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中学2年生の翔には悩みがあった。それは、言葉を読み間違えたり言い間違えたりして周りを笑わせてしまうこと。わざとではないのに同級生から漫才の相方に指名され、母にはユーモアセンスがあると励まされる。みんなと同じことができない自分には、どんな才能があるのだろう――。生きづらさを抱えながら日々を過ごす翔と、彼を取り巻くひとびとの悩みと優しさを描き出す、切なくも愛しい物語。
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Posted by ブクログ
みんな懸命に生きているのだと思いました。懸命が故、噛み合わないもどかしさも感じました。章ごとに語り手が代わり、色んな登場人物の悩みや心情がわかります。物語を通してそれぞれが殻を破っていく様子がいいです。最終章で作品名に辿り着いた時、ほっこりしました。素敵な作品です。
中学生の翔とその友人や家族の物語。 人は皆不完全でどこか哀しいけれど愛おしい。 読んでよかったです。
難読症を抱える中学二年生の翔と彼を取り巻く親や同級生の、それぞれの悩みと希望を描く連作小説。 生きていくってことは、子どもも大人も男も女も辛いことなんだ。自身のコンプレックスに家庭の事情、社会的立場や組織内の立ち位置など、どんな人も悩みは尽きない。本作に登場する人々は、みんな前を向いて歩いている。止...続きを読むまない雨はなく、明けない夜もない。勇気をちょっと貰える作品だ。
ディスレクシアという読み書きが困難な障がいを持つ中2の主人公。その家族と、クラスメイトをとりまく連作短編。 軽い内容ではないし、実際すごく大変なんだろうけど、テンポよくさらりと読ませてくれる。 でも心に残る。よかった。
みんな、悩みながら生きている。子どもにも大人にも…。でも、こうして生きていこうって思えることが大事なんだと思う。そして、その決断は、人との出会いややり取りの中で生まれてくるのだな、と思う物語でした。
ディープな内容だけどあっさり読める。 何か大きい出来事が起こるというよりは、作中で軽く、一石を投じる登場人物全員が愛おしくて。 もがいてもがいて、白黒つかなくても、でも少し動けた!行動できた!っていう感覚。それが人を作っていくのかもしれない。
言葉の言い間違いや読み間違いに悩みを抱える中学二年生の翔。 学校では、学校、家、人間関係、様々なものに生きづらさを覚える翔。なぜだろう。学習障害と呼ばれる特性に周囲が理解をしていないからこその苦しみもあるだろう。反面に、障害なんだからしょうがない、という本人の気持ちを飛び越えるような理解や共感からの...続きを読む苦しみもあるだろう。 障害という特性は消せない。けど、障害がその人の全てではない。 じゃあ何%くらいを占めるのか、どのくらいの配慮が適切なのか、正解はわからない。 翔が進路を決めるとき。社会に出るための訓練ができる学校を選択肢の1つとするとき。 「もう少し時間がほしい。あと3年間だけでいいから考えたい。でも社会はそれを許さない。助けるふりをして、本当は障害者を押し込めるのではないか」そんな表記がある。 制度の良し悪しだけで考えてはいけない、その人の気持ちに、一人の人間の人生に、寄り添って考えてくれる人がまわりにどれだけいるか、それが生きやすさなんではないだろうか。
当事者だけでなく、周囲の人間の視点も加える作品って好き。 あらすじ(背表紙より) 中学二年生の翔には悩みがあった。それは、言葉を読み間違えたり言い間違えたりして周りを笑わせてしまうこと。わざとではないのに同級生から漫才の相方に指名され、母にはユーモアセンスがあると励まされる。みんなと同じことができな...続きを読むい自分には、どんな才能があるのだろう―。生きづらさを抱えながら日々を過ごす翔と、彼を取り巻くひとびとの悩みと優しさを描き出す、切なくも愛しい物語。
ディスレクシア(読字障害)を持つ中学生男子、夏見翔と、その周りの人たちの、6つの物語です。 困難を抱えて一生懸命生きている翔、息子を懸命にサポートしようとするお母さん、それぞれの問題を持つクラスメートたち。 内容はけっこうヘビーというか、それぞれの人が抱えてるそれぞれの問題がけっこう深刻なのですが...続きを読む、中学生が主人公だからか、それとも作者の力量なのか、きらきらした爽やかな読後感でした。
正直に言えば事前に障害がある少年の話と聞いて「お涙頂戴ものか」と批判的に構えていた。 内容は1人の少年と彼を取り巻く家族や友人の群像劇である。 やや最終章ありきの強引さやまとまりのなさを感じるが物語として程よい読後感がある。 子ども達は子ども達の世界で傷つきながら成長していく。いや成長というのは大...続きを読む人が自分の経験と重ねて決めつけているものであって、私たちと同じように、その時その時でのどうなるか分からない不安な中での判断の連続に過ぎない。ただ大人はこうすれば安パイという振る舞いを経験的に知っているだけだ。それゆえに安パイから外れたことが起こった時、大人というロールから外された時、彼らは…私たちは脆くも崩れていく。 人であることに大人も子どももない。そう感じさせる。 最終章。彼の選択が正しいのか、そうすべきことなのか、それでいいことなのか、誰にも分からない。守る星と信じたものがものの数ヶ月で変わり得ることを私たちは知っている。堅く誓ったことごとが社会の残酷さの中でいとも簡単に打ち砕かれることを私たちは知っている。 それでも、私たちは信じたい。その信じたい思いに年齢もロールも関係がない。信じること、傷付きながらも信じたいと思うこと、とりあえずでも信じて意思決定すること、そしてまた裏切られること。 人の業と言えるかもしれない。しかし、そこに美しさを感じるのも、また人なのだろう。
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