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頭が良く、研究熱心で、理屈っぽい。全然子供らしくないけど、どこか憎めない小学四年生のアオヤマ君。彼の町で起こる不思議な現象とミステリアスなお姉さんとのひと夏の研究と冒険の物語。
ペンギンの群れや「海」、シロナガスクジラやジャバウォックが次々と町に出現してくると思ったら、普通にいじめっことのケンカや探検、おっぱいに思いを馳せたりと、非日常と日常がうまく合わさっていて、あまりSFが得意じゃない人にもオススメです。
森見登美彦独特の、小学生とは思えないくどい言い回しは健在でありながら、表紙の絵のような淡い切なさが全体を通して感じられます。舞台が京都ではなく新興住宅地なのは森見作品にしては珍しいかも。
短い夏休みが終わってしまう、あの懐かしい切ない気分を思い出すのにぴったりな作品です。
Posted by ブクログ
森見登美彦さんの初期作品。なんだかご本人じゃないかな、と思えるような理屈っぽい小学生と、お姉さん、そしてハマモトさんというクラスの女性、ウチダくんという研究仲間。いじめてくるスズキ帝国の皇帝スズキとその仲間。ペンギンがたくさんいる、こんな変な事態からスタートする。実は、このペンギンはお姉さんがコカコーラのカンから作り出したものだ。小学校の時には、みなすごい想像力で、いろんなことを想像していた。切ないくらい悲しい事もあったけど、ケロッと忘れて冒険の旅に出る。友達と冒険する経験は、大人になる上で最も大事な事だったような気がする。本作は、子供がどんどん成長して大人になる、でもそれは勉強や本を読んで行くことだけでなく、想像力と現実との境目にある何かを追い求めることだ。素晴らしい時間を過ごしたんだと、なんだかホッとするように読み進めて行きながら、自分が小学生に戻っていく。なんとも漂うような文体は、その後の作品ではさらに先鋭化して行くのだけれど、本作はまだ柔らかくてそれが心地よい。優しいお姉さんとの距離感を理解していく過程も、すごく優しさに満ちている。いつか親は死んでしまう、という果てしない残酷な事実。
そして物語はクライマックスに向かう。ハマモトさんが見つけた海という透明ない不思議な物体の大きさと、お姉さんが元気な周期に連関性を見出し、研究を進めてきたが、スズキがリークしたことにより大人が調査に入ってしまう。ここで夢が一気に覚めてしまうように、現実になってしまう。ペンギンは海を治す、ジャバオックはペンギンを倒す、お姉さんはペンギンとジャバオックを作り出す。お姉さんは一体誰なのか、ついに少年は答えにたどり着く。不思議な出来事を、理屈っぽい少年の目を通して描いて行くことで、現実と異世界を行き来しながら、それがともに本物であること、そして大切な少年の1ページになっていることがわかる。暖かい、少年期の夢を描いた素敵な作品。
Posted by ブクログ
昔、映画を観た。内容は忘れてしまったが、すごく好きだったことだけは、覚えている。だから、小説を読んでその時の「好き」を思い出そうと思った。
ちなみに、私は「ペンギン」が好きだ。街にいきなりペンギンが出現したら、驚くとは思うけれど、嬉しくなってしまうだろうな。「なんかよくわかんないけど、すごい!うれしい!」……少なくとも、小4の私だったらそこで終わる。だから、この現象と向き合って、大真面目に研究をしていくアオヤマ君たちは、とてつもなくかっこいいのである。
非科学的な現象VS科学の子。
どんなことでも、ノートに記録をしながらあくまで論理的に原因を探っていく姿は、大人っぽくもありながらどこまでも子どもである。そこが、とても眩しい。その輝きが、たまらなく「好き」だと思った。
こういう子たちが思いっきり冒険し、真っ直ぐ考え、のびのび生きていける世界がいいな。
映画を観た頃は少女だった私も、そんな風に思う大人になってしまったよ、少年。
淡い初恋物語
独特の文体で定評のある森見氏ですが、今回も炸裂してます。
少年とおっぱいの大きなお姉さんとのちょっと不思議な物語。藤子F不二雄氏のSF短編集を思い起こさせるような、素敵なお話です。
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