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Posted by ブクログ
「空を飛ぶ」ということはどういうことなんだろう?
例えば、「地面から足が離れた状態」とした場合は、椅子に座って足を投げ出していても空を飛んでいることになる。
じゃあ、「地面と肉体の接点が直接的・間接的を問わず無い状態」としたら、ジャンプしている時も空を飛んでいることになる。
じゃあ、「地面と肉体の接点が直接的・間接的を問わず一定時間以上無い状態」とした場合も、たかいところから落下している時も飛んでいることになる。
おそらく言葉を付け足して付け足して、厳密にしていけばそれっぽい定義が出来上がるのだろうけれど、もはやそれは多くの人が認識している「空を飛ぶ」こととは別な状態な気がする。なぜなら、空を飛ぶってことを多くの人はそこまで厳密に捉えていないからだ。
なんとなく空を飛んでいると思うから。そう、なんとなくだ。
その抽象的で曖昧な認知の隙間に付け込んでいるのがマジックなのだろう。
飛行機は空を飛ぶ。それに異議を唱える人はまずいない。みんな飛行機は空を飛ぶと思ってるから飛行機は空を飛ぶ。
だけど、じゃあマジシャンが空を飛ぶのはどうだろう?
タネも仕掛けもある前提でやっているマジシャンがある日突然「私は空を飛べます。残念ながらこの能力にはタネも仕掛けもありません」と言って空を飛んだら?
他のどんな優秀なマジシャンや科学者もそのタネも仕掛けも見抜けず、もう認めるしかないとなった時、はたしてそれは本当に空を飛んでいると言えるのでしょうか?
真実を知るのは本人のみだけど、その本人が口を閉ざしてしまったら、もうそのマジシャンが空を飛んでいると認めるしかない。だって、全員にそう見えているから。
世界は認知の賜物だって言葉をどっかで聞いた覚えがあるが、これはまさにその通りなのかもしれない。天動説だって昔は真実だったわけで、みんながそうだって言えばそうなってしまう。怖ろしい。
本書を読んでそんなことを思ったのでした。ストーリーとかはガン無視。上遠野さんの本に限ってはあまりストーリーは大事じゃないと思ってる。
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