あらすじ
本とは、世界の秘密へと通じる扉の鍵を与えてくれるもの。そして、あなたの身体の一部となり、将来をも変えるような決定的な力をもつもの。でも、いったいどんな読書をすれば、そこに辿りつけるのか? 10代のいましかできない読書方法をこっそり教えます。
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Posted by ブクログ
表象文化論の小林康夫氏の著作。氏が自身の本との出合いを振り返りながら、これから21世紀を生きて行こうとする、中学生以上の読者に向けて書かれた本。
中学生に向けて書かれた著作ながら、ちょっと読みにくいところもあったので、四つ星。
10冊の本が紹介されている。
中でも、中原中也の詩集を紹介した第3章、矢内原伊作の『ジャコメッティとともに』の第4章が出色だと思う。
こんな本に中学生の時に、あるいは遅くとも高校生の時に出合っていたら、自分の人生は変わっていただろうなと思わされた。
氏の「知」に対する圧倒的な肯定感に接すると、この人は、性善説で生きられるような人にしか出会わずに済んだ幸運な人なんだろうなという気がして羨ましかった。そして、性悪説に立たなければ生きていけない自分の不幸が省みられた。
最後の1冊が檀一雄『檀流クッキング』に終わっているところが面白い。