赤川学のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
リサーチ・リテラシーについての本。
データに騙されるな!という『社会調査のウソ』の実践版という感じかな。
著者は問いと答えを以下のように記している。 p.24
・男女共同参画は少子化対策と結びつくべきなのか。→「否」
・少子化は問題なのか→「多少、問題」
・仮に少子化が問題だとして、出生率回復策で対応することが容易ことなのか→「否」
・出生率の回復よりも、優先すべき課題はあるか→「ある」
・少子化を食い止めることは可能か→「不可能」
・人口減少社会が到来する今後、どのような政策が望ましいか→「出生率低下を与件とする制度設計が望ましい」
これらの問答に「えっ」と感じた方は是非読んで欲しい。
少子化のメリットデメリットについての言説も興味深い(私も著者もそれを支持しているわけではない)。 pp.119-121
【メリット】
・住宅問題の解決
・財政の好転
・通勤地獄の解消
・レジャーをより楽しめる
・高齢者や女性の基幹的雇用が確実になる
(森永卓郎『<非婚>のすすめ』 pp.175-177)
【デメリット】
・人口減少、若年労働力の減少により、日本経済社会の活気が失われ、衰退する。子どもや若者をターゲットとした産業(教育市場やおもちゃ産業)が衰退する。
・若者は新たな産業への順応性が高く、新製品開発などの創造性が高いと考えられるため、若年労働力が減少すると、全体の労働生産性が低下する。
・高齢化に伴い、年金や社会保障費が増大する。が、少子化のため給付が減る。
これらについてさらに突っ込んで議論している。特に年金制度に強い思い入れがあるのか詳述している。私も著者同様に積み立て方式を支持したい。いままで割賦方式で払っていた人たちの年金をどうするのかという問題には答えられないが、私がもらうならこれがいいな。変に長生きしたら大変そうだが。
最もに興味深いのが、第6章。特にハイパーガミー(女性が自分より地位の高い男と結婚する)が面白い。経済が低成長に転じると、自分の父親より経済力がない男が増える。そんな男と結婚して生活水準が低下するくらいなら、実家で両親と暮らした方がまし、という説は経験からしても納得。まぁ、お金だけで決めるのではないことはわかっているが。『結婚の社会学』と『パラサイト・シングルの時代』が読みたくなった。
(まっちー) -
Posted by ブクログ
名著!!
新書でここまで説得力のある
本に出会ったのは久しぶり。
リサーチリテラシーの観点から、
「男女共同参画が進めば、出生率は上がる」
という欺瞞を見事に暴いている。
フェミニズムについても言及しており、
『「性からの自由」と「性への自由」は等価であることが理想である』
は至玉の名言。
その他にも
・男女共同参画と出生率回復の理念的欺瞞
・特定ライフスタイルへの政府の偏った支援
・子育てフリーライダー論
・保育・育児支援政策の欺瞞と偏り
・アファーマティブアクションの矛盾
・「無限という病」=アノミー論
・「産みたくても産めない」の嘘とメカニズム
etc...興味深い考察が目白押し。
統計の解説部分は文系にはちょっとしんどいけど、
そこさえ飛ばし読みすれば文章も明確で◎。
少子化を是と捉える筆者の哲学にはそもそも異論があるが、
それを差し引いてもほぼ満点を差し上げたい。
女性の社会進出、高学歴化、晩婚化が進めば
子どもは減り少子化は加速する。
女性を犠牲にするか、時計の針を100年戻すか、
少子化を受け止めて新しい世界を築くのか。
近代社会の明日はどっちだ。 -
Posted by ブクログ
タイトルがトンデモ本のようでアレなんだけど、中身はちゃんとしたもの。
インパクトを与えたかったんだろうね。
社会学者が社会学的に「少子化は何の問題もない!!」と斬っている。
しかもこの先生、社会学でもこの分野は専門外らしい。
それだけ少子化対策とかジェンダーフリーに疑問を持っていたのだろう。
自分も少子化は問題ないと薄々思っていて、何か学術的にそういう本が読みたいと思っていた。
思想としてそういう本はあるんだけどね。
そして実際にこの本を読んで納得した、と。
まあ、でもこれは思想的に偏りのある人からは攻撃、もしくは黙殺されるだろうね。
実際出版から数年立っているけど、少子化はこれから更に進行するものと考えて何とか対策を立てていこう、って流れにはなってないもん。
未だに「どうしたら若者は産むのか」なんて議論をしているでしょ。
これ読んだことあるかなー、小渕の娘(笑)。 -
Posted by ブクログ
少子化と男女共同参画が一緒くたに論じられることについて厳しく批判した本。労働などの面での男女平等をはかると出生率があがるということで「男女共同参画」を推し進めたフェミクラートへの批判も含むので、業界ではいろんな評価がある。でもワタシは自分でこいつを読んで、この人は基本的には正しいと思った(細部ではまぁ、いろいろあるにしても)。どちらにしたって、こどもが増えようが減ろうが、不平等はあってはならないし。少子化は女性労働の変化によるものでなく、都市化現象の一つなので、少子化傾向を労働に関する政策やましてや倫理道徳では解決できない、少子化を視野にいれた政策を立てるほうがいい、というのはわかりやすい。
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Posted by ブクログ
少し誤解を招くようなタイトルだが、内容は「子供が減るのは抗えない」という現実的なスタンスの本である。現在は東京大学大学院教授である社会学者が20年以上前に著したものだが、現在の状況を鑑みると、著者の予見は正確だったと言える。一方で、その論点が現在まで十分に活かされていないのは残念でならない。
著者の主な論点は二点ある。第一に、「女性の社会進出や夫の家事・育児分担が少子化を止める」という一般的な見解に対し、両者の間に明確な因果関係はないと断じている点だ。男女平等や仕事と子育ての両立支援は不可欠な社会課題だが、「少子化対策の手段」として混同して論じるべきではない。第二に、少子化は都市化や社会構造の変化に伴う不可避な現象であり、巨額の税金を投じてもコントロールは困難であるという点だ。むしろ、人口減少や少子高齢化を前提とした社会の持続可能性を追求する制度設計へとシフトすべきだと説く。この提言は至極まっとうだが、政治側は「克服」という名の成長戦略を掲げ続け、結果として将来への負荷を増大させているように見える。
現在では、少子化の主要因が晩婚化と未婚化にあるという認識が定着したが、結婚への支援よりも、未婚化そのものへの対策を重視すべきという指摘は今なお重要だ。未婚化の背景には、都市化や女性の選択肢の広がりがある。また、本書で紹介される「相対所得仮説」も非常に説得力がある。これは、将来の生活水準が親世代を下回ると予想される場合、人は結婚や出産を躊躇するという考え方だ。生活水準の低下を避けるために実家で暮らすという選択は、低成長が続く現代では極めて合理的と言える。特に、「自分より高ステータスの男性」を求める意識が変わらない中、中間層の没落により「選ばれない男性」が増加している現状は、この仮説を裏付けている。
実際、1990年には1.24%だった生涯未婚率の男女差が、2020年には10.44%まで拡大した事実がそれを物語る。この仮説に基づけば、親世代の生活水準を維持できるという見通しが立つまでは未婚率の改善は望めず、実質賃金の上昇が長期間にわたって続くことが解決の鍵となるだろう。最後に、社会通念の根拠となるデータを読み解くための「リサーチリテラシー」の重要性に触れた著者の視点は、現代においても極めて示唆に富んでいる。 -
Posted by ブクログ
猫と人間の関係を社会学の観点から理論的・実証的に研究する「猫社会学」のスタートアップとして、5つの論考と1つの特別対談を収録。具体的には、猫の可愛さの理由、猫カフェでの猫たちと客・客同士の関係性、猫島に人が訪れる理由、漫画に登場する猫、猫と人が作り出す相互行為秩序といったテーマが取り上げられている。
猫と人との関係を様々な社会学的な理論や手法で分析・考察していて、なかなか興味深い内容だった。特に、猫の可愛さ・魅力を質的統合法により抽出する「第1章 猫はなぜ可愛いのか?」、「サザエさん」全話の読込みにより「猫の家族化」の変遷の分析する「第4章 猫から見た「サザエさん」―猫が「家族」の一員になったのはいつか?」が面白かった。猫好きの妻との良い話のネタにもなった。
本書を通じて、社会学の研究手法についても勉強になった。ただ、サンプル数が少なく、かつ、無作為抽出ともいえない事例研究が多く、一部の代表性のない事例から過度に一般化しているようにも思え、前から思うところはあったが、社会学は学問としてちょっと雑なところがあるのではないかということを再認識した。 -
Posted by ブクログ
「猫は、猫であるということ自体が可愛く、見た目も鳴き声もすべてが可愛く、可愛くないところが一つもない」
猫を学問、とりわけ社会学の俎上に載せて考えた一冊。
というと少々身構えてしまうが、そこまで学問学問しているわけではなく、猫好きが学者だとこうなる、のように楽しめる。
猫カフェについて研究したり、サザエさん全話(7,000話以上)を読み解いたりと、アプローチは様々だが、結局のところ共通するのは、「猫はすごい」ということ。
猫の何がそこまで人を惹きつけるのかという部分も度々言及されており、犬との相違点や、普段何気なく考えていることが明文化され、あらためて気付かされる。