赤井三尋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
20年前に起きた誘拐事件。
容疑者は逃走中に死亡し、誘拐された子供の行方はわからないまま事件は終わった。
大手新聞社に容疑者の娘が内定したが、週刊誌にスクープ記事として掲載されてしまう。
内定を辞退しようとする娘に対して、新聞社の社主は思いとどまるように説得をする。
同時に、当時の誘拐事件の再調査を窓際記者である梶に命じる。
娘の入社に何故これほどまでにこだわるのか。
社主の思い入れがいまひとつ説得力に欠けてはいたけれど、張り巡らされた伏線と描写のリアル感がさすがに乱歩賞受賞作だと感じた。
忘れ物を取りに戻ったときに見かけた奇妙な光景。
交わされた会話に隠された真実、結末への助走はみごとだった。
最後のエピローグは必要だったのだろうか?
せっかくの余韻を乱されたような気がしてしまった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本が映画「スティング」へのオマージュになっていると書いてあるのを、読み終わった後の解説に読む。見れば作者は1955年生まれで、なるほど私らと同年代と知り、今更ながらに納得する。
さて、下巻。手駒も揃い、漸う春日の描いた絵柄に沿い、話が進む。
大きなパズルにひとつずつの小さなピースが嵌められる如くエピソードが連なり、その度に小さなアクシデントが起こっては何とか切り抜ける積み重ね。
最後の結末は予想がつくのが何かと思いながら、それでも場面場面の小さな緊迫感に頁は進む(そのままのテンションで株券を受取りの場面まで進み、最後の大ヤマになり切れなかったのが玉にキズ)。
最後の最後で、私も見事に騙されていたことを知り、エピローグも余韻あり。春日はきっと生きていて、新しい仲間と次の獲物へ仕掛けているものと思える。 -
Posted by ブクログ
ネタバレドラマを見て、結末に納得がいかなかったので原作を読んでみた。
改めて、あり得ない結末だと思った。
妻による誘拐、家名を汚すどころではない凶悪犯罪。さらに、過失致死とはいえ自分の子どもの死体遺棄した亡き妻の犯罪を隠匿し、誘拐された子どもと知りながらそれを隠して育て続ける男、武藤。つまり逮捕監禁罪など、山程の犯罪を抱えながら生きる男が、新聞社の人事厚生局長で、その犯罪につながるようなを女子学生の入社を後押しするわけがない。
息子と家政婦さんとの会話で、わざわざその女子学生のことを話題に出すなど、ドラマにはなかった描写もあってさらなる驚き。サイコパスなのか?武藤という人物は。
罪滅ぼしって…!
隠し続けて育ててきた息子の将来も、自分自身の身も、何もかもが破滅に向かう真実の発覚に繋がってしまうのだ。
エピローグで、女の子の未来はわかった。
では俊治は? 元工員で現新聞配達員とヤクルトレディの本当の親元に戻ったのか? 司法試験はどうしたのかな?
死体遺棄していた自分の息子の骨を掘り起こしている武藤を目撃した3人はどうする?
まさか黙認はないよね。
だって、武藤の息子こそ、誘拐された赤ん坊なのだから。
梶、そして支局長、2人の新聞社の社員と、元刑事はどうする? 社長に杉野もわかっていて罠にかけた。
20年ぶりの真相の解明。
世間は決して許さない。誘拐犯の妻と、知っていながら赤ん坊を育て続けた武藤。逮捕監禁罪が現在進行形で成立する。時効にはならない。こんな人物を人事局長に置いておいた新聞社の社会的責任。社長の引責辞任程度では済まない。
新聞社崩壊か? 北米支局配属された女の子も失職か?
この続きこそ読んでみたい。
続編求む!!!
とにかくあり得ない、あり得ないと思いながら読んだけれど、ドラマがいかに原作に忠実であるかはよくわかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレミステリ仕立ての短編集。作家という人はいつもちょっとしたアイデアやヒントを膨らましているのだろうか。短編でも落ちがあってテーマにも興がある。「花曇り」が秀逸。ひねりが効いた「三十年後」。
☆老猿の改心
金庫破りをした老猿が、足音に驚いて隠れた金庫が閉まってしまった。その金庫がゆさぶられ、その行き着いた先には。
読後は、うふふ、なかなかいい。
☆遊園地の一齣
銀行強盗の上前をはねようと思った青年の話。これはまぁまぁかな。
☆クリーン・スタッフの憧憬
テレビ局の清掃員のバイトをしている結花は、出て行った父も戻り家庭は少し安定した。美術学校に行くために働いていたが、テレビ局の小物置き場で、高価な古伊万里のつぼを割ってしまう。そこで、、、
ちょっといい話。
☆紙ヒコーキの一齣
紙ヒコーキを取ろうとして子どもが4階のベランダから転落、幸いかすり傷ですんだが、5階に監禁されていた私はその紙ヒコーキを作って助けを求めたのだ、、落ちた子どもを助けようと駆けつけた警官は。。。
これは短いけれど面白かった。
☆三十年後
若いころは、遊び仲間と贋金を作ったり、ビンゴゲームにはまった時期もあった、その頃キョーダイさんという名前の兄貴がいた、京大に在学中という遊び人だったが、上京して警視庁の警部になったという。
三十年後、そのキョーダイさんとカジノでめぐり合ったときなどは、私は、まともには生きられず業務上横領で手配されていたのだった。警部になったキョーダイさんにみつかり、腕にかちりと手錠をかけられた。なぜキョーダイさんが?
これはすばらしく面白かった。
☆アリバイの一齣
お人よしのかっての同級生鈴木に、アリバイ工作をさせるつもりが、、、アイデアが面白い。
☆青の告白
私は結婚寸前で心変わりした佐奈江を殺した、佐奈江の新しい交際相手が犯人になるようにたくみに細工をした。
その細工は稚拙だったが、、、。
☆善意の一齣
赤いスポーツカーを盗んだ二人は、赤ん坊が乗っているのでびっくり仰天。お人よしの泥棒が捕まるまで。
☆花曇り
梅雨のある日、本因坊戦で勝ちを譲ってくれたN八段が亡くなった。その時のN八段のお陰で事故にあった妻の最後に間に合って言葉を交わすことが出来た。同乗していた娘は足が少し不自由になったが、結婚することになった。
N八段は、勝ちを譲ったあとは、勝負に見放されたのか寂しい生涯だった。
娘が嫁ぐ日になった。
しみじみとした余韻の漂ういい作品で、ひそかな隠し手まである。
☆誘拐の一齣
娘が誘拐された。部屋には刑事が張り込み、パソコンまで用意してきた。それで一億円の札のナンバーを控えている。
あとは犯人からの電話を待つばかり。
それで・・・・
アララ と笑って読めるオチが用意されている。
この短編集は読みやすいし、出来のいい作品がそろっていて、充実した読後感が残った。
あまりひねりすぎではないし、題名にふさわしいと思えるテーマの多様さも一興で、気楽に読めた。
文庫版は「花曇り」と改題。 -
Posted by ブクログ
江戸川乱歩賞の作品は凝っている
本作品は昭和の時代に起きた解決済みの誘拐事件を、20年後の平成の時代に掘り起こし再調査を行う物語。
主人公は新聞社で左遷の憂き目にあっている中年記者。社長命令で過去に起きた誘拐事件を洗い直すことになる・・・
あらすじはこんな所で、それよりも登場人物達が興味深い!
直観像素質という特殊能力を持ち囲碁がプロ間近級に強い新聞社の社長
元基院の↑の奥様
二人称に『お主』を使う元刑事 癖が強い
橋田ドラマに出てきそうな家政婦の千代さん
非常に暖かい家族の焼き鳥屋さん
ストーリーも去ることながら登場人物達の細かな設定が私の中でハマってます。
本作の登場人物達のスピンオフの作品があれば読みたいと思った!
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Posted by ブクログ
陰鬱な作品だった。終始暗い影がついて回るような、重い雰囲気に包まれていたのは、私が体調が優れないときに読んだからだろうか。嬰児の誘拐と聞くだけで痛ましいのに、もう出版社とか絡めないでほしい。しかも、登場人物がデフォルメされていないほうのリアルさを湛えているもんだから、判別しにくいわイメージしにくいわでとにかく重苦しかった。やっぱり小説である以上は、多少のデフォルメを読者として求めたいんだな、私は。最後の結末は、意外だった。ただ、その結末を持ってくるなら、もっと「その後」を厚く書けるはずだろ!って感じました。まあ、読みたかったんだよ、私が。