坂本湾の作品一覧

「坂本湾」の「BOXBOXBOXBOX」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • BOXBOXBOXBOX

    BOXBOXBOXBOX

    小説・文芸

    3.4
    1巻1,650円 (税込)
    宅配所に流れる箱を仕分ける安(あん)。ある箱の中身を見た瞬間から次々に箱が消えていって――顔なき作業員たちの倦怠と衝動を描くベルトコンベア・サスペンス。第62回文藝賞受賞。

ユーザーレビュー

  • BOXBOXBOXBOX

    Posted by ブクログ

    怖い。何が怖いって作者の配送センターの描写のリアリティが怖い。同じ空間で毎日同じことを繰り返したことのある経験のある人なら十分吐ける内容。言語化してほしくて、してほしくなかった。

    0
    2026年09月08日
  • BOXBOXBOXBOX

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    薄霧のたちこめる宅配センターで、荷物の仕分けという軽作業をおこなう主人公は、その単調で退屈な時間のやり過ごし方として「荷物の中身を想像する」という楽しみを見出す。
    その楽しみは「荷物の中を見たい」という欲望に変わり、ちょっとした出来事から一つの段ボールを実際に検める好機を手に入れた彼は、そのなかから一つの物品を盗んでしまう。

    〈これは一体、どんな人間が発送し、何物が受け取るのか? 荷物を目の前にした安は、頭痛を覚えるほど興奮していた。わずか数ミリのボール紙によって光を遮断され、秘匿されていた荷物、その梱包を剥がしとってそこに現れた、想像もしなかった奇妙な道具たちを陳列せしめた。このことが、安に陶酔をもたらしていた。〉

    そのときの快感が忘れられず、彼はやがて「荷物を盗みたい」という衝動に支配されるようになった。
    監視カメラをかいくぐって盗みを繰り返すようになるが、それを同僚に目撃されていて——。

    という、心理サスペンス要素を堪能できるスリリングな文藝賞受賞作。原稿用紙139枚という短めの作品だけど、密度が高くてとてつもなく面白かった。
    理性が破壊されて興奮のままに常軌を逸していく様子が文章からぞんぶんに伝わってきた。
    この人が薦める作品なら面白いだろう、という信頼を置いている知人に教えてもらったおかげで読むことができた。そういうの嬉しい。

    0
    2026年09月29日
  • BOXBOXBOXBOX

    Posted by ブクログ

    文章が、上手い!!!!
    内容は不気味で気持ち悪くて怖くてイヤ〜な感じなのに、謎の気持ち良さがある…何を言っているか分からないかもしれないけれど本当に心地よい文章でした。新感覚の体験。

    高熱を出したときに見る悪夢を脳内から綺麗に取り出したような話。
    「監視カメラも使えないほど濃い霧に包まれた宅配所」というものは、安全上、衛生上、防犯上、絶対に存在しえないのだけれど、その絶対にありえない環境の中で、壁に貼られた掲示物のような細かい風景だとか、身体の不調や痛みのような感覚は仔細にリアルに描かれていて、そういうところも悪夢のような物語だった。

    オーディブルで聴いたのだけれど、朗読は声優の品田美穂さん。淡々と感情なく読み上げるナレーションが作品に合っていてかなり秀逸でした。文章の心地よさも相まって、もはや音楽と言ってもいいんじゃないかと思える作品。

    0
    2026年09月19日
  • BOXBOXBOXBOX

    Posted by ブクログ

    心の拠り所、お守り的存在を作り出さないと、労働ができない現代。
    ポジティブであればよいのかもしれないが、それが盗みだったり、設備を蹴ったり、酒だったり…というネガティブな方向になる人もいるだろう。

    濃霧に包まれてジメっとしていて息苦しい宅配所の環境が、
    登場人物の心の状態と重なっている。
    それぞれの登場人物の宅配所以外の生活は確かにあるはずなのに、それが幻のようにつかみきれず、宅配所という労働の箱に隔離されて切り取られて書かれている。

    奇をてらっているわけではないが、伝統的でしっかりした文体の中に、切れ味のあるカルチャーっぽい表現が入っているので、読んでてドキッとさせられました。
    ---
    p45.安は盗みのことを考えると脳内から言語が滲みだしてきて、口腔に滴り落ちる快楽物質(ドリップ)で歯と舌が踊りだしそうになる。

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    2026年09月10日
  • BOXBOXBOXBOX

    Posted by ブクログ

    私自身が大学生の時にアルバイトしていたのが、物流倉庫内で同じような環境でした。(一応室内で都内だったので露はなかったですが。) 私がアルバイトをしていた同倉庫内にも老若男女問わず多くのアルバイト、ベトナム人留学生がおり、作業中に考えていたことが筆者と重なることもあり、なにか懐かしく読み進められました。無論、窃盗は働いておりません。そんな中で本作はダンボール=箱の中身に興味を持ってしまいます。この作品を読んでいると、箱の中身について考えさせられます。私たち人間も箱の中に詰められた一部なのでは…??

    0
    2026年08月17日

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