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小説 12位
結婚休暇を終えて太陽も大阪へ戻り、業務に復帰した沙名子。天天コーポレーションでは業務効率化のため、システム改革の真っ最中だ。会計システムや在庫管理などの電子化が進んでいるけれど、チャットで問い合わせるのは苦手、経理部が窓口のままでいてほしい、スーパー銭湯『藍の湯』だけは今まで通りで――などなど、便利になるはずなのに、反対する勢力は意外に多い。システム会社フルネットワークシステムズの担当・有瀬結実子も辛抱強く対応しているけれど、社内事情をよく知る沙名子に相談してきて・・・・・・? 営業部ではキャンペーンの担当替えがあったり、女子ロッカー室の移転で意見が割れたり・・・・・・今日も天天コーポレーションは通常営業中?
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最近人気のお仕事系小説。知らなかった職業の裏側を知ることが出来たり、働く主人公に社会人として共感したり。本作もそんな系譜に連なる作品です。
優秀な経理部員・森若沙名子が、経理部を訪れる社員や彼らが提出する領収書などを通して、社内の問題や社員同士のトラブルを「イーブン」にしていくという物語。この森若さんの仕事っぷり、全ての会社員が羨むほどきっちり完璧で、読んでいるだけで気持ちいい……。ドジな主人公が失敗しながら成長していくストーリーを読むと主人公のミスにイライラして耐えられない派のみなさん、森若さんは信頼できる主人公です。あくまで「イーブン」にしたいというのが森若さんの美学なので、正義感を振り回すことがないというところも、控えめに言ってかなり推せます。
出てくるキャラクターたちも、経費でぎりぎりグレーな私物を購入する広報課長、私費を使ってでも会社に貢献して正社員になりたい契約社員、レジミスを謝らないアルバイトなどなど、「うわーあるある!」というリアルさ。友達の会社のトラブルを聞いているかのように「え、ありえない!」「この人怪しすぎ〜」と、思わず心のなかで相槌を打ちまくってしまいます。そして、読み終わった頃にはもう、森若さんが同僚かのような気持ちに。
そんな信頼の森若さんですが、恋愛の方は不器用でこじらせ気味。営業部のムードメーカー、山田太陽から想いを寄せられているのですが、この2人のラブ、なかなか進まない……。しかし、仕事は早くて迷いのない森若さんが、一つ年下の太陽からの好意に戸惑い、自問自答しながら亀の如き歩みでゆっくりと距離を縮めていくモダモダ感も風流というもの。
お仕事エピソードをスカッと読ませて、恋愛エピソードでムズキュンさせてくれる、1冊で2度美味しい作品です!
Posted by ブクログ
読み終わってませんけど、パッションが溢れすぎるのでこの気持ちをここに書いておきます!
エンダーーーーーーー!!!!!ここまでありがとう世界。作者。本当に待っていた。需要を知っていたのか。ありがとうありがとうありがとう!
あと、森若さんの何が好きって高校の頃の友達とか出てこないところでしょうか。森若さんのスッキリした人間関係とても好き。
前回は鎌本&マガキのホラー小説かと思いましたが今回はホラー?要素少なくて‥全くオカルトでもないのにこんなに人を恐怖に陥れることのできる鎌本さんはすごいです。天罰求む。神様は見ているよ。
あきちゃんの幸せをもっと描写してくれてもいいのよ。好き!
Posted by ブクログ
結婚休暇を終え、いつもの業務に復帰した森若さん。一方、天天コーポレーションでは業務改革が進み、営業部の担当替えや女子ロッカー室の移転など、社内のあちこちで変化が起き始める。
森若さんのいる天天コーポレーションが帰ってきた!
前巻が少し特殊な一冊だっただけに、まずこの感覚が嬉しかった。しかも、休暇中に起きていたことの引き継ぎを受ける形で、森若さんと一緒にいつもの日常へ戻っていく。この入り方がとても自然で、あっという間にこのシリーズの世界へ引き戻された。
森若さん自身は変わらなくても、「結婚した」という事実によって周囲は変わる。気を遣われたり、配慮されたり、これまで森若さんに集まっていた責任が周囲へ分散されたり。誰かに悪意があるわけではない。それでも、自分を取り巻く環境が少しずつ変わっていくことにナーバスになる森若さんにはすごく共感した。あれこれ気遣いができる人ほど、周囲の小さな変化まで感じ取ってしまうのだと思う。
そして、変革の時を迎えている天天コーポレーション。より良くしようと知恵を絞る人がいれば、今まで通りを望む人もいる。変えたい気持ちも、変えたくない気持ちも分かる。そして、その間に立って取りまとめなければならない人の心境も分かる。誰か一人が正しいのではなく、それぞれの立場にそれぞれの事情がある。そこを丁寧に描くからこそ、単なる業務改革の話では終わらない。このあたりは、組織に属して働く人なら大きく共感するところがあると思う。
そして真夕ちゃん推しとしては今回も大満足。森若さんがいない間に、ずいぶん成長したんだなと思わせる大抜擢が嬉しい。エピローグのタイトルが「変わる真夕ちゃん」なのもたまらなかった。
人も変わる。会社も変わる。そして、変わらないものもある。
長く読み続けているからこそ、その小さな変化に気づけるのもこのシリーズの魅力だと思う。魅力的なキャラクターたちの中に自分を重ねたり、「この人をもっと見ていたい」と思える推しを見つけたり。そして、その人たちの人生を追いながら、会社そのものの変化まで見届けられる。
14冊という時間を積み重ねてきたシリーズだからこそ味わえる面白さが、今回もしっかり詰まっていた。
森若さんたちも、天天コーポレーションも、これからどう変わっていくのだろう。またしばらく次巻はお預けだけれど、このシリーズは待っている時間まで楽しみになってしまう。
Posted by ブクログ
新婚旅行から日常へ戻ってきた森若さん。経理部では仕事のあれこれを熟知しているベテラン社員の雰囲気が定着しているので、新たな環境で毎日の安定を定着するために着々と自分を維持する場所を見つけていく。新婚単身生活の二人は各々なりに同居に向けた準備を粛々と進めている。並行して経理部を取り巻く環境では何がモヤモヤとした出来事も黙々と進捗している。
吸収した銭湯は家族経営や保守派のスタッフで時代に追従しようとする天天の行く手を妨げる存在になりそうでなりきれない空気感。新システムへの移行は幾多の大企業が経験している難題だ。反対派を押し切るのは定常的なタスクだろうし、切り替え期間でのトラブルも決して希少な機会ではない。そんな最中に吊り橋効果なのか新たな恋の予感も感じた。人事異動、経理部の業務分担変更は新たな人間関係を作り新たなウサギを生み出すかもしれない。沙名子さん以外にもウサギを追う役割が回ってくるのか?
小さなモヤモヤと共に平和な天天が変貌していく様はまだまだ続きそうで楽しみです。
Posted by ブクログ
安定のおもしろさ。
天天コーポレーションの昭和感のある社風に懐かしさを覚えてしまう。(ペーパーレスが進まない、制服、ロッカールーム、掃除当番などなど)
相変わらずの沙名子の合理的で面倒なことには首を突っ込まない姿や、社内でうまく立ち振る舞うための根回しをする人がいたり、嫌な同僚もいたり、あぁこういうことあるあると思いながら読み進むのが毎回楽しい。
自分の会社での立ち位置をそれぞれの立場でしっかり保守しようとしているのもそうだよなと思ったり共感することがたくさんありすぎる。
自分の会社をいい会社、好きだと思いながら仕事するってやっぱり素敵なことだし、自分もそうありたい(現実はまったくそうじゃないけど)と思わせてくれる一冊。
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