ものすごい。クライマックスは地獄絵図そのもので、凄まじく、嵐の中猛り立った渦潮のように強烈な引力で読者を引き込む。たとえ読者が疲れていても読む手を止めさせない。読後はしばらく茫然とすること請け合いだ。
同時に神々しいまでの感動的な展開も併せ持っている。締めくくりは予想通りとは言え、やはりすばらしい。
僕は岩波の旧訳で読んだが、今では最近刊行された平凡社ライブラリーの新訳が良さそうだ。こちらは全五巻で編成されている。
面白いが非常に長く、そのテーマも読む人を選ぶ。でも僕の読書人生の中で、間違いなく最推し本の中の一冊に入ったといえる。