野田秀樹の作品一覧
「野田秀樹」の「当り屋ケンちゃん」「エッグ/MIWA―21世紀から20世紀を覗く戯曲集―」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
『パンドラの鐘』
「王ならば」痛烈な天皇批判だと思う。
長崎出身の劇作家が描く『オイル』『正三角関係』と続く原爆三部作。
原爆投下まえの長崎。遺跡発掘現場から古代の歴史が見えてくる、卑弥呼もとい、女王ヒメ女の決断。大正天皇の「遠眼鏡事件」。『蝶々夫人』『アイーダ』ほか。手塚治虫『火の鳥 ヤマト編』のイメージもあるか。
『Right Eye』
実話を元に、現実と虚構の交錯。中学生のときに読んで、映像で見て、異様に憧れた。写真家・一ノ瀬泰造に肉薄、実在の人物をこんなふうに、倫理的に許されるのかとも思った。(のちに宮崎駿『風立ちぬ』の堀越二郎の描き方に触れて、こういう作劇はある、と改めて)
野田秀樹が右目を失目して入院した実話より。報道カメラマン・一ノ瀬泰造の足跡を辿る。パパラッチ、夏目雅子。芝居をつくるということ。(寺山修司は覗き魔or露出狂かを問うた、)カンボジア内戦、クメール・ルージュ。
『カノン』
芥川龍之介の『偸盗』、ビゼーの『カルメン』を永田洋子に重ねて、連合赤軍の顛末に重ねる。
『贋作・罪と罰』、それから『Q』『兎、波を走る』にも永田洋子のイメージあり。
盗賊たちの物語と、魔性の女に惑わされる役人の男の物語を翻案。
Posted by ブクログ
昨晩、東京芸術劇場で観た「Q」の舞台の記録。
3年前の初演も観たけれど、コロナやらウクライナやらで世の中の状況が大きく変化したせいもあり、再演である今回のほうがより心の奥底に響いた。
ロミオとジュリエットの物語を源平合戦の時代に移し、戦争とシベリア抑留をからめ、全編を通してQUEENの音楽を用いる。しかも、悲劇の主人公のカップルは過去と現在の二人(松たか子と広瀬すず、上川隆也と志尊淳)が同時に登場して…と、一見ハチャメチャに思える設定も、野田秀樹の手にかかると違和感がないどころか魔法のように相乗効果で何倍にも膨れ上がって感動を呼ぶ。
前半のドタバタ劇が後半では一転し、重く悲しい現実へと突き進む。いくつになっても透明感のある松たか子の存在あってこそのラストシーンは美しく、涙がこぼれた。
大好きなQUEENの名曲「LOVE OF MY LIFE」を聞きながら、じっくりパンフレットを読み、再度舞台に思いを馳せる。
昨年の「フェイクスピア」も、生の舞台でもネット配信でも観たほど素晴らしかった。コロナ禍以来、舞台は不要不急だと槍玉にあげられていたけれど、絶対に失くしてはならない文化だ。
野田さん、来年の新作も楽しみにしています!
Posted by ブクログ
「ザ・キャラクター」
この戯曲がもつコトバをどこまで理解できているだろうか。
問題は、このマドロミという存在だ。
私たちははじめ、マドロミとともに「俤」の中の「弟」を探そうと書道教室にするりと入り込む。
そして、探るために、自分の言葉でこの集団の狂気を増長させていくにつれて、あることを知る。
弟は、地下鉄サリン事件(そう言い切ろう)の犯人であった、と。
書道教室に騙されていた、殺された、被害者の家族という立場から、
結局最後に気がついてみれば自分は加害者の身内であり、
また、自分さえあの事件を増長させていった人間の一人へ。
私たちは、間違いなくつきつけられている。
お前は、まだ目を覚ましたくないのか?
まだ、それでもまどろんでいる気なのか?
批判するその言葉、慰めのその言葉一つ、すべてに責任がある。
「幼い」では許されないのだ。
幼くてもいーじゃん!な論調に断固としてNOを突きつける。
勇気のいる話でもあると思う。
マドロミは私たちだ。
自分は、あの集団の狂気と、この社会で起きているできごとと、
それらを傍観しているだけの存在で、まったく関係がない、
と心のどこかで思っている私たち全てのことだ。
私たちは、今起きている何事とも無関係ではない。
一人一人が自分の問題として、引き受ける必要性のあることだらけなのだ。