小林康夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
調べる、考える、表現するというような知的活動の枠組みの中に小項目が立てられ、各分野の専門家たちが入門的内容を短く記述したエッセイ集のようなものです。
それぞれの項目で筆者が異なりますし、書き方も各人に委ねられているらしく、全体として体系的な記述はされていません。
その分野のフレームを要約的に紹介しようとしている文章や、具体的な一例を取り上げてその解説だけをしているものなどいろいろです。
おもしろく読めますが、この本だけで十分な学びがあるというなことはないと思います。学問の世界に足を踏み入れるためのパンフレットみたいなものかもしれません。
また、発行から四半世紀が経過していることもあり、当 -
Posted by ブクログ
東京大学教養学部の「基礎演習」テキストで、「知の三部作」シリーズの第1弾です。
文科系学問の「技法」を、大学に入学したばかりの学生に伝えるという意図のもとで編まれた本で、論文の書き方や発表の仕方についての説明も含まれていますが、中心となっているのは、それぞれの研究者が自分自身の関心に基づいて、知のパフォーマンスを実演してみせることで、学生にその「技法」を体得させるようなスタイルで書かれた文章です。
全体を通して気づいたのは、構造主義のインパクトを受けていることが明確に示されているような文章が目立つことです。そのような表現スタイルが、人文・社会科学系の学問の基本になっていたことがうかがえます