論理思考と発想の技術
経営参謀が明かす
著:後 正武
紙版
PHP文庫 う 13 2
執筆当時、論理的な思考に関する書籍が少ないことから、後氏がみずから書き記したものとあります。
前段は、論理的思考と、問題解決方法を、後段は、どうやったら柔軟な発想ができるかを考察します。
気になったのは、以下です
■論理的思考
文章を構造的に分解し、論理的かどうかを問います。
・日本人にとってのことばとは、必ずしも、論理的思考をともなっていない
大坂本町糸都屋の娘
姉は十六、妹は十四
諸国諸大名は弓矢で殺す
糸都屋の娘は眼で殺す
論理的というより、起承転結とメリハリを重んずる
・修辞の世界は、表現の技術であるが、論理的にものごとを無駄なく矛盾なく説明する、正しさを保証する技術ではない
・日本では、古来、ことばには、不思議な霊力があると信じられてきた
日本人は、ことばのもつ、感覚的な要素、をより重視しているのではないか
・正しさの5つの根拠
①力による正しさ
②制度的正しさ
③数理的正しさ
④事実の正しさ
⑤論理的正しさ
・論理には原則がある
①基本はピラミッド構造
②メッセージは一度に一つだけ
③抜けや歪みがないこと
④中小のレベルがそろっている
⑤最下部は、事実か、事実に代わる蓋然性の高い仮説
・メッセージの書き方
①単語ではなく、命題であること
②一つの枠には、必ずひとつしかメッセージを入れないこと
・抜けや歪みがない MECE
重複がないこと、そして、洩れがないこと
・頭括式 まとめ、結論を先にのべる、それから文に入るもの
・尾括式 まとめ、結論が最後にくるもの
・双括式 最初と最後にまとめ・結論を念を押して繰り返すもの
・モジュール
キーメッセージを支える
全体の一部分であるけれども、それ自体がひとつの独立した機能をもつ有用な一部のセットのこと
⇒文の構造からは段落になるけれども、論理的な意味でモジュールといっている
・文を理解する手順
①全体を代表するメッセージを考える
②その下のモジュールを考え、しっかりしたものと、ぐらついて、しっかりしていないものをえり分ける
③モジュール間の上下を判断したうえで、最終的にモジュール間の構造、組み合わせと、それがどのように全体のメッセージに繋がっているかを考える
・論理の欠陥を見つける
①仮説の弱点、構造自体に欠陥、矛盾はないかどうか
②事実、観察
③挙証責任の転換
④隠れた前提
⑤論理の飛躍、洩れ、矛盾
・非論理的な議論の排除
・勘による判断、水掛け論、力と取引による決着ではなく、課題を正しく解決する
・そのためには、問題を正しく認識し、筋道を立てて、正しい解決に導く
■問題解決
・イッシュとは、解決すべき課題のこと
・イッシュを解決するために、複数の要素、サブイッシュに分解する
・イッシュであるか、ないか、重要なのかそうでないかを判断することが最初のイッシュである
・ロジカルツリーと同様、イッシュも、ツリー構造に展開する
・イッシュツリーを分解していくと、最後に事実につきあたる
・プロジェクトを開始するにあたっては、全員で共有するイッシュを作成することが不可欠である
■発想法
・三上 枕上、鞍上、厠上 つまり、ベッドで、移動中に、そして、トイレの中でヒラメキが得られる
・アリストテレスの3つの思考法
Intuction 帰納法
Deduction 演繹法
Abduction 仮説検証法
・ポアンカレ 人間の精神活動を行う主体
意識的自我
潜在的自我
・要素を拾い集める
カード
発見の手帳
KJ法
ブレーンストーミング
・人間の4つの精神活動
①数理・論理・科学
②思想・宗教
③詩・物語
④経営・組織運営
・インファレンス(推論)
インファレンスとは、与えられた条件から、ここまでなら、確実に言えそうだという範囲を正しく推論する能力のこと
与えられた情報から、何と何は確実に言えるが、何は言えないか、を確実に見抜く推論の能力のこと
本書が勧める4冊
①バーバラ・ミント 考える技術・書く技術
②梅棹忠夫 知的生産の技術
③川喜田二郎 発想法
④川喜田二郎 続発想法
目次
文庫版のためのはしがき
はしがき
第1章 論理とは何か?
第2章 論理の原則
第3章 論理の演習
第4章 イッシュー(争点)を考える
第5章 ゆたかな発想を求めて
第6章 論理と発想についての断章
索引
ISBN:9784569666198
出版社:PHP研究所
判型:文庫
ページ数:320ページ
定価:648円(本体)
2006年03月17日第1版第1刷