あらすじ
格差社会の果てにワーキングプアや生活保護世帯が急増中。だが本当にそうなのだろうか? バブルの時代にも貧困問題はあった。ただこの国は「ない」ことにしてきたのだ。貧困問題をどう捉え、その実態はどうなっているのか。ある特定の「不利な人々」ばかりが苦しみ、抜け出せずにいる現状を明らかにし、処方箋を示す。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「格差」ではなく、「貧困」という言葉を用いているのがミソ。
つまり、社会情勢などで誰もがその立場に陥る可能性があるのではなく、社会的に不利な立場におかれる人が一定数存在する、自己責任と切り捨てるのではなく社会全体が保障しなければならない層が存在する、という。
単に不安を煽る(?)だけでなく、きわめて真面目に「貧困」と向き合い、分析した一冊。面白かった。
Posted by ブクログ
格差社会の果てにワーキングプアや生活保護世帯が急増中と言われるが、バブルの時代にも貧困問題はあった。貧困問題をどう捉えるか、その実態はどうなっているのか。現代日本の現状を明らかにし、その処方箋を示す。(TRC MARCより)
Posted by ブクログ
社会学的な貧困研究のコンパクトな入門書になっていると思う。『希望格差社会』以降の格差問題がブームになって、ネオコン的経済動向が「新しく」貧困を作り出しているように捕らえがちだが、それがある種虚構であることを鋭く突いている。貧困はバブル期にだってあったのだ。逆にそういう時期「もう貧困はない」ということで社会統計的にも学術的にも空白になり、世間でも貧困問題を不可視にしていたことがよくわかる。いわゆる絶対的貧困は、こんなことありえないし許せない、というラインを「社会が」決めて対策を講じるときに必要な概念だが、そういうものを、格差という「常にあるもの」に置き換えることで、仕方ないことにしてしまわないように、この本のような要点整理は重要。で、今の日本の貧困は、社会的なありかたの組み合わせで(能力とか努力とかじゃなく)起こりやすくなる、という実証研究をわかりやすく説明してくれている。たとえば、女性で独身でこどもあり、とか、男女ともに有期雇用で寮に住む、とかの貧困リスクは高い。オッズの表があって、すげーインパクトだ。
Posted by ブクログ
国内の統計情報から貧困にまつわる数字に着目し、社会の傾向を読み取っていく一冊。ひとくちに「貧困」といっても大きく2つ、一時的なものか定常的なものかという分類とその中にいくつものパターンがあること、貧困に陥らないための抵抗力として最も効果を持つものが「家族」であることなどが数字の裏付けとともに確認でき、納得感のある一冊でした。自分の身は自分で守るだけでなく、家族ね、そろそろ考えないとね、とか。
Posted by ブクログ
日本にも貧困ってあるの?
私はそういう問いから始めざるを得なかった。
日本に存在するホームレス問題についてや、そこから生活保護や日本の福祉制度に対する問題提起も含めて、色んな人に読んでもらいたい要素バツグン。
基本的にかなり読みやすいと思うが、データの部分も多いので、これをもとに論文などを書くのでなければその部分は読み飛ばしてOK。とにかく通読してみてほしい!
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
格差社会の果てにワーキングプアや生活保護世帯が急増中、と言われる。
しかし本当にそうか?
バブルの時代にも貧困問題はあった。
ただそれを、この国は「ない」ことにしてきたのだ。
そもそも、貧困をめぐる多様な議論が存在することも、あまり知られていない。
貧困問題をどう捉えるか、その実態はどうなっているのか。
ある特定の人たちばかりが貧困に苦しみ、そこから抜け出せずにいる現状を明らかにし、その処方箋を示す。
[ 目次 ]
1章 格差論から貧困論へ
2章 貧困の境界
3章 現代日本の「貧困の経験」
4章 ホームレスと社会的排除
5章 不利な人々
6章 貧困は貧困だけで終わらない
7章 どうしたらよいか
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
うすうすとは感じていながら、何が悪いのかはよく分からなかった。
それがスッキリしたという感じです。
少ないながらも資料をもとにじっくりと書かれています。
読むのに少し時間がかかったのですが、
それでも作者はたぶん書き足りなかったのだろうなあというのが読み取れます。
Posted by ブクログ
あとがきでも述べられているように、深い議論には踏み込まず、「貧困論」を中心として全体的に広く・浅くまとめられていると思います。貧困について学ぶ上では、入門書の役割を果たしてくれるのではないでしょうか。
あえて言えば、正論が多すぎて、どことなく胡散臭さが漂っているような気がします。岩田正美なんて、超大御所で厚生労働省の委員会の委員長もやっているぐらいの人ですから、あまり下手なことは言えないのかもしれませんが。
ただ、現在の生活保護における住宅扶助を制度そのものから切り離し、独立した制度にするという制度はなかなか面白いのではないかと思います。今握っている権力で、ぜひ実行に移していただきたいです。
本書でも述べられているように、今後の日本の貧困ラインがどうなるのか。この本は1つの啓発にもなるのではないかと思います。
Posted by ブクログ
マクドナルド・プロレタリアート。
貧困と格差は違う。
格差とは、ある層とある層の開きなど状態を表す言葉であるが、貧困とは、社会的に解決すべきであるという価値判断が込められている。
統計上のサンプルだけでなく、幾つかの実例を紹介してくれたら、共感も呼び、より深く読めたのにと残念に思う。
Posted by ブクログ
貧困は、それをどういうものとするかによって、変わりうる。日本は高度経済成長を経て貧困がないものとされたが、それは発見しようとしていなかったためであって、存在していた。
貧困が続している層というのは存在するが、それを見ようとしない、そしてそれに対しての適切な再分配がない。
貧困は学歴などが関係しており、連鎖する。
Posted by ブクログ
現代社会の貧困について、豊富なデータを元に解説した本。
小泉政権のせいでこんなに格差が!びっくりするほど生活が大変!
と危機感をあおるような本ではなく、むしろ奇をてらわずに、日本にある貧困について再認識させてくれる。
どうしてもニュースなどでは、貧困というと中産階級の転落とか、社会福祉なんか無駄だといいたくなるような横暴なDQNとかを扱いがちなのだけれど、むしろ経済的にも人間関係的にも不安定で、不況などで割をくいやすい、よりリアルな貧困層について再認識することが出来た。
貧困を他人事みたいに書いてますけど、僕だってお金があるわけじゃないんだよねぇ・・・
Posted by ブクログ
「貧困」をボーダーライン設定基準の揺れから捉えていく。解決策として挙げられるのは、貧困の形態個々に合ったものが簡単に挙げられている。「新しい貧困」を再び見つけた現代で、我々はそれをどう受け止めるべきなのか、もう一度考えたい。