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吉田恵里香氏推薦!豪州発あの傑作の姉妹篇。
「社会や環境、時に家族や出生時の性別が、ペギーの壁となり牙をむく。
弱き者にこそ味方となるべきものが敵となる社会で、どうしようもなく知識や学問に惹かれてしまうのは、これらが決して自分を裏切らないから。
それが、この物語が今の時代に必要である理由だと思う。」
ーー脚本家・吉田恵里香氏(連続テレビ小説『虎に翼』、アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』)
第一次世界大戦下の英国。オックスフォード大学出版局製本所で双子の妹とともに働く女工ペギーは、夜になると工場から密かに持ち帰った不良(ヤレ)本をむさぼるように読み、大学で学ぶことを夢見ていた。だが、労働階級の彼女にとって学問は決して手の届かない高嶺の花だ。
戦争は日に日に激化し、街にベルギー難民が押し寄せ、疫病が流行し、社会は変わっていく。ペギーは、障害のある妹への責任やベルギー負傷兵との恋に悩みながら、大学を目指す――。
世界が恋した豪州発の傑作歴史小説『小さなことばたちの辞書』の姉妹篇が登場。前作同様オックスフォード大学出版局を舞台に、若く貧しい女工の挑戦、戦争と銃後のリアル、そして当時の製本工場を活写した紙の本への愛あふれる珠玉の物語。
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Posted by ブクログ
最初は、読むのに退屈したけど、読み進めたら、文章が胸にささる、とてもいい本でした。ペギーが、最初は製本工から事務仕事の応募も躊躇っていたのに、最後は、カレッジに入るまで自分を変えていくストーリーがとてもよかったです。グウェンが、物怖じせず、物語を明るくしていていいキャラクターでした。
女性が学位をとることを、守衛に感謝しなくちゃと言われるが、私は、感謝はふさわしい言葉じゃない気がしたという一文がとても好きです。p528
モードは、言葉が不自由で繰り返すことでしか自分の意見を言うことができないという設定も、文章が読者に染み込む効果を高めていると思う。なぜなら、言葉が不自由なのに表現が豊かで的確だから。
好きなシーン
抜き出して見たら、"わたしたち"を"私たち"にせずに、ひらがなで表記する、"一つ一つ"を"一つひとつと"と表記するなど、小説を柔らかいトーンにするのに一役買ってるのだなと思いました。
p225
沈黙を埋めるため、あるいは暇つぶしのために人は、話す。
ことばを巧みに操り、際限もなくさまざまに組み合わせることはできても、大多数の人間は、本当に思っていることわなかなかうまく言い表せない。一つひとつの語句がそれ以外に理解しようがないたった一つの意味になるまで。会話を分解していく。
p242
「綺麗なだけが、花の取り柄だもの」わたしは言った。
「あなたは花じゃなくってよかったね」
p385
昔から、恋に傷つくのは自分の胸だと思ってきた。女だから、恋に支配されてしまうのだと。小説や詩の中で、何度も何度も読んできたことだ。でもその小さな嘘(主人公が自分がどうしたいか分かっているのに分からないといったこと)は、破れたのはバスティアンの胸だった。わたしは、それが破れるのを見、彼の痛みを自分の胸に感じた。
無意識に読んでいるもの、それを当たり前だと考えないこと、当たり前かどうか気がつくことが、大事だと思った。
p390
"変化を、求める共通の願いによって結ばれた女性たち"(姉妹たち)。そうだ。生まれつき持っていないものを欲しいと願うのは、わたしひとりじゃない。
このシーンは、とてもいいシーンでした。
ペギー(主人公)が、自分の意思をはっきり示すところ。立ちはだかるのが、女性で、周りの男性が冷やかして見ているのが、風刺ですね。
p395
どれもみんな同じだと思った。
どの一冊もひとたび読まれれば、それぞれ違う箇所で自然と開くようになる。わたしは気づいた。どの一冊もひとたび読まれれば、ほんの少しだけ違う物語を語ることになるのだ、と。
ミスガーネル(司書)との再会のところ
p420
「わたしたち女性を説明するために使われることばは、わたしたちの社会における価値を定義するの。そして。社会にどう貢献するかを、決めるのよ。」「わたしたちについてどんな感情を持つべきか、どう判断を下すべきか人々に指示するものでもある」
ペギーがギリシャ語を読める意味について、ミスガーネルと話すシーン
Posted by ブクログ
苦しく辛く、とても幸せで光に満ちた旅でした。
途中何度も「冬に読むには苦しい」とページを閉じて、でもやっぱりペギーが、モードが、気になって仕方なく、泣きそうになりながら、もう一度、と手に取ったのでした。
私は双子なので、ペギーのモードを想う気持ちが痛いほど分かったり、一緒に眠ったことを思い出したり、ペギーの知に対する欲望に、現代女性の幸福に心から感謝したり、守るべき立場としての喜びや苦しみを手にとるように感じたり。
何よりも今につながる小さくはかない命を愛おしく思います。心を動かされました。泣いてしまう。
じっくり丁寧に読みました。
とても、とても、良かった。
絶対に買って私の本棚に置きたい。
Posted by ブクログ
20世紀初めのイングランド製本職員である。ペギーと妹モード。そして母の友人であるティルダ。社会がガウン(大学)とタウン(庶民)とに分かれていた時代、製本職人のペギーが、不良品の本を集めて学んでいる。
女性たちの言葉
“辞書に入れてもらえない言葉がある”
自分の許された以上の何者かになりたいと言う憧れで頭をいっぱいにした彼女の姿が胸に浮かんだ。
Sisters
共通の経験、政治的目標、変化の願望によって結ばれた有名無名の女性たち ティルダ・テイラー、1906年。
戦争により、傷ついたベルギーの兵士たちを看護するペギー。一緒に看護の仕事についた上流階級の娘、グエン、彼女との友情の物語から、この時期の欧州における社会階層及びヨーロッパとの関係性について改めて学ぶことができた。
扉にあった広告「虎と翼」の脚本家、吉田エリカ氏の文章に惹かれて読んだ。
但し長い
Posted by ブクログ
ピップ・ウィリアムズ『ジェリコの製本職人』小学館を読む。印刷・出版業は面白いのだ。今回はオックスフォード大学出版局の製本所女工の物語。妹は言葉が不自由だと思っていたのが、突如として理解される場面がある。「まるでプリズムが光を濾すように会話を濾す。一つひとつの語句が、それ以外に理解しようもないたった一つの意味になるまで、会話を分解していく」ことに気づく。妹は自分の言葉で文を作るのは苦手でも、繰り返す言葉は選んで使っているのだ。感動的な場面がところどころでキラッと光る。ケアあり愛あり学問あり、さらにオックスフォードへの羨望を満たす街の描写ありなのだ。
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