最初は、読むのに退屈したけど、読み進めたら、文章が胸にささる、とてもいい本でした。ペギーが、最初は製本工から事務仕事の応募も躊躇っていたのに、最後は、カレッジに入るまで自分を変えていくストーリーがとてもよかったです。グウェンが、物怖じせず、物語を明るくしていていいキャラクターでした。
女性が学位をとることを、守衛に感謝しなくちゃと言われるが、私は、感謝はふさわしい言葉じゃない気がしたという一文がとても好きです。p528
モードは、言葉が不自由で繰り返すことでしか自分の意見を言うことができないという設定も、文章が読者に染み込む効果を高めていると思う。なぜなら、言葉が不自由なのに表現が豊かで的確だから。
好きなシーン
抜き出して見たら、"わたしたち"を"私たち"にせずに、ひらがなで表記する、"一つ一つ"を"一つひとつと"と表記するなど、小説を柔らかいトーンにするのに一役買ってるのだなと思いました。
p225
沈黙を埋めるため、あるいは暇つぶしのために人は、話す。
ことばを巧みに操り、際限もなくさまざまに組み合わせることはできても、大多数の人間は、本当に思っていることわなかなかうまく言い表せない。一つひとつの語句がそれ以外に理解しようがないたった一つの意味になるまで。会話を分解していく。
p242
「綺麗なだけが、花の取り柄だもの」わたしは言った。
「あなたは花じゃなくってよかったね」
p385
昔から、恋に傷つくのは自分の胸だと思ってきた。女だから、恋に支配されてしまうのだと。小説や詩の中で、何度も何度も読んできたことだ。でもその小さな嘘(主人公が自分がどうしたいか分かっているのに分からないといったこと)は、破れたのはバスティアンの胸だった。わたしは、それが破れるのを見、彼の痛みを自分の胸に感じた。
無意識に読んでいるもの、それを当たり前だと考えないこと、当たり前かどうか気がつくことが、大事だと思った。
p390
"変化を、求める共通の願いによって結ばれた女性たち"(姉妹たち)。そうだ。生まれつき持っていないものを欲しいと願うのは、わたしひとりじゃない。
このシーンは、とてもいいシーンでした。
ペギー(主人公)が、自分の意思をはっきり示すところ。立ちはだかるのが、女性で、周りの男性が冷やかして見ているのが、風刺ですね。
p395
どれもみんな同じだと思った。
どの一冊もひとたび読まれれば、それぞれ違う箇所で自然と開くようになる。わたしは気づいた。どの一冊もひとたび読まれれば、ほんの少しだけ違う物語を語ることになるのだ、と。
ミスガーネル(司書)との再会のところ
p420
「わたしたち女性を説明するために使われることばは、わたしたちの社会における価値を定義するの。そして。社会にどう貢献するかを、決めるのよ。」「わたしたちについてどんな感情を持つべきか、どう判断を下すべきか人々に指示するものでもある」
ペギーがギリシャ語を読める意味について、ミスガーネルと話すシーン