あらすじ
激動の明治期、人々はどのような仕事をしていたのか。仏人画家ビゴーは、洋服屋、牛肉屋、鹿鳴館職員といった西洋化により登場した職業など、働く人々の姿を諷刺も交え克明に記録した。国会議員らエリート層の豪奢で珍奇な暮らしぶりとは対照的に、人口の9割を占める下流階級の人々が懸命に働く姿は、明治の格差社会を痛切に感じさせる。100点超の作品を紹介し、背景を解説する。(講談社学術文庫)
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Posted by ブクログ
ビゴーの本、これで三作目です。やっぱり最初に読んだ本のインパクトには劣ります…が、私が学んでいる教育社会史にとって大変興味深い記事がチラホラ。
この本は職業をテーマにしているので、性別も、年齢も身分も様々な人たちが登場します。
中でも興味深かったのは、女性の職業です。
今だからこそ色んな職業に就けるようになりましたが、当時は本当に女性の職業が少ない!
そんな中でも、薬剤師や先生等をしている女性がいることは素晴らしいです。
また、本来男女比は一対一の筈なのに男性人口の方が多い…これには、働き手になれない女の嬰児の「間引き」が行われていたからという理由が隠されています。
間引きは知ってましたが、今回詳しく知れて良かったです。
またもうひとつ興味深かったのは、賃金の話。
明治24年の内閣総理大臣の年俸は、9600円!!
高額で驚いてるんです。
というのも、工場などで雇われている男性の年収が当時50円程度(これも、割と良い方だし、単純計算による値なので、曖昧です。)なので、それと比べると…約200倍!?
明治20年代で、確か1円=2万円ぐらいのはずなので、2万×9600=192000000……約二億?
なんという格差社会。
といっても、内閣総理大臣はじめ公務員の賃金が下がっただけで、現代も格差社会なのは変わりありませんが。
いやはや。
大変興味深い本でした。
でもやっぱり風俗についての内容の方が好きかな。
Posted by ブクログ
明治期に来日し、多くの風刺画で知られるフランス人画家ジョルジュ・ビゴーの絵から、職業(主に明治維新後に登場した新職業)に関わるものを選抜し、明治社会の人びとの生活実態の一端を示している。最底辺の貧民から特権階級まで多岐にわたる。解説は最小限で、簡単な「明治事物起源・職業編」とでも言うべき内容である。
Posted by ブクログ
明治の人々の写真などは鮮明でなく、また変な着色などされていて見難い物が多い。この本の場合、写実的な絵により、より当時の情景が鮮明に描かれている。例えば馬に曳かせる鉄道など初めて見た。
Posted by ブクログ
社会の教科書でよく見たジョルジュ・ビゴーが、明治時代の日本の色々な職業の人を銅版or石木板で描いたもの、をまとめた本。
ビゴーは明治19(1886)年に来日、貧しい一般人の中で過ごすなどして、思った以上に当時の日本のことを知っていたようだ。
◎明治の人口は3,000万人前半からスタート、明治末年には5,000万人に。
0.01%の貴族、5%の士族、1%の宗教関係者、94%の平民。
◎江戸という都市は以上に男性が多かった。
享保6(1721)年には、男:180 女:100
独身男性が多かったから秘画浮世絵が売れたといわれる。
幕末には、男:105 女:100
明治になると男の割合が再び上昇。
新しい商売・産業・企業が生まれ、男性労働者の需要が高まった。
建設期の年は男性が多くなるのが一般的特徴であった。