スタンダールの作品一覧
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小説・文芸
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
赤=軍服での出世がままならなくなったため、黒=宗教界での出世をもくろむジュリアン。神学校を足がかりに、ジュリアンの野心はさらに燃え上がる。パリの貴族ラ・モール侯爵の秘書となり、社交界の華である侯爵令嬢マチルドの心をも手に入れる。しかし野望が達成されようとしたそのとき、レナール夫人から届いた一通の手紙で、物語は衝撃の結末を迎える!自分がもう振り捨てたはずの過去の恋愛によって復讐される。まさに因果応報だ。計画がダメになった際のジュリアンの行動が、まさに世間を知らぬ若者特有である。しかし、最後にレナール夫人の愛情を知ったことで、ジュリアンは救われる。王妃マルゴに憧れているマチルドが、レナール夫人に比べると、どうも危なっかしい。やがて母親となる身ながら、自身をヨカナーンの首を捧げもつサロメと同一視している。ジュリアンが彼女をレナール夫人に託したのも納得である。
2009年に英国ガーディアン紙が発表した、「英ガーディアン紙が選ぶ必読小説1000冊」選出。
Posted by ブクログ
ナポレオン失脚後のフランス。貧しい家に育った青年ジュリアン・ソレルは、立身のため僧職に身を投じる。やがて貴族であるレナール家の家庭教師となり、その美貌からレナール夫人に慕われるようになる。ジュリヤンは金持ちへの反発と野心から、夫人を誘惑するのだが。
ナポレオンが失脚しても、まだ人々の記憶に「もともとの身分は低くても、わが身一つの才能だけで立身出世を果たす」モデルコースは残っている。田舎出身のジュリアン・ソレルにも、ひと際「彼のようになりたい」思いは鮮明だ。美貌に恵まれ才能があり、本人にも十分自覚がある。まずは家庭教師から始めて、更に大人のレナール夫人に愛されて自信をつける。これまでは、頭でイメージするだけだった愛情が、自分に向けて示された。普通なら、相手の愛情に感謝しつつも、立場を思いやり、思慕をおさえる。ところがジュリアンは、有難がるどころか、完全に相手を利用するだけのつもりでいる。
Posted by ブクログ
「第59章 ウェルテルとドン・ジュアン」に掲載された詩が気に入った。
慎重な男はいつもためらう
あてにならない男が多いのはこのためだ。
だから恋された女のほうでも
過ちをおかしたことのないような男には
いつまでも溜息をつかせておく。
けれど最後に彼女の与える宝物の値打ちは、
それを味わった者でないとわからない。
高くつくほどすばらしい。
恋の賛歌とは苦労の値打ち。
(ニヴェルネ『吟遊詩人ギョーム・ド・ラ・トゥール』第3巻、342ページ)
参考に、原亨吉・宇佐見英治 共訳(角川文庫)では次のようになる。
慎重な男はたえず疑う。
だから表面(うわべ)を偽る恋人が多い。
願い求められた夫人の方も、
ついぞうそを言ったことのない奉仕者に
長らくため息つかせておく。
けれどいよいよ彼女がくれる宝の価値は
みずから味わう者にしかわからない。
高くつくほどすばらしい。
苦労してこそ恋はとおとい。
そこですました顔をしておられる御仁、お心当りはありますまいか?
ことのついでに、プーシキン『オネーギン』(米川正夫訳、新潮文庫)から、その第四章冒頭の2節を紹介させていただく。
1
かつてわたしは生涯の初めの頃に、
美しくて狡猾(さかしら)な、弱い女性に支配され、
この頃はまるで女の気紛れを、自分に取って
唯一の掟と心得てゐた。
魂はたゞひたすら燃え立つて
女性は一種純潔な
神體とすら思はれてゐた。
情も智も具備した女性は
完成の美に輝くやうに思はれた。
女の前へ出るとたちまち意久地なく
溶けて流れるやうに感じた。女の愛は
及びもつかぬ幸福とさへ思はれて
懐かしいその足もとに、生きかつ死ぬる――
それよりほかになんの希望も持ち得なかつた。
2
しかしまたある時は、急に女性を憎み始めて
悶えたりまた、苦い涙を流したりした。
女性はすべて意地悪な、神秘な力の創造物と
きめてしまつて、愁ひに沈みまた慄然と戰いた。
突き刺すやうなその瞳
ほゝ笑み、聲音(こわね)、話しぶり
何もかも毒に充ち滿ち
ても恐ろしい裏切に息づいてゐる。
すべて涙と、呻きの聲に餓ゑ渇き
人の生き血を糧(かて)としてゐる・・・けれどわたしは
また不意に女の中に、ピグマリンオンが
祈の前の石像を見る。それはまだ
冷たく口を噤んでゐるが、やがて間もなく
温い生ける女人(によにん)となるのであった。
いやはや、我が身を顧みて(省みて)、恋愛(特に初恋)とはこういうものだった、という感慨を強くする次第である。
お終い