岩田正美のレビュー一覧

  • 貧困の戦後史 ──貧困の「かたち」はどう変わったのか

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    副題にあるとおり、戦後日本の社会において貧困の「かたち」はどう変わったのかを綿密な実証分析とともにたどる好著。

    著者は1947年生まれでまさに戦後日本とともに生きてきた学者ならではの視点が充溢している。これは決して本書が著者の主観に左右されているということではない。叙述は客観的かつ冷静で要所が押さえられていると感じたが、そのバックグラウンドには「実感」が感じられるということである。

    レビューの分類では社会史に入れておいたのだが、もちろん、貧困の問題は経済史の問題でもあり、著者も最後に述べるように核心は、政治の問題である。

    「自立」支援という貧困対策は、貧困の原因を個人の怠惰に帰する古典的

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    2020年09月19日
  • 貧困の戦後史 ──貧困の「かたち」はどう変わったのか

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    岩田正美の本は面白い。著者によっては、同じ内容の繰り返しになってしまっていることが多いがこの人の本は何かしら新しい着眼点がある。
    この本では、戦後日本の貧困の「かたち」を素描している。「かたち」というこのふんわりとした語彙は厳密に意味を定めることができないかもしれない。しかし、著者の多年に渡る研究から豊富な資料をもとに、統計だけでは捉えられない、具体的な貧困のかたちが立ち上がってくる。
    その結論として貧困対策への著者の立場を結論として引用する。「『自立』支援という政策目標は、個人の怠惰が貧困を生むという、きわめて古典的な理解に基づいている。だが問題は、怠惰ではないのだ。貧困を個人が引き受けるこ

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    2020年09月22日
  • なぜ女性は仕事を辞めるのか 5155人の軌跡から読み解く

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    なぜ女性は仕事を辞めるのか: 5155人の軌跡から読み解く。岩田正美先生と大沢真知子先生の著書。女性が仕事を辞める理由はもちろん人それぞれであるとは思うけれど、女性が簡単に仕事を辞めてしまうような組織はそれだけ女性にとって魅力がなくて、働く価値がないと思われているという危機感を持たなくてはならないと思います。

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    2019年01月13日
  • 現代の貧困 ――ワーキングプア/ホームレス/生活保護

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    「格差」ではなく、「貧困」という言葉を用いているのがミソ。
    つまり、社会情勢などで誰もがその立場に陥る可能性があるのではなく、社会的に不利な立場におかれる人が一定数存在する、自己責任と切り捨てるのではなく社会全体が保障しなければならない層が存在する、という。

    単に不安を煽る(?)だけでなく、きわめて真面目に「貧困」と向き合い、分析した一冊。面白かった。

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    2011年09月26日
  • 社会的排除:参加の欠如・不確かな帰属

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    [ 内容 ]
    ホームレスやワーキングプア、ネットカフェ難民、日雇い派遣、孤独死や自殺など、福祉国家の制度からこぼれ落ち、呻吟する人々。
    彼らはなぜ、どのようにその拠り所を失ったのか。
    グローバリゼーションとポスト工業社会において、深まるばかりの社会分裂を、どのように分析するか。
    曖昧に使われてきた「社会的排除」概念を、社会参加と帰属に焦点を当てて、理論的にクリアに示し、データとフィールドワークを駆使して、日本の今のリアリティに迫る。

    [ 目次 ]
    序章 社会に参加するということ
    第1章 「社会的排除」とは何か
    第2章 社会的排除vs.貧困
    第3章 社会からの「引きはがし」と「中途半端な接合」

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    2010年06月26日
  • 社会的排除:参加の欠如・不確かな帰属

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    タイトルのみで一読。最初は大きな社会というコミュニティの中から排除される人に関する本かと思ったが、排除される人の社会的位置づけに関する本といったほうが近い。社会論は全くの素人だが、こういう見方もできるのかという新たな見地を知ることができ面白く読むことができた。こういう話は物理学と一緒で、理論としては面白いのだが、現象の対応という現場論では難しい問題がいろいろあるのだと思う。ただ、社会や経済における構造を変えていくことで社会的弱者を減らしていくことはいつの時代でも変わらぬ課題だし、研究していかなくてはならない分野だ。

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    2011年08月29日
  • 現代の貧困 ――ワーキングプア/ホームレス/生活保護

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    なぜ結婚をしていないとホームレスになる確率が上がるのだろう。未婚がワーキングプアにつながってゆく道筋は複雑です。

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    2009年10月28日
  • 現代の貧困 ――ワーキングプア/ホームレス/生活保護

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    格差社会の果てにワーキングプアや生活保護世帯が急増中と言われるが、バブルの時代にも貧困問題はあった。貧困問題をどう捉えるか、その実態はどうなっているのか。現代日本の現状を明らかにし、その処方箋を示す。(TRC MARCより)

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    2009年10月04日
  • 現代の貧困 ――ワーキングプア/ホームレス/生活保護

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    社会学的な貧困研究のコンパクトな入門書になっていると思う。『希望格差社会』以降の格差問題がブームになって、ネオコン的経済動向が「新しく」貧困を作り出しているように捕らえがちだが、それがある種虚構であることを鋭く突いている。貧困はバブル期にだってあったのだ。逆にそういう時期「もう貧困はない」ということで社会統計的にも学術的にも空白になり、世間でも貧困問題を不可視にしていたことがよくわかる。いわゆる絶対的貧困は、こんなことありえないし許せない、というラインを「社会が」決めて対策を講じるときに必要な概念だが、そういうものを、格差という「常にあるもの」に置き換えることで、仕方ないことにしてしまわないよ

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    2009年10月04日
  • 貧困の戦後史 ──貧困の「かたち」はどう変わったのか

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    時代によって貧困の考え方違うんだよなぁ。
    今は貧困でいいじゃんって過ごすと昔より生命の危機を及ぼすんだよなぁ

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    2025年11月30日
  • 社会的排除:参加の欠如・不確かな帰属

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    社会的排除という概念、それを使ってホームレス、ネットカフェホームレスを分析していく。
    学びの多い本です。
    ただ、社会的排除と貧困を社会学的に分析することの差異や
    がしっくり来ませんでした。
    申し訳ありません。

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    2022年05月21日
  • 貧困の戦後史 ──貧困の「かたち」はどう変わったのか

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     戦後日本の「貧困」の変遷をそれぞれの時代に沿って具体的な事実を通して(できるだけ当事者性を重視して)まとめている。貧困者の生活・家計の実情が具体的にわかる同時代史料を多く引用しており、数字の羅列ではない「生きた」戦後生活史・都市社会史として情報量が非常に多い。他方、本書では直接の批判は抑えているが、一貫して貧困を生み、貧者を食い物にする市場・企業の飽くなき欲望や、開発主義と治安主義のもとで貧困者を排除するばかりの政治、貧困者への攻撃・バッシングに加担する多数派大衆の存在が通奏低音のように響く。著者は最後に貧困の責任を個人に引き受けさせる日本社会を変えるにはどうすればよいか自問しているが、それ

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    2018年04月19日
  • 貧困の戦後史 ──貧困の「かたち」はどう変わったのか

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    ネタバレ

    貧困問題の碩学が御年70歳にまとめた本書は、もしかしたら、著者のライフワークの集大成なのかもしれない。「下流老人」とか「ネカフェ難民」など現在の貧困に関する言説は多いが、戦後史として、より広い時間・世相がまとめられていて、読み応えがある。特に、貧困の「かたち」という言葉で示される、貧困状態にある人々の諸々の様相をリアルに扱っているところが興味深い。
    本文もさることながら、「あとがき」に味わいというか、著者の色々な感慨が詰まっている。

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    2018年02月11日
  • なぜ女性は仕事を辞めるのか 5155人の軌跡から読み解く

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    日本女子大学現代女性キャリア研究所が2011.11に実施した、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県に在住の25歳から49歳までの、短大、高等専門学校卒以上の女性5155人のアンケート調査「女性とキャリアに関する調査」をもとに、キャリア形成や就業意識について分析したもの。キャリア形成に大学がどう支援できるかがテーマ。また就職氷河期1993-2005に就職した女性の調査が多くないこともこの調査を実施した理由。生年で言うと1962年から1986年生まれの人の調査。

    日本では国際的に見て高学歴女性の労働参加率が低く、就業率ではM字型を描くが、欧米諸国ではこのような傾向は見られない。この部分にメスを入れた

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    2015年08月16日
  • 現代の貧困 ――ワーキングプア/ホームレス/生活保護

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    国内の統計情報から貧困にまつわる数字に着目し、社会の傾向を読み取っていく一冊。ひとくちに「貧困」といっても大きく2つ、一時的なものか定常的なものかという分類とその中にいくつものパターンがあること、貧困に陥らないための抵抗力として最も効果を持つものが「家族」であることなどが数字の裏付けとともに確認でき、納得感のある一冊でした。自分の身は自分で守るだけでなく、家族ね、そろそろ考えないとね、とか。

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    2015年05月17日
  • 現代の貧困 ――ワーキングプア/ホームレス/生活保護

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    ホームレスや生活保護受給者へのフィールドワークは頭がさがるが保証人になってくれと求められると遠回しに断るしかない。せつない。

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    2014年12月05日
  • 現代の貧困 ――ワーキングプア/ホームレス/生活保護

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    現代の貧困は、見えない形で広がっている。
    →貧困を再設定するべきである
    貧困の定義付けは難しい。社会のなかで決められるべき。

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    2013年05月17日
  • 現代の貧困 ――ワーキングプア/ホームレス/生活保護

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    日本にも貧困ってあるの?

    私はそういう問いから始めざるを得なかった。

    日本に存在するホームレス問題についてや、そこから生活保護や日本の福祉制度に対する問題提起も含めて、色んな人に読んでもらいたい要素バツグン。

    基本的にかなり読みやすいと思うが、データの部分も多いので、これをもとに論文などを書くのでなければその部分は読み飛ばしてOK。とにかく通読してみてほしい!

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    2012年10月14日
  • 現代の貧困 ――ワーキングプア/ホームレス/生活保護

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    全体的に、分かりやすいけど専門的な本。日本の現状と課題はよく分かります。授業の教科書か副読本にいいかも。

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    2012年04月20日
  • 社会的排除:参加の欠如・不確かな帰属

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    【読書】著者は、生活保護やホームレス問題に詳しい日本女子大学教授の岩田正美氏。貧困問題は、生活保護のケースワーカーの経験を通じ、興味をもっているテーマ。著者が描く、社会からの「引きはがし」と「中途半端な接合」とは、自分が生活保護の現場でみた現実世界。
    社会からの「引きはがし」とは、これまで、失業や倒産、また、倒産と同時に生じた離婚や借金など様々な理由により、一般企業などに勤めているなど、社会のメインストリームにしっかり組み込まれていたのが、一気に転落するケース。本書で言う、ホームレスに至る3つの類型のうち、㈰転落型、㈪労働住宅型。㈪の労働住宅型については、リーマンショック後の派遣切り等で住居を

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    2011年03月11日