岩田正美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
格差社会の果てにワーキングプアや生活保護世帯が急増中、と言われる。
しかし本当にそうか?
バブルの時代にも貧困問題はあった。
ただそれを、この国は「ない」ことにしてきたのだ。
そもそも、貧困をめぐる多様な議論が存在することも、あまり知られていない。
貧困問題をどう捉えるか、その実態はどうなっているのか。
ある特定の人たちばかりが貧困に苦しみ、そこから抜け出せずにいる現状を明らかにし、その処方箋を示す。
[ 目次 ]
1章 格差論から貧困論へ
2章 貧困の境界
3章 現代日本の「貧困の経験」
4章 ホームレスと社会的排除
5章 不利な人々
6章 貧困は貧困だけで終わらない
7章 -
Posted by ブクログ
あとがきでも述べられているように、深い議論には踏み込まず、「貧困論」を中心として全体的に広く・浅くまとめられていると思います。貧困について学ぶ上では、入門書の役割を果たしてくれるのではないでしょうか。
あえて言えば、正論が多すぎて、どことなく胡散臭さが漂っているような気がします。岩田正美なんて、超大御所で厚生労働省の委員会の委員長もやっているぐらいの人ですから、あまり下手なことは言えないのかもしれませんが。
ただ、現在の生活保護における住宅扶助を制度そのものから切り離し、独立した制度にするという制度はなかなか面白いのではないかと思います。今握っている権力で、ぜひ実行に移していただきたいです -
Posted by ブクログ
・世界はまるでショッピングモールのように、あらゆる人々に開かれ、簡単に交換する場となりつつあるのに、
肝心な場面で、特定の人々を「関係者以外立ち入り禁止」の札によって拒み、彼らを社会関係の外に追いやろうとしている
構造が存在している
・貧困が、生活に必要なモノやサービスなどの「資源」の不足をその概念のコアとして把握するのに対して、
社会的排除は「関係」の不足に着目して把握している
・社会的排除は、しばしば特定の場所から排除し、その結果排除される人々が特定の場所に集められる(空間的排除)
・タウンゼントは、人々が社会で共有し参加することを当然とされる諸慣習や諸活動の体系を意味する生活様式に着 -
Posted by ブクログ
主に高学歴の女性が対象のアンケートを基に、キャリア形成に関する様々な考察をしている。基本的に順番通りに読み進める前提のもので、前の章の内容も時折登場する。
まず、高学歴女性が初職を辞めた理由は、「仕事上の理由」が上位に挙がっているというのが意外な結果だった。女性の退職理由として結婚や出産が大半と考えていたからだ。配偶者や周りの環境の影響よりは自分の意思で選んでいるようだ。
また、初職を辞めた女性はその後上手くキャリアを形成できていないことから、初職でうまいこと安定して理想的な職場に就職出来ることが重要なようだ。
※一部読んでない箇所があるため齟齬がある可能性あり
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Posted by ブクログ
現代社会の貧困について、豊富なデータを元に解説した本。
小泉政権のせいでこんなに格差が!びっくりするほど生活が大変!
と危機感をあおるような本ではなく、むしろ奇をてらわずに、日本にある貧困について再認識させてくれる。
どうしてもニュースなどでは、貧困というと中産階級の転落とか、社会福祉なんか無駄だといいたくなるような横暴なDQNとかを扱いがちなのだけれど、むしろ経済的にも人間関係的にも不安定で、不況などで割をくいやすい、よりリアルな貧困層について再認識することが出来た。
貧困を他人事みたいに書いてますけど、僕だってお金があるわけじゃないんだよねぇ・・・