メアリー・シェリーの作品一覧
「メアリー・シェリー」の「新訳 フランケンシュタイン」「フランケンシュタイン」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
意外にも世間にはフランケンシュタインが怪物の名前だと思っている人が多いようだ。昔、トリビア系のバラエティ番組で「実はフランケンシュタインは怪物の名前ではないのです!」と発表され、スタジオがどよめくのを見たこともある。
会社でこの本を読んでいる時に通りかかった先輩が、「何読んでるの?あぁ、フランケンシュタインね!これでしょ?」と怪物の動きを真似てみせた。先輩も怪物自体がフランケンシュタインだと思っていたと言う。これだけ知名度があるのに、原作に触れたことがある人は少ないということだろう。
フランケンシュタインは探究心、情熱、名誉への渇望を持ち、死を生に逆転させるという試みを実行する。「死を生に」というのは一見美しく、もし成功すれば人間は死に恐怖することもなくなり、人類の発展にとっても大きく役立つであろうと思われた。しかし、その結果は大きく恐ろしい怪物の形をしてフランケンシュタインの前に立ち現れる。怪物のその外見の醜悪さから、フランケンシュタインは己がしたことのおぞましさに気づき、放り出し逃げ出すことになる。しばしば人間は自分で原因を作り出したにも関わらず、我関せずと責任を放棄したり、脅かされるのではないかと恐怖する。現代ではAIや温暖化など、時代を超えて当てはめることができる普遍的なテーマがフランケンシュタインにはある。
また、社会集団である人間がなんの慰めもなく孤立した状態となった時、どのような心理が働くかという面でも面白く読めた。
Posted by ブクログ
先入観で知ってるつもりになって「読まず嫌い」してはいけない本の最たるものかもしれない。
フランケンシュタイン博士が生み出した怪物(そう、フランケンシュタインは怪物の名ではなく博士の名なのだ)、私の中でそのイメージはあまりにも映画に毒されてしまっていた。頭に釘の刺さったロボットじみた大男、「13日の金曜日」のジェイソンみたいなモンスターだとばかり思っていたのだ。
ところが原作の怪物は、死体をつぎはぎした醜い大男には違いないものの、なんと独学で言語を学び、英詩を解し、情緒豊かで深い洞察力を持ち、それゆえに自身の呪われた境遇に深い苦悩を抱く、とんでもなく人間的な魂の持ち主だった。確かに途中から人間への復讐心に駆られて殺人に手を染めるものの、それは人間から忌み嫌われ、迫害され、裏切られた末のことであり、要は満たされることのない「人間への求愛」の裏返しとしての行動だったのだ。
実際、生みの親から打ち捨てられ(それも見た目が醜いというだけの理由で)、名前すら与えられず、万人から死を望まれ、生を共にする仲間もなく永遠の孤独だけが約束されている、「自分は何のためにこの世に生を受けたのか」と嘆く怪物に、憐れみを感じない読者がいるだろうか。むしろ、若気のいたりとはいえ、自分の知的好奇心の赴くままに怪物に生命を与えておきながら、「思っていたのと違う」という理由で一切の義務を放棄し、罵詈雑言を浴びせるフランケンシュタイン青年の方こそが、よほど怪物じみているではないか?
ゴシックホラーという枠にくくるには、あまりに重いテーマを帯びた物語だった。現代的を超えてほとんど未来的ですらある。科学が生み出した知的生命体に、我々はどのような態度で臨むべきなのだろうか。AI黎明期の今、改めて推したい作品だ。