作品一覧

ユーザーレビュー

  • ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」

    Posted by ブクログ

     著者は1997年生まれのジャーナリスト。日本ジャーナリスト会議賞受賞作「「日米合同委員会」の研究」をはじめ、日本国家の対米従属の深化と日本社会の軍事化との関わりを問う著作を多く発表している。本書の初出は『世界』2024年4月-7月号「ルポ 「軍事優先社会」」、『前衛』2024年6月号「自治体を有事法制に組み込む「特定利用空港・港湾」指定」。
     2015年の安保法案=戦争法案以後の日本社会の軍事化の状況を確認したくて手に取ったが、相手方がまるで将棋の駒を進めるように着々と手を打っていることが確かめられた。と同時に、そのことがほとんどメディアで公論化されず、社会的に議論されていないこともこれまでと同様である。
     とくにこのトピックに顕著なことは、国会等での政府の発言、外務省や防衛省の説明がことごとく嘘と誤魔化しで一貫していること。ジョージ・オーウェルのニュースピークよろしく、語っている本人がいちばん信じていない事実や実態を乖離したコトバだけが語られていく。このようなコトバの空洞化と、それが生みだすシニシズム自体がこの国のエスタブリッシュメントの狙いなのか? と邪推したくもなる。

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    2026年07月19日
  • ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」

    Posted by ブクログ

    政府がアメリカと一体となって軍事化を進めている、対米従属の一途をたどっているという内容の本を読むたびに思うのが、「なぜ政府あるいは与党は、対米自立の道を選ばずに、対米従属の道を選ぶのか」という点で、その選好の理由をしっかりと把握し、理詰めで突いていかない限り、なかなかこの方向性をひっくり返すのは難しいのでは無いかと思う。

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    2026年01月04日
  • 「戦後再発見」双書5 「日米合同委員会」の研究 謎の権力構造の正体に迫る

    Posted by ブクログ

    日米合同委員会で決定された数々の不平等密約は、安保条約により、アメリカが日本を防衛してやるのだから、米軍関係者が日本で事件・事故を起こしても、不問に付せよ、という文脈が成立しそうである。

    外務省は、日本国民よりも、米軍に優遇権利を図ろうと仕事をしている。こんな状態で、わが国が主権在民国家とはとても言えない。だから、中国から、日本はアメリカの従属国と言われるのである。

    1952年の日米合同委員会で承認された事項の一つには、米軍関係者の事件・事故に関する密約があった。すなわち、米軍関係者による事件・事故の被害者からの損害賠償請求の裁判に、米軍側はアメリカの利益を害するような情報は証拠として提供しなくてもいいし、また、そうした情報が公になりそうな場合は米軍人・軍属を証人として出頭させなくてもいい、というものである。

    この説明を読んでピンと来たのが、2008年に発生した第58寿和丸沈没事故である。船体に何かが衝突してあっという間に沈没し、乗組員4名が死亡した事故である。潜水艦衝突の可能性が高いとされているが、もし仮に米軍の潜水艦ならまさに上記密約どおりのことが実行されたことになる。つまりは、仮に米軍潜水艦の衝突による沈没だったとしても、その事実は葬ることができることになる。

    数々の不平等密約が締結されていった時代は、米ソ冷戦のさなかにあったときである。旧ソ連と対峙するにあたり、地理的に旧ソ連に近い日本に米軍の最前線基地を活動しやすいように設ける必要があったことは想像できる。米軍が活動しやすいように機能したのがまさに日米合同委員会であった、ということになろう。

    日米合同委員会で締結された数々の不平等条約を解消しようとしてアメリカからの真の独立を得ようとすると、必ず摩擦が発生するだろう。解消できた場合、失うものが大きいのは日本となる。なぜなら、密約解消となれば米軍は日本から撤退の可能性があり、中国にとってみれば日本に攻め入る隙が拡大するからである。

    日本は、アメリカとの関係では属国のままとならず不平等条約を解消し真に独立する一方、軍事力を増強して中国への抑止力を機能させるようにすることが理想であるが、これはかなり難しい。

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    2025年09月13日
  • ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」

    Posted by ブクログ

    この新書に書かれている問題意識には共感するところ大だ。
    しかし、そうだとすると、この新書のタイトルには違和感があった。
    軍事優先社会、、ではなく米軍優先社会 なのではないか?

    もし著者と認識が違うとしたら、
    私は、ある一定条件の下であれば、日本は軍事費を今より増やしていいと思う。
    ある条件とは、今のように対米追従で、アメリカの言うことを全部鵜呑みにする、
    というのを一切やめて、自国で考えて、自国防衛のために軍事に金をかける、
    ということだ。
    いま日本を本気で守るとしたら、オスプレイでもなければFなんとかでもないし、
    大陸間弾道ロケットでもないだろう。
    アメリカのお古を高値でかわされているだけの軍事費に何の意味もない。
    アメリカなんて、いうこと聞いたって最後は自国アメリカのために動く。
    日本のことなんてどうだっていいに決まっている。
    中ソの砦として存在しているに過ぎない。
    それを後生大事に?何でも言うこと聞きます、なんてナンセンスだ。
    もちろん、だからと言って中国べったりもあり得ない。
    ビジネスルールを守らぬ国が何をするかはわからない。
    ましてプーチンのロシアをや。
    言わんとするのは、盲目的にアメリカを信じるのは無意味、ということ。
    この新書も、アメリカ基地がまき散らすピーファスの恐ろしさに触れている。

    国民の生命を二の次にする日本政府の姿勢、これは結局80年前と変わってない。
    むしろ、敗戦の思い、アメリカの仕打ちを知らない偏差値エリートが中枢にいる
    政府では、なおのこと「アメリカのポチ」となって、国民を犠牲にして、
    アメリカに追従するのだろう。
    戦争を知らないのはどうしようもないこと。
    少なくとも国民の生命を守ろうとしない、人の心がわからない官僚、政治家には
    退場してもらいたい。

    はじめに
      加速する米日軍事一体化と戦争準備
      「安保三文書」と敵基地・敵国攻撃能力
      軍事優先の国策と棄民政策

    第1章 地域が戦争の拠点に――ミサイル基地・弾薬庫がもたらす棄民政策
     ミサイル弾薬庫の増設と大軍拡
     激増する弾薬整備費
     他国攻撃が可能な長射程ミサイルを保管
     南西諸島の自衛隊ミサイル部隊
     住民も戦火に巻き込む軍事作戦
     沖縄戦の歴史の教訓
     国民保護という名の棄民政策
     アメリカの戦争に日本が巻き込まれるリスク
     自衛隊だけ生き残ろうとする基地の強靭化
     有事の煽動と戦争準備
     戦争体制の背後にある軍産学複合体の利益
     対話と信頼醸成を通じて戦争を防ぐべき

    第2章 徴兵制はよみがえるのか――自治体が自衛隊に若者名簿を提供
     自衛隊から突然のダイレクトメール
     大軍拡と自衛官募集の強化
     自衛隊員が戦場に送られるおそれ
     自衛隊への名簿提供違憲訴訟
     プライバシー権を侵害する名簿提供
     軍事優先の法的根拠の拡大解釈
     戦前の徴兵制の兵事事務と似ている点
     徴兵制の土台ともなりえる仕組み
     「経済的徴兵制」を視野に対策
     自治体を戦争体制に組み込む動き
     兵事係の再来を許してはならない
     軍事優先の国策への異議申し立て

    第3章 軍事費の膨張と国民の負担――侵食される社会保障と生存権
     武器輸出反対の声
     「死の商人」国家への堕落
     「死の商人」養成策を国策に
     軍需産業への手厚い財政支援
     ミサイル特需と軍需産業の利益拡大
     防衛省設置の有識者会議に三菱重工会長が
     膨れ上がる兵器ローン
     財政民主主義に反する軍事費の特別扱い
     軍事費が社会保障を圧迫
     生活保護費の削減と生存権の侵害
     いのちのとりで裁判
     セーフティネットの大切さ
     ミサイルかケアの充実か

    第4章 主体性なき軍拡、主権なき「軍事大国」化――米戦略への歯止めなき従属
     日米首脳会談と米日軍事一体化
     軍事作戦で主導権を握る米軍
     自衛隊が米軍の事実上の指揮下に
     安保条約を曲解しアメリカの戦争に追随
     米軍と自衛隊の連携の拡大
     米日統合司令部と日米指揮権密約
     アメリカが統帥権を握る
     米軍優位の不平等な日米地位協定
     米軍機による騒音公害を訴える裁判
     米軍基地がもたらすPFAS汚染
     基地への立ち入り調査を阻む地位協定と米軍の壁
     住宅地に銃口を向ける米軍機
     法的根拠のない低空飛行訓練
     米軍の軍事的ニーズに合わせて
     日米合同委員会の密室協議と密約
     日米安保・同盟の冷厳な本質

    第5章 対米従属の象徴・オスプレイ――危険な「欠陥機」を受け入れる唯一の国
     オスプレイの墜落事故と飛行再開
     米軍特殊部隊員を運ぶオスプレイ
     危険なパラシュート降下訓練
     アメリカの世界戦略に組み込まれた基地
     オスプレイの超低空飛行を認めた日米合同委員会
     佐賀空港へのオスプレイ配備
     基地建設工事の差し止めを求める訴訟
     住民を戦争に巻き込む空港の基地化
     共有地としての権利無視の土地買収
     有明海の海苔養殖への悪影響を危惧
     矛盾する国側の主張
     米軍による軍事利用への懸念
     平和な環境と宝の海を未来の世代に

    第6章 有事体制に組み込まれる自治体――空港・港湾の軍事利用にどう抗するか
     大軍拡と空港・港湾の軍事利用
     軍民両用と有事の部隊展開の狙い
     「特定利用空港・港湾」の指定
     軍事利用の既成事実づくり
     住民の犠牲も織り込みずみの空港・港湾利用
     下地島空港の軍事利用を認めない沖縄県
     軍事利用を防ぐ「屋良覚書」
     平時から戦時まで切れ目なく
     米軍による空港・港湾の軍事利用
     自治体は空港・港湾の軍事利用を拒否できる
     自治体を国の下請け機関に――地方自治法改正の狙い
     緊急事態条項の新設をもくろむ自民党改憲案
     「再び戦争の惨禍」が起きないように

     主要参考文献
     あとがき

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    2025年08月03日
  • ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」

    Posted by ブクログ

    こちらはクマさんの本棚で興味を持ち、オーディブルで拝聴。
    本来は綺麗好きである私の部屋が荒れ放題の緊急事態。(何もかもこの未曾有の暑さが悪い)
    1日掃除をすると決め、長丁場のお供に選びました。

    結果、掃除には全く不向きでした。
    慣れていらっしゃるクマさんですら専門用語と内容の濃さに紙の本と併用されていたとの事。
    そんなものを私が掃除しながら聞けると何故思ったのだろうか。いや聞けたんだけどさ。
    度々手を止めては調べ、気になる所や分からない事はメモをしてそれも調べ、結局半日はこの作業で終わりました。(何故にその情熱を課題等に向けられないのか)

    さて、私のキレイキレイ♪の話は置いておいて、これは多くの日本国民が知っておくべき内容だと思いましたので、ちゃんとした内容や何故本書を広めるべきかと言う事はクマさんとひまわりめろんさんのレビューにお任せして、私は生々しく数値等を提示してみようと思います。

    先ずは、ご自身の家の近くに米軍の基地があると想像してみて下さい。
    ガンガン戦闘機が飛ぶ。騒音で頭がおかしくなりそう。おまけに軍事訓練と称して自分の家の方に機銃を向けられる。(母国のアメリカでは民家のない砂漠等でしか軍事訓練は行いません。吉田さんは異国での戦闘準備に使われていると仰っています)
    訴えても裁判所では判決を下せないと突っ撥ねられる。それでも頑張って賠償金が認められたとしてもアメリカが本来払わねばならない7割の賠償額を、日本が肩代わりする。
    更に基地から公害も撒き散らす。近くの田畑は大打撃。基地に調査に入る事も許されない。
    更に更に、基地で働く日本人の労務費は日本が支払っている。

    これに関してはちょっと詳細に書いておきましょう。
    びっくりした、私。

    在日米軍が日本でスムーズに駐留できるよう、本来アメリカ側が負担すべき費用の一部を「思いやり予算」として日本側が支払っています。
    これは国民の税金で賄われています。

    思いやり予算の内訳ですが
    【労務費】米軍基地で働く日本人スタッフの給料や福利厚生費
    【光熱水料】基地で使われる電気・ガス・水道などの費用【訓練移転費】在日米軍が海外で訓練する際の費用
    【施設整備費】基地内の建物や設備を整える費用

    まだまだ払うよー?!

    その他の負担(思いやり予算とは別)
    【米軍再編関係経費】米軍の配置変更や再編にともなう費用
    【SACO経費】沖縄の基地負担軽減のための日米合意による費用

    つまり、日本は「思いやり予算」だけでなくその他の関連費用も含めて、在日米軍のために多額の支出を行っているのです。
    これはすべて国民の税金から出ており、在日米軍の円滑な活動を支えるための“日本の負担”らしいです。

    冗談じゃねえ!先ずは自国民を思いやれよ!!と思いましたか?(私は思いました。前回のレビューに引き続き酔っ払いおじさま化現象)
    それではこのまま、以下の軍事費用と社会保障費の推移をご覧下さい。

    2023年度予算では社会保障費が約36.9兆円、防衛費が約6.82兆円と、防衛費が前年比約26%増。
    2024年度も社会保障費は増加したものの、予備費減相殺後には実質的に防衛費優先の配分が顕著に。
    2027年度までに防衛費43兆円分の財源が組まれ、社会保障費の自然増分1500億円圧縮が予定されている。

    恐ろしい話があったもんです。

    社会保障費(高齢化などによって自然に増える分)は、本来であれば毎年6,000億円〜8,000億円増えると見込まれているらしいのですが、にも関わらず2017年度にはそのうち1,300億円が削減され、2023年度もおよそ1,200億円程度が抑制されたそうです。

    さらに政府は、2027年度までに防衛費を5年間で43兆円に増やす方針を掲げていますが、その財源の一部として社会保障の伸びを抑える方針が示されており、高齢者医療や介護、子育て支援などに直接影響が出る可能性が出て来ます。

    それは生活保護受給額にも影響します。
    吉田さんは72歳まで頑張って働いていたのに、夫の介護の為に辞めざるを得ず生活保護を申請した女性にインタビューしています。
    保護費が減額されてしまい、彼女は訴えに出ました。

    他人事ではありません。我々もいつ何があるか分からないですし、生きて行く為に国を頼らざるを得ない状況に陥いるかも知れません。
    それを踏まえてこの軍事費の増加の在り方を考えてみて欲しいのです。
    そして、再度、米軍基地へのお布施を思い出して頂きたいのですが恐ろしくなりませんか?

    聴いて調べて行くうちに、正直ゾッとしました。

    本書はもっと緻密な取材とデータを参考にかなり詳しく教えて下さっています。
    本当に多くの方に目を通して頂きたいのはやまやまなのですが、クマさんの仰るようにハードルがかなり高いのも事実。

    ですので、皆さんせめてこれだけは覚えて帰って下さい。

    思いやり予算てなんやねん!!!
    生活に困窮しているおばあちゃんを助けんかい!!!
    (あまりの事に関西弁)

    ロシアがウクライナに侵攻し、その折に台湾有事も話題になっておりました。
    私は割と本気で日本も戦争に巻き込まれるのではないかと危惧しておりました。
    友人と「一緒に生き抜こうな」と語った程に。
    結果的にはまだ恐れている程の事は起きていませんが、もう日本は戦争をしてしまう国になっているのか。

    それをしみじみと考えさせられるルポでした。
    クマさん、なんとか戦争に向かっている流れは掴めた気がします。
    今度、紙媒体で読み直してみます、ありがとうございました。

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    2025年07月11日

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