小林康夫のレビュー一覧
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学問」とは――
から始まって、学問するためのいろんなアプローチの仕方を、カタログみたいに編集した本。要するに、「おっちゃんたちの仕事をよく見とけ!」って感じでダダーッとその道のプロが出たり引っ込んだりする中で、「ははあ、なるほど、学問てこんな感じなんスね」と、なんとな〜く(?)わかったような気分にさせてくれる本です。
東大の教科書っぽく、あまり堅苦しくなく、マドンナのヌードとかそんなとこから論が始まったりします。
続編の『知の論理』『知の倫理』も、「知」を単なる自分の考えで終わらせることなく、より深めるにはどうすればよいのか、よく考えさせられる内容です。(特に『知の論理』は、自分の物の考 -
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表象文化論の小林康夫氏の著作。氏が自身の本との出合いを振り返りながら、これから21世紀を生きて行こうとする、中学生以上の読者に向けて書かれた本。
中学生に向けて書かれた著作ながら、ちょっと読みにくいところもあったので、四つ星。
10冊の本が紹介されている。
中でも、中原中也の詩集を紹介した第3章、矢内原伊作の『ジャコメッティとともに』の第4章が出色だと思う。
こんな本に中学生の時に、あるいは遅くとも高校生の時に出合っていたら、自分の人生は変わっていただろうなと思わされた。
氏の「知」に対する圧倒的な肯定感に接すると、この人は、性善説で生きられるような人にしか出会わずに済んだ幸 -
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面白かった。
自分は理系の人間で、はっきり言って文系の学問の有用性を見出すことが出来ていませんでした。
(失礼ですみません。)
中身としてはかなり古いので、今の時代には即さないのですが、あー、文系の学問ってこんなだったのか、これならやってみても良いかも。と思いました。やはり第一人者の方が執筆なさると、学問の深みが伝わってくるのですね。
所々分からない所もありましたが、自然を研究するのは理科系の学問がBest、人間の何たるかを知ろうと思うと科学では割り切れない、文系的な研究が必要、という感じがしました。
少々読み終えるのに力(りき)が要りますが、講座に分かれているのでつまみ読でも全然問題 -
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著者は本書の冒頭で、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』における「井戸」のイメージについて語ることから始めています。それは、システム社会論的な気分が蔓延する現代においてわれわれの「実存」はもはやこの世界を意味づける特権的な立場などではなく、システムからの「退却」を志向することでしかないということを象徴するイメージとみなされることになります。
その上で著者は、こうした一人ひとりの「実存」という井戸に「横穴」を開け、他者とのコミュニケーションを開く可能性をさぐろうとします。ここで手がかりとされるのが、レヴィ=ストロースが発見した「野生の思考」すなわちブリコラージュや、ベイトソンにおけるゲームの創発 -
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大学の時に読みたかった。様々な考え方を知れるという点では今でも価値がある。
はじめに
第Ⅰ部 学問の行為論ー誰のための真理か 小林康夫
第Ⅱ部 認識の技術ーアクチュアリティと多様なアプローチ
[現場のダイナミクス]
フィールドワークーここから世界を読み始める 中村雄祐
史料ー日本的反逆と正当化の理論 義江彰夫
アンケートー基礎演習を自己検証する 丹野義彦
[言語の論理]
翻訳ー作品の声を聞く 柴田元幸
解釈ー漱石テクストの多様な読解可能性 小森陽一
検索ーコンコーダンスが開く言葉の冒険旅行 高田康成
構造ードラゴン・クエストから言語の本質へ 山中桂一
[イメージと情報]
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学校の「探究」という授業で多く参考にさせてもらっている(生徒それぞれが中1から自分の好きな「疑問」に対し、オリジナルの仮説を考えて考究していく課外的授業)。研究活動や手法の「入り口」「ケーススタディー」を示している書。さまざまな研究分野の先生が執筆されているので、バランスもある程度取れている。勿論中高生には難解な部分もあるが、身につけて欲しい研究的スタンスはこの書籍に満載されている。『知の技法』以外にも「続編」が出ている。「自分が疑問に思った内容に対して、よりよい接近方法(解決方法)は何か」―――掲載されている研究手法や課題に対する接近方法など、勉強していきたいと感じさせてくれる一冊。