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水使い、それはこの世の全ての力を統べる者――。水荒れ狂う森深くに棲む伝説の水蜘蛛族の女であるタータとラセルタは、砂漠で一人の愛らしい少女を拾う。少女は外見に似合わぬ居丈高な態度で、水を操る力を持っていた。それもそのはず、彼女は砂漠の統治者イシヌ王家に生まれた双子の片割れ、ミイア王女だった。跡継ぎである妹を差し置き、水の力を示したミイアは、自分が国の乱れの元になることを恐れ、独り城を出たのだ。そんな彼女に、水の覇権を狙う者たちが迫り……。第4回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞、驚異の異世界ファンタジイ。/第4回創元ファンタジイ新人賞選評=井辻朱美、乾石智子、三村美衣
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引きずり込まれる異世界
読み応えのある濃厚な作品。本文のイメージ通りの禅之助さんのイラストが素晴らしいが、この物語は光景が目に浮かぶところも秀逸だ。また、比求式と舞によって力が生み出されるというメカニズムをはじめ、理論上の裏付けがあるかと勘違いするほど、丹念な科学的検証がなされている。庵野ゆきさんはフォトグラファーと医師の共同ペンネームだそうだが、アニメで観たいと思わせるビジュアルと科学的なアプローチは、この組み合わせの賜物なのだろう。
そして、多彩な登場人物を見事に描き分けている。読者によって「推しメン」が割れるのではないか。私はウルーシャに入れ込んで読んだ。だから帯に書かれたウルーシャの紹介には断固抗議したい。(「調子のいい性格」と書かれている。)ミイアの偉そうな口調が何とも可愛く、難しい言葉をひらがなで喋っているのも微笑ましい。しかし「ミイア推し」の人には、サブキャラに主役の座を脅かされた感があって、物足りなかったかもしれない。次作以降でのミイアの大活躍を期待しよう。ミイアとタータ、タータとラセルタ、ウルーシャとハマーヌなどの掛け合いが面白くて、声に出して笑うことも度々だった。全員の口調が違うという、セリフの書き分けも見事だ。
これがデビュー作ということだが、ここまで綿密に異世界を構築するのに何年を要したのだろう。どこにも破綻がないので、あっという間に異世界に引きずり込まれた。読み終わって、ハマーヌとミイアが関わらなかったことや、アリアの登場シーンがほとんどなかったことなど、いささか未消化の部分もあると感じたが、続編(幻影の戦)が出ると聞いて合点がいった。描いていない部分があったのは、これがシリーズの第一作だったからなのだ。
ずっと続いてくれることを願っている。
Posted by ブクログ
雷、風、土、火、光、この世に存在するありとあらゆる力を使いこなした先にある水丹術。
後継者である妹に先んじて水丹術の才を示した幼い王女ミリアが、政治的な諍いを避け、城を抜け出した先で出会ったのは伝説として語られる水蜘蛛族の彫り手だった……。
イシヌ王家により統治されている砂ノ領を舞台としたファンタジー。
本作の魅力は、作り込まれた世界観と、生き生きとしたキャラクターです。
まずなんと言っても世界観の作り込みがすごい!
雷、風、土、火、光、そして水という世界に存在する様々な力を操る丹導術。
未知の超常的な術の力や設定は、読んでいるだけでも想像力が掻き立てられ、ワクワクしました。
それだけでなく、丹導術は人々の生活や考え方、物語そのものとも密接につながっており、本作をより奥深いものにしています。
また、この世界に住む人々の風俗(衣食住など)も細やかに表現され、まるで別世界に迷い込んだような気分にも。
そして、それぞれが違った信念や考え方を持ち、行動しているキャラクターたちは、とても生き生きと魅力ある者ばかり。
特に、本作は主要キャラクターたちの出会いや別れを経ての成長が克明に描かれており、非常に読み応えがあります。
楽しかった
化学と物理学と魔法が合わさったような術を操る人々のお話。世界や歴史を様々な部族の視点から描いている。戦闘マンガ風に軽く読むこともできるが、よくよく読めばジェンダー論的な考察もあり。色々な読み解き方ができる。おすすめ。
Posted by ブクログ
めっちゃ面白かった!
最初は視点が変化することで誰が誰だか分からず混乱したが、人物像が確立してからはこのファンタジーに魅了されてしまう
基本的な視点は、ミイア、ハマーヌ、そしてラセルタだろうか
タータの印象が強かったのだが、タータは他の登場人物から語られるばかりだったんだなと
他者からの印象で強い女性という認識になっていた
感想を書きながら驚いた点だ
ファンタジーは好きだけど、どの作品においても最初は取っ付きにくさがあるような気がする
今の現代と全く異なる世界観だからだ
その世界を知る事に魅了されてのめり込めるのがファンタジーの魅力であるような気がする
砂舞う世界で水を扱う、丹を用いる
入れ墨を入れて水を扱う世界観が面白いなって思った
舞に合わせて繕う技術
どんな模様なのだろうか
実際に見てみたいものだ
どの登場人物も魅力的で面白い
ミミちゃんの幼い強さがとても好き
どんな大人になるのだろうかと次巻に期待
Posted by ブクログ
第4回創元ファンタジイ新人賞優秀賞を受賞した作品
えーっと、これすきだわ!
うん、おもしろい!
まず、ファンタジー小説なのでその世界観は大事です
読みはじめはその世界観が少しわかりづらかったけど、物語が進むにつれてどんどんのめり込んでいきました
で、ファンタジー小説は登場人物も大事です
やっぱり魅力的なキャラがいないとだめです
水蜘蛛族のタータ最高です
んで、ファンタジー小説には必殺技も大事です
この物語の世界には丹導術という技があります
魅力的なキャラが必殺技を使ってドンパチする、これ嫌いな男の子はいないでしょ
なのに、選評はちょっと厳しめ
ある人は…
作りこんだ世界ではあるがそれを表現するには倍以上のページ数が必要
主人公の目線からだけの物語の方がわかりやすい
バランスがとれていない気がする
またある人は…
主人公の活躍が少ない
ある登場人物と主人公の接点が薄く、別々の話を強引にくっつけた感が否めない
さらにある人は…
サブキャラに魅力があるがために、美味しいところを全部さらって退場された感が否めない
などなど
挙句の果てには…
タイトルは一考したほうがいい
と
どの人もこの人も新人に対して厳しすぎやしないか!?
それともこれが愛情なのか!?
ま、知りませんけど…
作者がこの選評を素直に受け取ったかどーかはわかりませんが、続編もありシリーズ化しているみたいです
(書ききれなかった部分を続編で書いているのかもしれません)
また、本作は創刊するにあたり『門のある島』から『水使いの森』と改題しています
さらに、ペンネームも『深野ゆき』から『庵野ゆき』に変更しています
ペンネームまで変えちゃった…
きっと作者は素直な人なんですね
よし!続編も読むぞ!
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