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「師匠は言った。“私の長い旅の中でも、最も印象に残っている国の一つだった。あの国のことは、忘れようとしても忘れられない”って」「なるほど。あのお師匠さんが詳細を語るのをもったいぶるくらい、とても素晴らしい国だったんだね!」「または、一生忘れられないほど酷くて酷くて、ボクに伝えることすら憚られるほど、本当にどうしようもない国だったか……」「でもさ、すでにそれ以外に、どうしようもない国の話をたっくさん聞いているよね。すると、それら以上?」「うーん……。そうなると、もはや想像がまったくつかないね。なんにせよ、そこにボクがもうすぐたどり着けるというのは、嬉しい」 キノが言った時、城壁が遠くに見え始めた。 「さあて、どんな国だろう?」 キノが楽しそうに言って、エルメスのアクセルを開けた。 (「美しい記憶の国」他全12話収録) “あとがき”は15周年スペシャル×××××!!
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Posted by ブクログ
最近色々なことに疲れてしまって懐かしく読みやすいものを読みたいと思い、ずっと前に買ったまま放置していた本を手に取ったら秒で読み終わった。中学〜大学あたりまで、年1冊ペースで出るこの本を楽しみにしていたなあ。
最初に挟まれるエピローグ・bが最後に描かれるエピローグ・aによってがらりと見方を変える方式を学んだのもこのシリーズから。最初に印象的なシーンを挟もう、という方式は長編小説の書き方指南ではよくされがちだけど、それを連作短編集でやるとこう、といういいお手本。
登場人物・ストーリー・時間軸も複数本走っていて、シリーズをずっと追っていても飽きない。寓話のような話の数々は時に人間の心情や行動の不思議を突いてくる内容で、うーんと唸ることもある。
久しぶりに読んで、ライトノベルってほんと楽しく読んでいたなあ、というのを思い出させてくれた。ありがとう。
Posted by ブクログ
空いた時間で読める本をと思い、久しぶりにキノの旅シリーズを読みました。私はこの作品の風景の描写が好きで、モトラドに乗って流れる景色を見ている様なきもちになります。
最近気づいたのですが、カバー後ろにある作者コメントを見ると何巻かわかるんですね。巻数がローマ数字で書かれているので、パッと知りたい時はここで見ることにします。
「天才の国」と「秀才の国」の話。極端に書かれている話かもしれませんが、実際に生まれてくる子を選ぶ親の話に似ているなと思いました。選ぶという書き方をするととても非人道的に思えますが、育てる親にもそれぞれ置かれた状況がある。だからそれが悪いことだと私は言い切ることができません。ただ、生まれてくる子供は親を選べない、その言葉を思い浮かべると切ない、悲しい気持ちになりました。
Posted by ブクログ
キノの旅は15周年だそう。
それなのに200ページちょっとしかなかったので、少し物足りない気がした。
新刊が出るのも年一回だから寂しい。
他の作品も書いているのはわかるが、キノが一番だと思うので、もっと注力してほしいところ。
今回は寓話っぽさもあまりない。
戦争論みたいな押しつけがましいのばかりだと嫌になるが、考えさせられるような言葉をもっと読みたかった。
でも、「助けに来た国」の「同じように泣けない生き物は、一緒に暮らせない」というセリフが印象に残っている。
友達にしろ恋人にしろ、「一緒に笑える」ことよりも「一緒に泣ける」ことの方が大事なように私は思う。
嫌なことがあっても友達と盛り上がって吹き飛ばす!というような人もいるかもしれないが、多くの人にとっては「常に前向きに生きる」ということが難しいのではないだろうか。
器の小さい私なんかだと、辛い時に周りが楽しそうだと鬱陶しく感じることさえある。
これは「悲しんでいるときに寄り添ってくれる」という優しさの話ではない。
寄り添ってもらうというのはなんだかみじめだ。
泣くときの基準・価値観、そして泣いてしまうような「状況」を共有できれば……。
つまり、「同じ価値観」で「一緒に泣くことができる人」と「一緒に悲しい状況に飛び込む」ことができれば、こんなに心強いことはない。
共依存みたいになるのは困りものだが。
そういえば、銀色夏生さんの詩集『君はおりこうみんな知らないけど』の中に、
「僕たちは 何か一つ すくいあおう」
という一節があった。
同じ理由でこれもお気に入り。
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