田中美知太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
法学部生は必読。たとえ法曹志望でなくても本書は一度くらいは目を通しておくべき基礎古典だ。ソクラテスの問答法がいかなるものかがよくわかる。と同時に彼の人生哲学の真髄がどういったものであったかということも知ることになるだろう。
さて、今日誰もが認めるようにソクラテスは偉大な賢人で、真の哲学者であった。にもかかわらず、裁判の結果、処刑されることになる。なぜかというと現状に満足している多くの人にとって強烈な毒薬であったからである。「君は、疑いで人の心をしびれさせる電気鰻に似ている」といった人があったように、ソクラテス式の問答法によって人は疑念で心揺さぶられることになる。安定から不安定への動的変遷 -
Posted by ブクログ
哲学の祖であるソクラテス関連三話。法廷でソクラテスが弁明するところから判決までの話である「ソクラテスの弁明」、親友クリトンがソクラテスに亡命を訴える「クリトン」、死刑執行日に行われた議論の様子からソクラテスの最期までをパイドンが語る「パイドン」の構成でできている。
議論と言っても白熱した議論というものではなく、ソクラテスの俺つえー的論理展開。特に「パイドン」で語られる論理の組み立て方は、流石哲学の祖と言われるだけあるなーと感心する。いくつかの前提条件(魂は神に近づくほどよい、とか神が存在することなど)についてはこの時代の人々にとっての揺らぎない「定義」なので証明はしていないが、それ以外の、例え -
Posted by ブクログ
常日頃、反「プラトン主義」をキーワードにしている私であるが、プラトンを読むのは結構すきである。
それは、別に反論する相手を良く知ろうということではなくて、純粋に読んでて面白いからである。
というのは、プラトン自身は、いわゆる「プラトン主義」に収まらない過剰なものがある思想家だと思うし、仮にプラトンが「プラトン主義」を主張しているときでも、「いやいや、それは違うんじゃないか」と思考をとても活性化させてくれるからだ。
というわけで、「知識とは何か」という問いを巡る対話篇「テアイテトス」であるが、これは、他の対話篇に比べると、なんだか、すごく難しい。議論の大筋を追う事はできても、ひとつひ -
Posted by ブクログ
今回、哲学のレポートを書くために参考本として読んだ本です。
感想を一言で言うと・・『うんざり』(笑) 『ソクラテスの弁明』は、裁判でのソクラテスの言い分をプラトンが記録したもの?といわれていますが、とにかくクドイ。何がいいたかったのかさっぱりわからない。長々と例を挙げて、長々と論理展開をする。弁術がくどすぎてうんざりというのが第一の印象。半分ぐらいでいい加減もういいよ。。といいたい気分で読みました。一方的なソクラテスの弁明のみの記録だから、仕方がないといえばそうだ。だが、ソクラテスは、ソクラテス以前のソフィスト同様に書物というものを残していない。結局、この『ソクラテスの弁明』もその他のパイドン