あらすじ
「誘拐犯の娘が新聞社の記者に内定」。週刊誌のスクープ記事をきっかけに、大手新聞社が、20年前の新生児誘拐事件の再調査を開始する。社命を受けた窓際社員の梶は、犯人の周辺、被害者、当時の担当刑事や病院関係者への取材を重ね、ついに“封印されていた真実”をつきとめる。第49回江戸川乱歩賞受賞作。(講談社文庫)
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これほど「何も起きていない」ミステリーは珍しい。事件の真相に迫る話ながら、今はホントになにも起きていない。話の展開もスムーズで中だるみせず、強引さのない最後。面白かった。
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新聞社の偉いさんの奥さんが、育児に疲れ事故で我が息子を死なせてしまった。
奥さんが、姑に気を使い、病院から赤ちゃんを誘拐。その後自殺。
これが、犯人の真相。
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WOWOWドラマWで映像化されたドラマを先に見て
よく出来ていると感銘を受けたので
原作にも手を出してみた。
読みながら思ったのは、ドラマ版は
驚くほど原作に忠実に作られているのだなということ。
つまるところ、話の筋が全く一緒。
話の筋を再確認するだけだったが、
序盤を過ぎて事件当時の描写から始まる
中盤からのラストにかけては
引き込まれる面白さ。
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赤井三尋が2003年に発表した「翳りゆく夏」の文庫版。第49回江戸川乱歩賞受賞したデビュー作です。2015年にはTVドラマ化されました。週刊誌の記事をきっかけに20年前の誘拐事件を再調査することになった東西新聞社編集資料室の梶が真相に挑む。事件に関わった人たちの証言をもとに当時の状況をパズルのように組み立てていく展開が非常に上手く、ページをめくる手が止まりませんでした。本作はミステリーとして事件の真相を追うのが王道だと思いますが、物語に登場する家族の関係に主眼を置くのも読み方としてありだと思いました。
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ドラマ化された作品でもあり、やはり原作が面白いとドラマ化されるんだな、と思った。
最後まで犯人はわからず予想外だった。話が進むたびに、さまざまな人の証言や記録から当時の疑問が明らかになり、それがきれいに回収されていく。それにしても、ドラマやミステリで、こういう20年前の事件の振り返りで、当時みた顔とかよく覚えてるものだな、と。自分ならぜったい覚えてないだろう…
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警察ではなく記者が20年前の事件を再調査する話。
その事件の犯人とされている娘を記者として採用したい人物と会社。
色々と個性的な登場人物が登場しますが、その一人一人の行動、言動が最後はパズルのようにつながり面白かったです。
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義理父からおすすめされて。
意外な犯人でしたが、主人公の妻が赤ちゃんを誘拐し育てる話を読んだばかりだったので、またか…となりました。
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2022.11.05
そこそこに楽しめるミステリーだった。
ただやはり時効した事件を追いかける内容なので、臨場感には欠ける気がしたかな。
子供を返さなかったことも辻褄が合わない気がするし、父親が誘拐犯ではないと分かった時のヒロコの心情ももっと描いてほしかった。
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最後まで読んで「あぁ・・・!」となる作品。
過去に起きた誘拐事件の関係者が大手新聞社に新卒内定。
その事実が記事となって明るみになったことから過去にさかのぼって、事件の真相に近づいていく窓際社員。
単なる誘拐事件ではなかった、切ない人の心理が巧みに表現されており推理小説というジャンルを超えた楽しみが得られる作品。
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第49回江戸川乱歩賞を受賞。
犯人の家族について改めて考えさせられる作品でした。
罪で問われるのは、その本人だけなのに・・・。家族というだけで。だけど、これが現実。
20年前の新生児誘拐事件について新聞記者が事件の真相に迫っていきます。記者とともに事件について少しずつ分かっていく展開なので、読みながらどんどん引き込まれていくのを感じました。
Posted by ブクログ
東西新聞社に入社が決まったのは20年前に嬰児誘拐殺人事件の犯人が父親の娘朝倉比呂子だった
その事実がどういうわけか週刊誌に取り上げられ、東西新聞は何としてでも比呂子を入社させようとする。
しかし、比呂子は入社後に噂されるのがつらいと入社辞退を考える。
それを覆そうと、20年前の嬰児誘拐事件についてもう一度洗い直すこととなり、犯人は男女の2人の他にもいたのではないか?と疑い始める
徐々に事実が明らかとなり、嬰児殺害の真犯人は東西新聞に務める武藤の自殺した妻であることが分かった。
読み応えがあって、話も難しくなく面白かった
2021/09/03 22:51
Posted by ブクログ
江戸川乱歩賞受賞作という小説だったので買った一冊。
20年前の事件を再調査する話
登場人物が多く、話もちょっと複雑な話だなと思ったが、文章がわかりやすくよみやすかったので、理解力のない自分にも話の内容がよくわかった。
意外な人物が犯人だった
ただ残念なのは、事件の真実はわかったが、それに関わった人物のその後が書かれてないから気になる。
暗い物を持っている人物が多いなと思ったが、事件の真実がわかり、それぞれの人物がいい方向に人生が進むといいなとふと思った小説でした。
Posted by ブクログ
夏ということで読みました。オチは少々無理がある様な気がしましたが、終盤までぐいぐい読ませます。新聞記者という存在が世間でかなり信頼または尊敬されており、取材しやすかった時代なのでしょう。井上元刑事の「お主」という口癖が浮いています。
Posted by ブクログ
物語の本筋の前の段階が長くて、ちょっとしんどかったけれど主人公の梶が核心に近づくにつれて、読むスピードも加速した。いくつかの出来事が重なってあの様な結末を迎えたのは不幸でしかないし、真相を知ったところでスッキリはするけど、救われる人があまり居ない感じなのも悲しい。
Posted by ブクログ
20年前に起きた誘拐事件。
容疑者は逃走中に死亡し、誘拐された子供の行方はわからないまま事件は終わった。
大手新聞社に容疑者の娘が内定したが、週刊誌にスクープ記事として掲載されてしまう。
内定を辞退しようとする娘に対して、新聞社の社主は思いとどまるように説得をする。
同時に、当時の誘拐事件の再調査を窓際記者である梶に命じる。
娘の入社に何故これほどまでにこだわるのか。
社主の思い入れがいまひとつ説得力に欠けてはいたけれど、張り巡らされた伏線と描写のリアル感がさすがに乱歩賞受賞作だと感じた。
忘れ物を取りに戻ったときに見かけた奇妙な光景。
交わされた会話に隠された真実、結末への助走はみごとだった。
最後のエピローグは必要だったのだろうか?
せっかくの余韻を乱されたような気がしてしまった。
Posted by ブクログ
・はじめから引っ張られて読んだので、楽しめた
・オチや、暴かれる過程も良かったと思う
・最後の終わり方だけ、もう少しボリューム欲しかった
息子がどうなったかも知りたいし。
Posted by ブクログ
よく出来たミステリーだと思います。
謎解きだけでなく、人間心理までよく描かれていて、サイコ系のミステリーに飽き飽きしている人にはおすすめです。
『太陽にほえろ』の頃のように犯罪を犯すには犯人なりの切羽詰った事情があった、よき?時代のミステリーです。
Posted by ブクログ
20年前の誘拐事件を改めて調査するようにと社主から指示があり捜査してたら、
誘拐犯はその事件を追っていた新聞社の社員のうちの奥さんで、彼はその事実に気付きながらも奥さん亡き後もその子を育てていたというオチ
新聞社に入社しようとしてた女の子のお父さんは脅迫してお金を盗もうとはしてたものの誘拐犯ではなかったということで、まあ良かった…のか…?
そういう展開か〜っていう驚きはあったけど臨場感はあまり感じず
Posted by ブクログ
淡々と、とにかく淡々と進む。
章タイトルもなく、空白行を挟むだけで淡々と進んでいく。
事件は20年前に起こっていて、徐々に全貌が明らかになる。
派手さはないけど最後まで読みやすかった。
【以下ネタバレ】
事実を知り、奥さんが亡くなった後で、赤ちゃんを返すという選択肢がなかったと言い切ったのが違和感。
あのタイミングで知ったのなら、せめて逡巡すると思うのだけど。
今まで描かれてた人物像とリンクしない。
その辺りが強引だったので以降は少し興醒めした。
あと、都合よく色んな人が死にすぎ。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩賞の作品は凝っている
本作品は昭和の時代に起きた解決済みの誘拐事件を、20年後の平成の時代に掘り起こし再調査を行う物語。
主人公は新聞社で左遷の憂き目にあっている中年記者。社長命令で過去に起きた誘拐事件を洗い直すことになる・・・
あらすじはこんな所で、それよりも登場人物達が興味深い!
直観像素質という特殊能力を持ち囲碁がプロ間近級に強い新聞社の社長
元基院の↑の奥様
二人称に『お主』を使う元刑事 癖が強い
橋田ドラマに出てきそうな家政婦の千代さん
非常に暖かい家族の焼き鳥屋さん
ストーリーも去ることながら登場人物達の細かな設定が私の中でハマってます。
本作の登場人物達のスピンオフの作品があれば読みたいと思った!
Posted by ブクログ
陰鬱な作品だった。終始暗い影がついて回るような、重い雰囲気に包まれていたのは、私が体調が優れないときに読んだからだろうか。嬰児の誘拐と聞くだけで痛ましいのに、もう出版社とか絡めないでほしい。しかも、登場人物がデフォルメされていないほうのリアルさを湛えているもんだから、判別しにくいわイメージしにくいわでとにかく重苦しかった。やっぱり小説である以上は、多少のデフォルメを読者として求めたいんだな、私は。最後の結末は、意外だった。ただ、その結末を持ってくるなら、もっと「その後」を厚く書けるはずだろ!って感じました。まあ、読みたかったんだよ、私が。
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翳りゆく夏/赤井三尋:第49回大賞受賞。2003年。
20年前の誘拐事件の犯人の娘が、東西新聞の新入社員面接に合格する。それをすっぱぬく雑誌社。そもそものその事件を調べ始める東西新聞の窓際社員。
犯人は犯人だけど、共犯がいるはず。真相はちょと悲しいね。子供を過失で死なせてしまった香織が病院から赤ちゃんを盗んだのよ。誘拐するつもりじゃなかったから、そのまま自分の子のようにふるまってたので、わからなかった。夫でさえ最初は「赤ちゃんは顔変わるんだなぁ」なんて言ってたくらい。
Posted by ブクログ
20年前の新生児誘拐事件、その容疑者の娘が大手新聞社に内定した内部情報を週刊誌がスクープし、新聞社は事件の再調査に乗り出す―。物語は現代パートと回想パートを織り交ぜながら進行し、事件関係者への取材を積み重ねながら徐々に埋もれた真実を掘り起こす主人公の姿が実直で硬質な文体で描かれる。好みな展開だが、妙に思わせぶりな会話や描写が多く散漫でもあり、ようやく辿り着いた真相パートが唐突かつ駆け足だったのも残念。余談だが、このTVドラマ版カバーに【容疑者の娘が事件のキーパーソン】という先入観を見事に植え付けられた…。
Posted by ブクログ
珍しく、多分この人が…と途中からピンと来た。
だが、事件の背景はわからなかったのでどう展開していくのかが
読みたく一気読み。物語の緻密さも良かった。
が、視点がコロコロ変化して登場人物達が主な物語の中ではあまり生きていないような感じが…
アッサリした読書感。
Posted by ブクログ
話の流れはやや強引でしたが、スピーディーな展開で破綻なく丁寧に書かれていましたし、各人物描写(各人が抱えている背景など)も良かったので、楽しく読めました。
ただ、目立ったアイデアがなかったので、何か一つ唸らせるものがあればな…と思いました。