「ノルマントン号事件」の絵でお馴染み、ジョルジュ・ビゴーの作品100点を厳選し、それについて著者の清水勲氏が解説しています。
ジャポニズムが一斉を風靡した19世紀末期、フランス人画家ビゴーは浮世絵目的に来日するものの、日本の奇妙な魅力にとり憑かれて、日本人の生活を記録していくこと
...続きを読むに興味が移ります。また、永住を決意し、日本人女性佐野マスと結婚しています。
条約改正により生活不安を感じ、最終的には本国へ戻るものの、彼が日本滞在中に描いた作品はとても面白いです。
外国人ならではの視点で、当時の日本の姿を在りのままに描いています。
ビゴーの絵って本当に味があるなぁ。
ふんどし、混浴、西洋化…当時、フランスから来日したビゴーにとって、相当珍奇に映ったことでしょう。
120年以上経った今見ても、かなり珍奇なので。
諷刺画が有名なので、日本人を常に批判的に見ていると思われがちでしょうが、そこには危惧や示唆が含まれていたのだと思います。
ビゴーは日本が好きだった、それは確実に伝わってきます。
最近、今の日本人の「集団主義」的な面や、「勤勉」な面は何百年も前からの国民性(曖昧な言葉ですが)ではない、という事について勉強する機会があったので、尚更興味深いものでした。
その変化はやはり文明開化の影響によるものが大きいようです。
ビゴー自身、彼が滞在していた20年程の短い間に日本社会は目まぐるしく変化し、だんだんと彼らが金の亡者に変わっていったことを歎き、日本との決別を決めています。
ビゴーのような人が居たことは、日本にとって大きな財産であったのに、惜しいことをしたものです。
日本人の研究、面白いです。次は同著者の「ビゴーが見た明治ニッポンを」読もうと思います。