メソポタミアのボート三人男

メソポタミアのボート三人男

小説・文芸
2,420円 (税込)

12pt

川旅は土地のいちばん低いところを行く――。
トルコ東部のティグリス=ユーフラテス川上流域をボートで下る辺境作家(高野秀行)と探検家(山田高司)。彼らの行く手には予想もしない出来事や人々が立ち塞がる。そして第三の男の正体は?
自然と文明、名言とぼやき、危機と笑いが交錯する前代未聞の川旅ノンフィクション。『イラク水滸伝』のB面的側面を、たくさんの写真とイラストでお送りします。

■目次
プロローグ トリアーナの舟
第一章 川の源はトラブルの源
1-1ユーフラテス川源流はゲリラの拠点
1-2衝撃の出発
1-3妖精一家のマネージャー
1-4メン・イン・ブラックの惨劇
1-5トルコし苦労の村
第二章 不条理な人生、理不尽な旅
2-1ムシュで虫になる
2-2ハンマームでエビになる
2-3橋の下をたくさんの水が流れた
第三章 世界でいちばん美しい川
3-1知られざるトルコ最大の「秘境」へ
3-2多次元宇宙ダルスィム
3-3奇跡の聖地ムンズル
3-4大きくなった妖精たち
第四章 アレヴィーの聖なる楽器サズ
4-1「趣味」を調べることなかれ
4-2幻のサズ奏者を探せ!
4-3サズとアレヴィーとコミュニスト
第五章 川と歴史は遡るべし!
5-1非常識なほどの紆余曲折
5-2人類の歴史を塗り替える遺跡
5-3ディープグルメ vs ディープヒストリアン
5-4火と水の都ディヤルバクル
第六章 ティグリス川 世界最後の舟旅
6-1超巨大ダム湖に沈む川
6-2川の番人「バクチ」
6-3濁川芭蕉も涙する夕べかな
6-4大峡谷の探検
第七章 異世界のメソポタミア
7-1「江戸ポタミア」の舟旅
7-2十条のメソポタミア
7-3真逆のクルディスタン
第八章 帰ってきたボート三人男
8-1鳥の目、虫の目、タヌキの屁
8-2王様の川下り
8-3ソウルフードをめぐるささやかな体験
8-4ロストロストロスト

【著者プロフィール】
高野秀行(たかの・ひでゆき)
一九六六年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。
早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。〇五年『ワセダ三畳青春記』で第一回酒飲み書店員大賞、一三年に『謎の独立国家ソマリランド』で第三五回講談社ノンフィクション賞、一四年同作で梅棹忠夫・山と探検文学賞、二四年山田高司とのチームで「イラクの巨大湿地帯(アフワール)探検」により、2023植村直己冒険賞、同年『イラク水滸伝』で第三四回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。

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メソポタミアのボート三人男 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    高野先生の新著書が出たので楽しみに読みました。面白かった!

    「イラク水滸伝」と同じエリアの旅でしたが、川下りと通常の陸路の旅でここまで印象がガラッと変わるとは。。川下りは2人だけでするからか同行者の山田隊長の存在感が前作よりも濃かったです。めちゃめちゃ面白くてチャーミングな方ですね。

    そして、探検家?としてのお二方のど根性に脱帽です。わたしなら風邪っぽくてお腹下してる時に川下りはきっとできません。。でも、きっと行った人にしか見れない景色、味わえない食事、触れ合えない人々との交流があるのでしょう。

    食事といえば「ガブルガ・ドルマス」がものすごく美味しそうで食べてみたいです。ただ、そんじょそこらでは食べられなさそうな代物ですね。いつか巡り会えたらきっと食べます。その前にまずは駅前にきてるキッチンカーのケバブを食べようかな。

    0
    2026年09月19日

    Posted by ブクログ

    高野秀行さんの最新作。チグリス・ユーフラテス川を隊長こと山田さんと共に川下りをするという話し。
    文明発祥の地の探検ということで、探検道中の出来事はもとより、文明について、プレートテクトニクスによる造山活動について、その地域の弦楽器について、イスラム教の変わった分派について、そしてクルド人の置かれている状況など、話が縦横無尽に飛んでいく。
     昔は遭遇した出来事を面白おかしく書いているだけだったが、長年の執筆活動で培った筆力はさすがで、色々と知識や感想を交えながら難ししくはならずに噛み砕いて書く技術はなかなかのものである。特に今回のパートナーの山田さんは自然科学的なものの見方だけでなく、古典にも通じ、川下りのプロであるためこれまで以上に高野さんの旅を豊かなものにしてくれている。
    途中コロナがあったからかもしれないが、川下りをした2018年から6年後に再訪して再びの川下りのことまで書かれている。
    本書では随所に山田隊長によるわかりやすいイラストが挿入されておりより川下りの様子がわかりやすくなっている。
    久しぶりの高野さんの本を堪能できた。

    0
    2026年08月31日

    Posted by ブクログ

    温度、湿度、風、川の音、川の周りの景色、匂い
    詳細に、だけどしつこくないさらっとさで描写されていて旅した気分になれた。
    美味しい食べ物の話しも盛りだくさんで、
    飽きずに読めた。

    自分にとって大きな収穫はクルド人についてで、この本を読むとクルド人と言われる人々を取り巻く環境が概ね理解できた。
    日本でも問題になっているけど、島国日本人の立場からでは理解し得ないクルド人の成り立ち、歴史的な背景からくる問題がある。

    しかもこの本の良いところは、それを伝えようとして書かれているわけでなく、あくまで川旅の中でで会う人々を正確に描写するために必要な説明として書かれているからとてもフラット。
    中立の目線で知ることができて勉強になった。

    0
    2026年08月29日

    Posted by ブクログ

    急にきた外国人に「川下りたいんだけど」と言われる側の方には同情する。困るよね。
    川を下りながらの隊長の知識量と、3人目の隊員のキャラクターがずっと面白かった。知識があると、川の見方や感じ方が変わるんだな。

    0
    2026年08月04日

    Posted by ブクログ

    メソポタミア文明の発祥の地であるチグリス・ユーフラテス川流域を船で旅する傑作の冒険譚だ。

    高野さんは言わずもがな、イラク水滸伝から引き続きの相棒である山田隊長の凄さも際立つ。物怖じせず現地のコミュニティに入り込む好奇心旺盛な高野さんとそれを冷静に眺めつつ地形や歴史に熟知した山田隊長のコンビが絶妙だ。その土地土地の風土や文化は地形や気候、歴史を踏まえると見え方も違うのだなと実感する。

    旅の先々でその土地の食を堪能し、歴史や植生を楽しむには教養が必須だがなんとも贅沢なことだ。カズオ・イシグロがコロナ禍に言っていた縦の旅を極めている感がある。近所の散歩でもいいから次に旅するときに真似したくなる。

    0
    2026年07月29日

    Posted by ブクログ

    いつもどおり高野さんの本は面白い
    四万十の上流仁淀川でSUPをする前日に読み終えた
    旅の相棒、川旅の師匠山田隊長が四万十中村の出身というのもあってなんだか親しみが湧く

    高野さんのこれまでの本のように誰もしないことをする感が少し薄いかなあ
    有名なチグリス・ユーフラテス川を川旅というのは面白いけれども、こんなとこだったのか!という驚きみたいなのがそれほどではなかった

    観光地化する前の街や美しい川、料理の美味しそうな描写は魅力的
    発酵食品の文化は日本だけじゃなく世界の村々にある
    村上春樹の遠い太鼓を思い出す
    あれもトルコだったか?
    あちらはワインの描写だったけれども
    カブルカは美味しそう
    十条のクルド料理店メソポタミアが閉店したのは残念、食べてみたかった

    0
    2026年09月21日

    Posted by ブクログ

     一言で言うと、緩い。だが、ゆる表現の裏に周到な準備がされていることにびっくり。同行者の山田隊長は準備のために移住し、職まで変えているんだから、プロの取り組みには脱帽です。

     本編でも書かれているが、困難をいくつも乗り越え山頂を目指す登攀記と違い、川を下る旅は起伏が無く単調になりがちだ。でも、緩い雰囲気をまとった高野さん一行と、流域で出会った人たちの交流が面白い。チグリス・ユーフラテス川流域のクルド人という、なかなか馴染みの無い人たちの交流は、めずらしさとともに人類の普遍性も感じさせてくれる。

     一緒に旅をされる山田隊長の自然科学に対する博識エピソードも魅力的で、私もこんな大人になりたい(そんなに歳は違わないけれど…)と憧れる。ちなみに地学の入門本や石の図鑑は積読状態だ。また、パックラフトが4㎏程度しかないというのも驚きだ。昨年、知り合いにファルトボート(折り畳み式のカヌー)をいただいたが、ゆうに20㎏は越える重量で、車に乗せるのも少しおっくうなくらいだ。水を切る感覚は素敵なので、パックラフトを手に入れようかなぁと、迷いが出る。ただし、パックラフトが幼児用のボートと表現されるのに比べ、いただいたファルトボートはシュッとしていてめっぽうカッコイイ。

     本書を読み終わってすぐに、高野秀行さんがメソポタミアのボート旅について武田砂鉄さんと語っておられたTBSラジオの『プレ金ナイト』も聴き、いっそう本書が面白く感じられた。

    0
    2026年09月16日

    Posted by ブクログ

    お馴染み高野秀行氏がティグリス・ユーフラティス川をカヌー(というか1人乗りゴムボート)で下る冒険というか珍道中。いつもながらに単なる旅先の思いがけないドタバタや危ない目に遭うとかだけでなく、トルコにおけるクルド人の立場だったり、遺跡の扱いだったり、河川汚染だったりと、様々な社会問題が提示され、深刻にならない程度だが考えさせられる部分(聞いて感心し納得できる)があるのが良い。メソポタミア文明に思いを馳せる機会もあったり、風呂敷のランダムな広げ方が楽しい。多摩川をボート降りしてみたくなった。

    0
    2026年09月11日

    Posted by ブクログ

    す…すげーとしか言いようがない。まず、私は暑いのが大嫌い、不衛生なのも無理、自然は好きだけどなるべく楽して体感したい…という体たらくのため、筆者たちのような旅は不可能だ。
    筆者の高野さんなんて、お腹を下しているのに川下りをしちゃうんだから。下痢→川でパンツ洗う→ボート→下痢というサイクルなのに悲壮感が全くない。
    旅(しかも文明の利器が程遠い地)に慣れている高野さんと山田隊長の格好良いことよ。

    ちなみに『三人男』の3人目は現地のガイドで、こいつ(レザン)が曲者。
    必死にボート漕いでる2人の写真を適当に撮って自分は優雅に水煙草タイムとは。だがそのいい加減さが日本人にはない感じで新鮮だ。高野さんも「レザンがいない方が面白いことが起きる」なんて言っちゃってるのが面白い。

    本書はイラストと写真がふんだんに使われており、読んでて飽きない。イラストは山田隊長が描かれているのだが、よくこんなに鮮明なイラストを決して楽ではない旅をしながら書いたと思う。

    PKK(クルディスタン労働者党)とトルコ政府の緊迫した関係など政治的な話も多々あったが、なにぶん付き添い入院中の私の頭にはスっと入ってこず。うん、政情不安定な場所もあるってことだねと解釈。

    肝心の川下りについては、やはり下った者にしか分からない素晴らしさがあると思う。
    川下り中に出会った現地の住民が高野さんたちを歓迎してくれるのが嬉しかった。

    0
    2026年09月07日

    Posted by ブクログ

    アナクロ、アナログ、アナーキーの3拍子揃ったトリアーナの2人が、現地ガイド(こちらは陸路を車で追っかけてくれる)とともに3人でティグリス=ユーフラテス源流部をパックラフト航行で川下りをする本。1人は山田隊長 (山田高司 1958年生まれ 当時59歳)。1人は筆者。
    いつも、人が絶対に行かないような場所に行ってルポにまとめてくれる高野さん。今回もびっくりするような旅でした。
    トルコなのだが、クルド語を話すクルド人(クルド良く聞くけど始めて意味を持つ言葉になりました)。イスラム圏なのに女の人が自由にしているエリアもあった。そのアレヴィーはアニミズム(水天地日月)崇拝のような宗教。良くイスラムの中にアリがあるように言われるが、アリーはアレヴィーの聖者で4500年前。イスラムはたかだか1500年前の発祥だそう。
    珠江源流の話がおもしろすぎる。隊長の中国三大がっかりやなっていうのが笑えた。
    今回は山田隊長がとても面白く、知識や蘊蓄が深すぎたが、"イラク水滸伝"にでてきているらしい。むむ、また読むべき本が増えてしまった。"語学の天才まで1億光年"も読まなくちゃ!
    読めれば小学生でも大丈夫だけど、通常は高校から。

    0
    2026年08月15日

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