作品一覧

  • 小さなことばたちの辞書
    4.5
    1~2巻2,970~3,168円 (税込)
    ことばに生涯を捧げた女性を描く珠玉の一篇。 「生きるということは、ことばを集めることだ――べつに辞書編纂者でなくても。エズメがそれを教えてくれる」――国語辞典編纂者・飯間浩明  19世紀末の英国。母を亡くした幼いエズメは、『オックスフォード英語大辞典』編纂者の父とともに、編集主幹・マレー博士の自宅敷地内に建てられた写字室に通っている。ことばに魅せられ、編纂者たちが落とした「見出しカード」をこっそりポケットに入れてしまうエズメ。ある日見つけた「ボンドメイド(奴隷娘)」ということばに、マレー家のメイド・リジーを重ね、ほのかな違和感を覚える。この世には辞典に入れてもらえないことばがある――エズメは、リジーに協力してもらい、〈迷子のことば辞典〉と名付けたトランクにカードを集めはじめる。  大英語辞典草創期の19世紀末から女性参政権運動と第一次世界大戦に揺れる20世紀初頭の英国を舞台に、学問の権威に黙殺された庶民の女性たちの言葉を愚直に掬い上げ続けた一人の女性の生涯を描く歴史大河小説。  2021年豪州ベストセラー1位(フィクション部門)、NYタイムズベストセラーリスト入り。「ことば」を愛するすべての人に贈る珠玉の感動作。

ユーザーレビュー

  • 小さなことばたちの辞書

    Posted by ブクログ

    女性たちの連帯はもちろん、同じ時代を生き、ことばに仕えた人々のきずなが描かれている、壮大な物語だった。
    単なるフェミニズムに寄りすぎるのではなく、エズメの周りの男性達は、女性であるエズメを理解し、応援したり温かく見守ってくれる人たちだっただけに、男性が主体となって向かわなければならなかった戦争のおぞましさが引き立っていた。
    戦争はもちろん、他にも悲しい出来事はたくさんあったが、ことばの世界に守られてきたエズメが、ことばを通して誰かを励まし、慰め、背中を押して次の世代にバトンを渡すまでの生き様がとても美しく描かれていた。

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    2025年07月28日
  • 小さなことばたちの辞書

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    あまりに美しくて最初から涙が出そうになる。「美しい」といったけどそれは外見に現れる「美」ではなくて日常に浮かんでいる、心が絵のように印象を切り取り溜め込んでいくそのシーンの美しさの事。言葉で文中説明されることのない主人公の感情の積み上げはこちらにぽつりぽつりと落ちて波紋をいくつも作るのよ。トニモリスンの「ラブ」を読んだ時の如く、直接説明せずに描ける方は本当に凄いなぁ。映画化されて欲しいくらいだが映画でこの美しさを表現できるのか?とも思う。本が好きな人も、言葉が好きな人も、女性である事に鬱々とする人も、メタな視点でいえば翻訳という事を楽しむ人も、何かしら見つけられると思う。そして戦争が日常に入り

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    2025年07月16日
  • 小さなことばたちの辞書

    Posted by ブクログ

    辞書は男の言葉でできている、そんなことに気付かされる物語。
    全ての英語を記載する辞書を作る過程を描きながら、そこからこぼれ落ちる言葉に注目したという、それだけですごい作品。
    女性たちの、”取るに足らない””学術的な価値がない”などとされていた言葉を拾い集めることで、それを使う人々の地位や出自、そして性別によって、残されるべき言葉が決まっているのかもしれない…。
    言葉に取り憑かれたような女性、エズメの人生を描きながら、過去と現代を照らし合わせることで、見えていなかったものが見えてくる作品だった。
    個人的には、なぜある言葉を”卑猥”と感じるのか、その視点がなかったので、本編と訳者のあとがきを読むこ

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    2025年05月08日
  • 小さなことばたちの辞書

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    読んでよかった。
    ことばを持つこと、ことばを扱うこと、ことばを得ること。ひとつひとつが大切で、意味のあることだって実感できた。

    すくいあげられない市井の人のうつくしさも素晴らしかった。
    エズメは当時の女性にしては恵まれていたが、それでもやっぱり「女」であることからは逃れられなくて、「持つ者」としてのエズメと「持たざる者」としてのエズメ両方を描いているところが好き。

    メイベルもディーダもガレスも好き。リジーはもちろん好き。リジーがいたからエズメは「ボンドメイド」ということばが引っかかったのだろうし、エズメがいたからリジーはいろんなことばを獲得して、ことばを通して心について考えたりできたのでは

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    2025年05月07日
  • ジェリコの製本職人

    Posted by ブクログ

    第一次世界大戦下のイギリス、オックスフォードの製本所で働く女性ペギーが地位を超えて大学を目指すお話。障害を持つ妹、戦争の影響、女性の権利の低さ。ペギーが卑屈すぎると何度も感じたけれど、それは今までペギーが受けてきた視線や言葉や待遇の裏返し。普段は日本の小説を好んで読んでいるけれど海外の小説はやはり世界が広いなー。これからもぼちぼち読んでいこうと思う。

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    2025年05月03日

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