レトリックの研究をされている著者の本とあって,
とても論理的に,わかりやすく,伝える技術が説明されています.
名スピーチや名プレゼンが,どうして人の心に響いたのか,と考えたときに,
この本に書かれている技術をうまく利用しているからかもしれないと
思い当たるようなことがありました.
スピーチやプレゼ
...続きを読むンのためだったら,こういったレトリックは日本でも,とても効果的なように思います.
一方で,日本では受け入れられないのではないかというレトリックの使用場面もありました.
失敗をしたときに自分の人格を高めるチャンスととらえて,レトリックをうまく使うという場面です.
失敗をしたら,しばらく小さくなっておかなくてはならないような文化が日本の文化なんじゃないかと思うので,このあたりは実生活では使用に注意が必要かもしれません.
レトリックは,訓練が必要そうですが,かなり役に立ちそうな印象も受けます.
例えば,過去,現在,未来の時制を,意識的に変えることで,
人との関係を良好にすることができる,というところを最近私自身も実践して,
効果を感じました.
興味深かったのは,アメリカであっても,レトリックの文化が衰退してきているという筆者の見解です.
何か議論となると,すぐに二極化しがちな日本でも,レトリックの技術はますます必要と思います.
本書のように楽しく,前向きに学べるレトリックが教育現場でも採用されるといいのではないでしょうか.