田中美知太郎のレビュー一覧

  • ソクラテスの弁明 ほか

    Posted by ブクログ

    ソクラテス=無知の知 ぐらいの知識で読み始めたけど無知の知が生まれた壮絶な背景に胸を打たれた。
    政治家になっていい暮らしがしたい、際限なく欲を満たしたい、と言う動機で弁論術を学ぶ事が流行するが、弁論術ってただのおべっか人気取り術じゃん、偉い人の機嫌を取ることと市民の票を獲得する事だけが目的になってるじゃん。
    私たちが一番知識があって国をいい方向に運べますって顔してるだけで、実力や矜持は一切伴ってないじゃん。
    というソクラテスの指摘がアテナイ全体に刺さりすぎたせいでソクラテスの存在は権力者達から疎まれるようになっていく。
    作中でゴルギアスのアテナイでは知っているという事よりも知っていると周りに思

    0
    2025年02月09日
  • 戦争と平和 田中美知太郎 政治・哲学論集

    Posted by ブクログ

    この政治・哲学論集には、「サルディス陥落」(1941年)や「ソクラテスの場合」(1942年)、「公共体国家としてのポリス」(1942年)が収録されている。いずれも諸々の理由で発表中止となっている。そして終戦を挟む形で、「自由と独立」(1947年)、「理想国家について」(1946年)、「自主性の問題」(1946年)、「今日の政治的関心」(1947年)の発表へと続く。

    私がある意味感動したのは、田中美知太郎の論調が、戦前と戦後とでまったく変わっていないことだ。つまり、戦後教育を受けた私たちは、戦時中の言論がいかに抑圧されていたであるとか、戦後の論壇がいかに転向者であふれ返っていたかとかについて、

    0
    2024年09月21日
  • ソークラテースの弁明・クリトーン・パイドーン

    Posted by ブクログ

    初期プラトンまとめ読みの3番目。で、一応、文庫本で読めるのはこの程度だと思うので、最後のはず。

    「弁明」と「クリトーン」は相当昔に読んだものの再読。「パイドーン」は初めて。

    この3作で、ソクラテスの裁判から獄中、死刑執行までを一気に読める。

    おそらくは「弁明」は、多くの人が最初に読むプラトンであろう。ここに描かれるのは、自分の魂の声に忠実に生きた勇気の人ソクラテスである。多くの人は、その姿に感動するとともに、なぜ、こんな人を死刑にしてしまうのか、と政治の不条理に憤りを覚えるに違いない。

    が、「プロタゴラス」「ゴルギアス」を先に読んで、この「弁明」に到達した私には、なんとなくソク

    0
    2017年04月30日
  • ソークラテースの弁明・クリトーン・パイドーン

    Posted by ブクログ

    今となってはソクラテスの論理は詭弁に思われるところも多いし、弟子たちはソクラテスの論理に全く反論しない割にはその言っているところをあまり理解してはおらず、もやもやする部分もあるけれど、純粋に論理だけで世界を理解するという点において、興味深かった。

    そして、ソクラテスはなぜ死ななければならなかったのか、ということについて考えた。
    何がソクラテスを殺したのか。
    それはソクラテス自身が言っているように、中傷や嫉妬である。人は誰しも、安易な方向に流れたいとか、これくらいの悪いことなら許されるだろうとか、やましい部分をつつかれたくないとか、そういうことを思って生きているものだ。そういう気持ちが、正義や

    0
    2016年03月20日
  • ソークラテースの弁明・クリトーン・パイドーン

    Posted by ブクログ

    ソクラテスの生と死をめぐる三作を収録したもの。古典ギリシャ哲学の泰斗による充実した翻訳を味わうことができます。

    0
    2015年12月08日
  • テアイテトス

    Posted by ブクログ

    同じ田中先生訳が岩波文庫に収められていましたが、底本をプラトン全集に変更し、補注を加えるなどした決定版!産婆術のエピソードや無理数論、知識とは何か論など、談論風発で大変面白い。

    0
    2015年09月25日
  • ソクラテス

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    第一章のタイトル「何をどこまで知ることができるか」は、歴史的な事項を扱う上では基本的な視点である。あたかも何もかもしっているかのように著述することもできるし、断片的な事象を羅列して、推論を展開することもできる。最初に、どの程度の情報のばらつきがあるかを示しておくことは、読者に対して真摯な態度だと思う。
    アテナイとスパルタのの戦争であるペロポンネソス戦争の時代のことで、紀元前404年アテナイの無条件降伏で終わったことと、ソクラテスとの関係を、この本で読むまで知らなかった。「スパルタ」は、今では日本語で教育の仕方の名称になっている単語だ。
    最初と最後の章を読んだだけでも、ソクラテスが歴史の中で

    0
    2011年06月19日
  • ソークラテースの弁明・クリトーン・パイドーン

    Posted by ブクログ

    【ソークラテースの弁明】
    面白かった。
    ニーチェの「この人を見よ」的な面白さ。
    ソクラテスの人柄に笑いがこみ上げる本。
    本人は大真面目なところが共通して面白い。

    【クリトーン】
    人情VS正義

    【パイドーン】
    クリトーンに感情移入して泣いてしまった。
    クリトーンの気持ちを考えると辛くて涙が止まらない。
    ソークラテースは妻には恵まれなかったかもしれないが、
    こんなに愛してくれる友人に恵まれて果報者だ。
    本題である魂の話については、死の恐怖が少し楽になる。

    0
    2009年10月04日
  • ソクラテスの弁明 ほか

    Posted by ブクログ

    哲学に生き、死んだ人。哲学・思想と行為を一致させた人。自らの命を度外視して正しさを主張した。

    哲学の基本書。プラトンの著作はたいてい対話形式で書かれているが、この著作に限っては、途中メレトスとのやりとりがあるものの、主としてソクラテスの一方的な独白形式で話が進む稀な作品。確かに弁明という性質上、形式的には必然かもしれないが、ソクラテス自身が聞き惚れそうになったと言うほどの (流されないようにと陪審員へ注意を促すのが真意だろうが)メレトス側の弁論が一切書かれていないのは、双方の主張を取り上げて吟味するプラトンの一連の作品からすると読者にとってあまりに一方的で異例な事のように思われる。例えば饗宴

    0
    2009年10月04日
  • ソークラテースの弁明・クリトーン・パイドーン

    Posted by ブクログ

    ソクラテスの冤罪をめぐるプラトンの書ですね。
    田中美知太郎先生の名訳です。池田美恵さんも哲学書の訳者として定評のある方です。
    言わずと知れた名著、哲学の基本の書ですから、じっくりと少しずつ読み進めました。

    0
    2024年02月06日
  • ソクラテス

    Posted by ブクログ

    ソクラテスとは一体何者だったのか?
    ソクラテスのメッセージとは?
    なぜソクラテスは刑死することになり、刑死する必要があったのか?
    なぜ、2500年も前に生まれた人物が今もこれほどまでに大きな影響を与え続けているのか?
    「人が生きる」とは何なのか?

    ソクラテスという哲人を通して、
    人生の深遠な真理に触れることができる。

    一様には答えが見出せないような疑問に、ソクラテスという人物を通すことで洞察するヒントが得られる。

    そのために、
    ソクラテスという人物を知り深めるために活用できる書。




    生き様こそ
    人の生命の輝きそのものだ。

    0
    2019年01月18日
  • テアイテトス

    Posted by ブクログ

    プラトンということで。
    「知る」ということがどういうことなのかを巡って数学者とソクラテスが考える。知るということがどういうことなのか、考えてみたくて読んでみることに。
    プラトンのいわゆる主要な対話篇と異なり、その思想体系を突き詰めた対話篇では決してない。しかし、それはひとえに、「知る」ということを考え続けていたからに他ならない。「知る」という行為が純粋に実践であると同時に、きわめて形而上学的な事態である。たぶん書いていたプラトンそのひともかなり難航したに違いない。
    人間は流転すると言えば流転しているし、止まっていると言えば止まっている。ただのことばなのである。そんな風に存在はできてしまっている

    0
    2017年05月01日
  • テアイテトス

    Posted by ブクログ

    もう二度とレジメにしたくないですねー笑
    話が結構込み入っていてややこしい。
    知識とは何かを問いながら、「~ではない」というかたちで反駁していく(結局こたえはみつからないのだけれど)。

    ヘラクレイトスやプロタゴラスの言葉ーー「万物は流転する」「人それぞれ」ーーというかたちの相対主義をいかに乗り越え、共通のものとして知を立てることができるのか、ということがプラトンの課題。
    あまりここでは「イデア」という発想が全面にはでてこないので、そのぶんだけややこしいのかもしれない。

    そしてもうひとつのモチーフは、《産婆術》。
    ソクラテスは、相手を窮地に陥れバカにするのだ、
    という批判に応えるために、
    ソク

    0
    2015年09月11日
  • ソクラテス

    Posted by ブクログ

    プラトンの著書の副読本らしい。

    ソクラテスの人となりを明らかにしようとしているが、
    第一章のタイトルにある通り完全に理解は出来ないとしている。

    議論をふっかけ相手の考えを否定しまくった人だと聞いていたので、
    嫌なジジイだなあ。という印象だったが、それは物事を深く追求し、
    お互いの徳を高めるための行為だったことが理解できた。
    もといなんとなく分かったような気がする。

    0
    2013年12月01日
  • ソクラテス

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ソクラテスはなぜ毒杯を仰がねばならなかったか。この問いは、知を愛するとはどういうことか、人間はいかに生くべきかという問題につながっている。著者は、最新の研究にもとづき、ソクラテスの生活、その啓蒙思想、ダイモン、哲学を検討するとともに、アテナイの情報を明らかにすることにより、この問題に肉薄する。

    0
    2013年10月24日
  • ソークラテースの弁明・クリトーン・パイドーン

    Posted by ブクログ

    よく耳にする本で、一度は読んでみたいなぁと思っていた本です。ようやく読めました。
    ソクラテスの弁明とクリトーンとパイドーンの3作品がおさめられています。
    クリトーンもパイドーンも人名。
    内容的には、ソクラテスが裁判での弁明、入獄中の会話、ソクラテス最後の時の会話がそれぞれにあたります。
    けっこう印象としてはまわりくどく理論が展開され、数学の証明的な思考で主に生命と正義に関して話がされています。
    小林秀雄の「考えるヒント」を読んでいるような感覚に陥りました;
    ギリシャ時代の本が今に伝えられていることもすごいですが、善に関する思考が現代と変わらず論じられていることに少し驚いた感じです。

    0
    2013年06月26日
  • ソクラテスの弁明 ほか

    Posted by ブクログ

    「自然の正義が燦然と輝きでるのは、このときだ。」カリクレス
    ソクラテスの弁明というよりも、ソクラテスの強弁。
    ただし、「クリトン」時の説得力は素晴らしい。
    また、「ゴルギアス」でのカリクレスとの対話も面白い。
    特にカリクレスの主張が、ソクラテスも言うように大胆で素直なものである。

    0
    2013年04月08日
  • ソークラテースの弁明・クリトーン・パイドーン

    Posted by ブクログ

    紀元前か…

    古過ぎることにより、新しくなっている。
    いや、この領域に古いも新しいも無いのかもしれないな。

    魂なるものは、あの頃も、今もよく分からないままじゃないか。

    0
    2013年02月21日
  • ソークラテースの弁明・クリトーン・パイドーン

    Posted by ブクログ

    先に「国家」を読んでしまったため、内容的に目新しいものはあまりなかったが、プラトンの思想に大きな影響を与えたソクラテスの、より生に近いことばを聞ける点に意義があった。
    また、併録の「パイドーン」の魂の不滅性についての議論は、論理的な意味では今日では荒唐無稽とも言われそうなものではあるが、より良い生を生きるためのヒントを得るという点で得るものはあったと思う。

    0
    2012年07月29日
  • ソクラテスの弁明 ほか

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    哲学者の代表みたいなソクラテス。
    彼自身は著作を残していないのだけれど、
    弟子であるプラトンがソクラテスの対話を書き残したため、
    今日までその名が残っているんだそうな。

    こうしたプラトンの著書はほぼ対話形式になっているので、
    小難しいイメージのある哲学書の中では異例的に読みやすくわかりやすい。


    「ソクラテスの弁明」
    ソクラテスが被告となっている裁判での弁論。
    結局彼は死刑になってしまうのだけれど、
    敬虔な神の僕である彼の「正しさ」に対する態度には胸を打たれた。
    こういう姿勢はカントに似ていると思う。

    有名な「無知の知」のくだりもここに収録されている。


    「クリトン

    0
    2012年05月02日