あらすじ
的確な判断力や問題解決力を身につけるには論理的思考が不可欠だ! 気鋭のコンサルタントである著者が、「正しい思考法で、最適な結論を導き出す方法」を徹底分析した本。ビジネスの世界ともなると、正しい思考や判断をするために、情緒や感覚に流されることなく、それが論理的に正しいのか、矛盾や見落としがないかを追究する姿勢が必要。本書は、勘に頼った判断や水掛け論、力関係の取引による決着ではなく、ビジネスマンが自分の頭で考え、難局を切り抜けていくための課題を取り上げ、それを「正しく解決する」技術を紹介。「正しさの根拠とは何か」「修辞の世界と論理の世界」「イッシュー(争点)を考える」などを盛り込み、平易に解説する。著者が明かすその手法、ノウハウの全ては、日々の仕事の問題解決、判断、プレゼンテーション、表現等に悩むビジネスマンにとって目からウロコとなる実践テキストだ。ビジネスマン絶賛のロングセラー、遂に電子化!
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Posted by ブクログ
論理思考と発想の技術
経営参謀が明かす
著:後 正武
紙版
PHP文庫 う 13 2
執筆当時、論理的な思考に関する書籍が少ないことから、後氏がみずから書き記したものとあります。
前段は、論理的思考と、問題解決方法を、後段は、どうやったら柔軟な発想ができるかを考察します。
気になったのは、以下です
■論理的思考
文章を構造的に分解し、論理的かどうかを問います。
・日本人にとってのことばとは、必ずしも、論理的思考をともなっていない
大坂本町糸都屋の娘
姉は十六、妹は十四
諸国諸大名は弓矢で殺す
糸都屋の娘は眼で殺す
論理的というより、起承転結とメリハリを重んずる
・修辞の世界は、表現の技術であるが、論理的にものごとを無駄なく矛盾なく説明する、正しさを保証する技術ではない
・日本では、古来、ことばには、不思議な霊力があると信じられてきた
日本人は、ことばのもつ、感覚的な要素、をより重視しているのではないか
・正しさの5つの根拠
①力による正しさ
②制度的正しさ
③数理的正しさ
④事実の正しさ
⑤論理的正しさ
・論理には原則がある
①基本はピラミッド構造
②メッセージは一度に一つだけ
③抜けや歪みがないこと
④中小のレベルがそろっている
⑤最下部は、事実か、事実に代わる蓋然性の高い仮説
・メッセージの書き方
①単語ではなく、命題であること
②一つの枠には、必ずひとつしかメッセージを入れないこと
・抜けや歪みがない MECE
重複がないこと、そして、洩れがないこと
・頭括式 まとめ、結論を先にのべる、それから文に入るもの
・尾括式 まとめ、結論が最後にくるもの
・双括式 最初と最後にまとめ・結論を念を押して繰り返すもの
・モジュール
キーメッセージを支える
全体の一部分であるけれども、それ自体がひとつの独立した機能をもつ有用な一部のセットのこと
⇒文の構造からは段落になるけれども、論理的な意味でモジュールといっている
・文を理解する手順
①全体を代表するメッセージを考える
②その下のモジュールを考え、しっかりしたものと、ぐらついて、しっかりしていないものをえり分ける
③モジュール間の上下を判断したうえで、最終的にモジュール間の構造、組み合わせと、それがどのように全体のメッセージに繋がっているかを考える
・論理の欠陥を見つける
①仮説の弱点、構造自体に欠陥、矛盾はないかどうか
②事実、観察
③挙証責任の転換
④隠れた前提
⑤論理の飛躍、洩れ、矛盾
・非論理的な議論の排除
・勘による判断、水掛け論、力と取引による決着ではなく、課題を正しく解決する
・そのためには、問題を正しく認識し、筋道を立てて、正しい解決に導く
■問題解決
・イッシュとは、解決すべき課題のこと
・イッシュを解決するために、複数の要素、サブイッシュに分解する
・イッシュであるか、ないか、重要なのかそうでないかを判断することが最初のイッシュである
・ロジカルツリーと同様、イッシュも、ツリー構造に展開する
・イッシュツリーを分解していくと、最後に事実につきあたる
・プロジェクトを開始するにあたっては、全員で共有するイッシュを作成することが不可欠である
■発想法
・三上 枕上、鞍上、厠上 つまり、ベッドで、移動中に、そして、トイレの中でヒラメキが得られる
・アリストテレスの3つの思考法
Intuction 帰納法
Deduction 演繹法
Abduction 仮説検証法
・ポアンカレ 人間の精神活動を行う主体
意識的自我
潜在的自我
・要素を拾い集める
カード
発見の手帳
KJ法
ブレーンストーミング
・人間の4つの精神活動
①数理・論理・科学
②思想・宗教
③詩・物語
④経営・組織運営
・インファレンス(推論)
インファレンスとは、与えられた条件から、ここまでなら、確実に言えそうだという範囲を正しく推論する能力のこと
与えられた情報から、何と何は確実に言えるが、何は言えないか、を確実に見抜く推論の能力のこと
本書が勧める4冊
①バーバラ・ミント 考える技術・書く技術
②梅棹忠夫 知的生産の技術
③川喜田二郎 発想法
④川喜田二郎 続発想法
目次
文庫版のためのはしがき
はしがき
第1章 論理とは何か?
第2章 論理の原則
第3章 論理の演習
第4章 イッシュー(争点)を考える
第5章 ゆたかな発想を求めて
第6章 論理と発想についての断章
索引
ISBN:9784569666198
出版社:PHP研究所
判型:文庫
ページ数:320ページ
定価:648円(本体)
2006年03月17日第1版第1刷
Posted by ブクログ
論理思考、ロジックといった類いの書籍は世に溢れている。
この「論理思考と発想の技術」も その内の一冊ではあるが、私にとってはとても貴重な一冊だ。
ひとつは、演繹と帰納をすっきり説明していること。
なんとなくは理解していたが、この本のおかげでとても理解が進んだ。
もうひとつはアブダクション、発想法であるが、こちらもとても理解が進んだ。
「広げて、収斂し、発想につなげ、現実的に具体化する」といった内容であるが、それぞれのステップにおいて、とても具体的な説明があり、考え方としてなるほどといえる内容となっている。
また、『アイデアのつくり方』とまったく同じアプローチであることにも気がつき、これら発見もあってとても楽しく読むことができた。
KJ法はじめ、カード形式で整理する方法は、連関図、CRT、親和図など、さまざまな方法があるが、個々の方法ではなく、発想のアプローチの本質が、この本にはある。
この本質を理解した上で、目的に応じ、方法を選択することが望ましいと思うし、どのような視点でまとめるかという論点が重要なのであろう。
この本にもあるが、「一次情報が大切である」ということを意識し、現場に足を運ぶなど、発想を刺激するナマを大切に、精進せねば。。。
読み終えはしたが、いまだ時折 読み返している。長い間ほおっておいた本なのに、今年いちばんインパクトをくれた本になった。
本当にありがとう。
Posted by ブクログ
<要点>
■一般的な正しさへのよりどころ
①力による正しさ
②制度的正しさ
③数理的正しさ
④事実の正しさ
⑤論理的正しさ
■論理の5原則
①基本はピラミッド構造(帰納と演繹で積み上げる)
②メッセージは一度に一つだけ(一文一義)
③抜けや歪みのないこと(MECE)
④抽象のレベルが揃っていること
⑤最下部は、事実かまたは事実に代わる蓋然性(がいぜんせい)の高い仮説
演繹:一般論から個別論を導く過程
帰納:個別論から一般論を導く過程
■MECEに分けることを心がける際には「世の中にはAとBとCがある」という「拾い出す」形の叙述よりも、「世の中にあるもっ質を分解すると、AとBとCに分けることができる」という言い方のほうが都合がよい
■原因(要因・要素)が下で、総合・結果が上ということを強く意識しないとまとめたつもりでも混乱を招くことが多い
■文書構造を見る際には、まず全体を代表するメッセージを考える。次に、その下のモジュールを考え、しっかりしたものとぐらついてしっかりしていないものを選り分ける。そして、モジュール間の上下を判断したうえで、最終的にモジュール間の構造、組み合わせと、それがどのように全体のメッセージにつながるかを考えればよいのである。
■イッシュー:互いに問題だと思いつつ、判断が分かれ決着がつかない課題
■「イッシューか否か」の争いは、まったく非生産的なものなので、早くからそこから脱出して、知的生産活動のレベルでの問題解決に進まなければならない。
■プロジェクトチームミーティングを人の調べたものの発表の場にしてはいけない。まず、イッシュー・ツリーを作る作業から出発すると、各人が、何の作業を分担するかが分かるため、ミーティングは「作業のための打ち合わせ」の場になる。
■組み合わせの数が無限に近付くと始末に負えないから、企画化を進めて、ある程度数を絞り、実用と経済効果の両立を目指すようになる。しかし、我々は規格化によっていつの間にか原点である組み合わせの自由度を忘れ、可能性を見失ってしまうことがしばしばあることを詰めに銘記しておかなければならない。
■人は不思議な現象を見るとそれを受け入れるために大きく二つの方向をとる。
①不思議を説明するために空想物語を作り、人にも語り、人の話も聞いて心に納め安心する方法。この心は詩や神話を生む。ロマンの世界である。
②不思議な事実を追求し、その中に関係や法則を見出して、現象を説明し、不変性の中で不思議を解消することである。これは科学を生む、道具を作り、文明を発展させた。
Posted by ブクログ
ロジカルシンキングの入門書として紹介していただいた本。
非常に分かりやすい。人間を説得する際に必要不可欠な5つの要素には納得させられた。
この本を繰り返し読み、ロジカルシンキングを身に着けたいと思う。
Posted by ブクログ
■目次
第1章 論理とは何か?
第2章 論理の原則
第3章 論理の演習
第4章 イッシュー(争点)を考える
第5章 ゆたかな発想を求めて
第6章 論理と発想についての断章
■レビュー
Posted by ブクログ
文句なしのロジシン本!この値段でこの内容はスゴい!1年生の時から、ほったらかしにしてしまった事を後悔…。
さてさて内容についてだが、第1章〜第3章は、『考える技術・書く技術』(バーバラ・ミント)をもう少し噛み砕いた感じか。演習問題(第3章)がしっかりと入っている点も評価できる。第4章では、問題をかみ砕いて行く方法を記載している。そして第5章では、それから解決法を導き出す方法(例:KJ法)を書いている。最後の第6章では、発想、というものに焦点を当てている。
特に5、6章の読む価値は非常に高い!これだけでも、これ1冊の値段払ってもいいかも…。ロジシンとか学びたいけど、『考える技術・書く技術』(バーバラ・ミント)読むのが面倒だとか、難しい人はこっちから入るのがいいかも。何よりも安いし(笑)
Posted by ブクログ
著者は、後氏である。東大ーハーバード(MBA)ーMck(パートナー)ーベイン副社長
というコンサル街道のど真ん中を歩いてきたような人である。ちなみに、本書は、
国内に置いては「ロジカルシンキングのはしり」と言われている名書である。
内容は、ロジックとは何か?から始まり、ピラミッド、MECE、イシューツリー、
論理の演習という感じで、まぁ普通?ただ、その後に、アブダクションまで言及して
いる事に少なからず驚いた。ここまで書いてある本はなかなかない。
ちなみに、遡ることアリストテレス、論理学の方法は以下の3つあると考えられていた。
1.induction
2.deduction
3.abduction
ちなみに、1と2は帰納と演繹である。最後のアブダクション、意外と知られてない。
(自分も知ったのは、ごくごく最近。何かの書籍で知った・・・気がする(笑))
しかし、これがなかなか秀逸である。私の記憶が正しければ、ソフトバンクの孫正義氏が
音声発音機能付き電子辞書を開発した方法論が、アブダクションである。
つまり、個々の要素を組み合わせて、新しい発想をしていく事。
なぜ、この論理的方法が本書以降、あまり目に見えないのか結構不思議である。
また、後氏は最後の方で「論理はあくまで方法論であり、絶対に正しい事ではない」と
言い切っているのがすがすがしく、そして新しい個人的知識にもなりえた。
この部分は、多くの人に読んで欲しいとも思う。
(まぁ、当たり前と言えば、当たり前なんだけど)
文庫で、安い。しかし、内容は素晴らしく濃いのでお薦めできる。
Posted by ブクログ
なんとか読み終えた。書いてあることは、納得出来るとこもあり、難しい表現もあり。またいつか挑戦したい。その時は、読みこなせるようなステージに立っていたい。いまは無理だった。