◯情報開示には4つの区分がある
情報開示には、法定開示、適時開示、IR、PR(パブリック・リレーションズ)の4つの区分。
法定開示とは、「金融商品取引法と会社法により義務付けられている情報開示」で、有価証券届出書や有価証券報告書などが開示例です。
適時開示とは、「金融商品取引所が義務付けている情報
...続きを読む開示」で、決算短信や業績予想の修正リリースなどが開示例です。
PRは「任意で開示する各ステークホルダーに有用な企業情報」で、いわゆる広報のことです。
IRは、「任意で開示する投資判断に有用な企業情報」です。開示例としては、決算説明会資料やアニュアルレポートなどがあります。これらは任意開示のもので、法律や証券取引所の規則で義務付けられたものではありません。
実務上のIR活動は、法定開示と適時開示を含めて対応しするし、IRとPRも内容の重複がある。
◯IRに関するステークホルダー
・アナリスト(セルサイドアナリスト/証券会社で働くアナリスト、バイサイドアナリスト/運用会社で働くアナリスト)
・機関投資家
・証券会社の営業部門
・個人投資家
・格付会社
・債権者
・経済記者
・IR支援会社
・官公庁の調査統計部門
・監督機関(金融庁、証券取引所、証券取引等監視委員会)
◯IRの担当部署
・経営陣
・経営企画部門
・財務経理部門
・総務部門
・専属部署
◯IRに必要な人的ネットワーク
・経営陣や各事業部門とのネットワーク
・アナリスト、投資家とのネットワーク
・経済メディアとのネットワーク
・IR担当者同士のネットワーク
・IR支援会社とのネットワーク
◯投資家・アナリストの評価軸
・業績の前年同期比での評価
・比較対象との相対評価
・先行きに対する評価
・株価水準に対する評価
・株主還元策に対する評価
◯セルサイドアナリストにカバーされやすい会社の条件
・市場シェアが高いこと
・市場規模を把握できていること
・成長ストーリーを語れること
・IR取材のアクセスが容易であること
・決算の増減要因分析ができていること
・必要な数値データを迅速開示できること
・事業構造を説明できること
・歴史的経緯を説明できること
◯コーポレートガバナンス・コード~上場企業が守るべき企業統治の行動規範~
1. 取締役会の機能発揮
■プライム市場上場企業において、独立社外取締役を3分の1以上選任(必要な場合には、過半数の選任の検討を慫慂)
■指名委員会・報酬委員会の設置(プライム市場上場企業は、独立社外取締役を委員会の過半数選任)
■経営戦略に照らして取締役会が備えるべきスキル(知識・経験・能力)と、各取締役のスキルとの対応関係の公表
■他社での経営経験を有する経営人材の独立社外取締役への選任
2. 企業の中核人材における多様性(ダイバーシティ)の確保
■管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者の登用)についての考え方と測定可能な自主目標の設定
■多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針をその実施状況とあわせて公表
3. サステナビリティ(持続可能性)を巡る課題への取組み
■プライム市場上場企業において、TCFD 又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量を充実
■サステナビリティについて基本的な方針を策定し自社の取組みを開示
4.上記以外の主な課題
■プライム市場に上場する「子会社」において、独立社外取締役を過半数選任又は利益相反管理のための委員会の設置
■プライム市場上場企業において、議決権電子行使プラットフォーム利用と英文開示の促進
コーポレートガバナンス・コードには、法的な強制力や罰則はないが、イギリスが採用している「従うか、説明せよ(comply or explain)」という原則に基づいている。
従わない場合には理由を説明する責任が発生するという考え方。
◯プレスリリースとIRの違い
PR:新製品の性能、価格、販売時期、販売ルート等→商品の内容
IR:新製品の単価と目標販売台数(初年度、三年後)、業績貢献時期など→業績インパクト