部進学生は温室育ちの蘭、カトレアは同じ蘭でも外でも育つもの。
それを自嘲してか、誇りに思ってか、「カトレア」の隠語が飛び交う。
いじめをしているわけではない。
しかし異質な存在であるせいで周囲に溶け込めない生徒たち。
彼女たちが今回の物語の核となる。
加えて、残債についても話 -
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給食シリーズ第五弾。
小学校の生徒たちの悲しみや寂しさも胸が痛かったが、
中学生の、しかも女生徒たちの悲しみや怒りは
気持ちがひりひりする。
物理的に肉体的には欠乏したことのない女の子たち、
それは十分幸せなことのはずなのに、
なぜか女の子たちは、それで満たされるとは限らない。
そして、物理的でない分、より問題は根深い。
大人になれば、
自分の持っていたもの、与えられたもの、
持てなかったもの奪われたものに、
客観的になれる。
自分と距離を置いて、
幸せだったのか、幸せなのか、幸せになるためには何が必要なのかを知ることになる。
いや、正しくは、客観的になれた時に大人となる、かな。
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夢を叶えるためホテルで働き始めた宗だったが、一流の味を学校に提供する「ホテル給食」課に配属される。渋々向かった女子校で彼を待っていたのは、舌の肥えた我がままなお嬢様ばかり。豪華な給食にも「太る!」と全く手をつけない。元給食のお兄さんのプライドに懸けて、宗は彼女達のお腹を心を満たすことができるのか。大人気シリーズ、第四弾!
前作の終わりが、給食のおにいさんを卒業してホテルで働き始めることになる!だったので、
せっかく今まで面白かったのに卒業して
今度はホテルの話になるのかな、と思っていたが、
ホテル給食とは!そうきたか。
今度の舞台はお嬢様学校。
新たなキャラクターも出てくるけど、
や -
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シリーズ3作目の中でこの「卒業」が一番好きな物語となった。
佐々目も言っているけれど、「栄養は食べる人の中に残る。栄養は、体になって。気持ちは、思い出になって」。
毎日、親がご飯を作ってくれるのは当たり前だと思ってきた。
朝早くに起きてお弁当を作ってくれても、それも当たり前だと思ってきた。
だけど、その中にはきっと「健康でいてほしい」という願いが込められていたのだと気づいた。
いま、自分が作る側になってあらためて思う。
食べる人のことを考えて作る料理は楽しいと。
いつか、自分の家族がまた給食のお世話になることもあるだろう。
そんなとき、身勝手な振る舞いをするような子供にはなってほしくない。
料 -
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佐々目のように勤務先の学校で給食を作るものを自校方式というらしい。
ずっとセンター方式の給食だったので、佐々目たちが給食を作る場面は珍しくて新鮮だった。
自分たちが食べる給食を少しだけでも見ることが出来るなんて、とてもワクワクするだろうな・・・と思う。
小学校を舞台にしているので、食生活自体が子供たちの生活に直接影響してくる。
大人と違って自分自身でどうにかなるものではないし。
給食委員会への嫌がらせにもちゃんと理由がある。
食事のときの「いただきます」や「ごちそうさま」にまで文句を言う保護者にも、きちんと対応しなくてはならない。
考えることが多すぎて、佐々目をはじめとして学校側も大変だなと思 -
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始めは全然面白く感じなかったけど、1度引き込まれ始めたら読み終わるのが嫌でゆっくり読もうとしてしまうほど。
・蒜泥黄瓜(スアンニーホアグア)
キュウリは皮をむいて乱切り。沸騰したお湯で二分ほどさっと湯通しして、水にさらす。キュウリ1本に対して塩一つまみとごま油1たらし、おろしニンニク少々で和えて冷やす
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コンクールで優勝するほどの腕をもちながら、給食調理員として働くことになった料理人の宗。子供嫌いな彼を待っていたのは、保健室登校生や太ってしまった人気子役など問題を抱える生徒ばかり。さらにモンスターペラレントまで現れて。大人になりきれない料理人は給食で子供たちを救えるか? 笑いと感動そ -
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とうとう「給食のおにいさん」が卒業する。
佐々目はホテルでのアルバイトを始め、昼は小学校、夜はホテルと一日中、夢のために必死で働く。
しかし世の中は生易しいものではない。
卒業にいたるまでにはまだまだ困難が続く。
これが佐々目の、「給食のおにいさん」としての最後の仕事となってしまうのか?!
いきなり大問題発生!
調理場には佐々目一人。
ええ?インフルエンザ?どうすんのこれ?
このピンチを切り抜けるには小学校のみんなの協力が不可欠だ。
そして続く問題はキレる子供、藍。
これは体の中でバランスが取れていないからだ、と由比先生は言う。
しかし藍に関しては、食べ物のバランスが取れていないから、心の -
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元一流シェフの「給食のおにいさん」、佐々目。
子供たちや教職員と関わることで 給食はただの昼飯ではないと感じるようになる。
給食を通して人とかかわり、誰かのためになっている、と、やりがいを見い出すようになったのだ!
さて、彼の2年目は果たしてどんな一年になるのだろうか?
春は意見交換会で保護者に反発する。
「いただきます、ごちそうさまを言わせられる」
「お絵かきが好きだから余ったパンにマジックで絵を描いているだけなのにそれを叱られる」
この苦情に対して正面突破するな、正論で向かうな、なんて?!
佐々目は言う。
正論を吐く人間が一人くらいいなきゃ!
そうだ、頑張れ佐々目!
そして、ナイトキッズ -
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給食のおにいさんとして働いて1年半。
自分の店を持つという夢に近づけない日々を送る佐々目は焦っていた。
そんな中、学校では給食の時間にいじめが起こり…
どんな店でもいいから、資金を稼ぐために働きたいと迷う佐々目だったが、自分のこだわりを捨てきれず、迷っていた。
そんな佐々目に、保健室教諭の由比先生と、給食職員の毛利が手料理をご馳走する。
2人ともそれぞれの悩みを抱えているのに…
その強さに打たれて、自分のこだわりを大事にしようと決意する。
「かっこいいところを見ていてくれる人は必ずいる。」
給食マナー教室での佐々目の言葉は、いじめられている麻耶や、人前に立つ勇気の出なかった元子役の美玲の行