古橋信孝の作品一覧
「古橋信孝」の「21世紀によむ日本の古典」「現古辞典 いまのことばから古語を知る」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
万葉集は学生の頃に習っただけで、初心者な私。
読み方を知りたくこの本を手に取りました。
短歌の読み方を知っているだけでは歌の本来の雰囲気や語ろうとしてることがわからないと思っていたので、時代背景やそこに生きていた人々の暮らしも一緒に解説してくれていて初心者にはとてもわかりやすかったです。
序詞や掛詞は想像力を膨らませなければ気づけないような仕掛けだけれど、気づいた時に歌がぐっと深まるような感覚を覚えました。
万葉集の楽しさの第一歩を踏み出すことができたように思います。
また他の解説本や同時代の本も読んで、自力で読める力をだんだんとつけられることが目標です。
Posted by ブクログ
『万葉集』において「歌」という文芸のジャンルが形成されたという観点から、そこに収められている歌を読み説く試みがなされています。
「写生」という理念を掲げて近代短歌の創成をおこなった正岡子規は、近代的な文芸としての『万葉集』の魅力を発見しました。もちろんこんにちでは、『万葉集』をもちあげて『古今和歌集』を貶める子規の見かたがそのまま受け入れられているわけではありません。それにもかかわらずわれわれは、近代文学に特有であるはずの普遍的な性格を『万葉集』のうちに見いだそうとする傾向を、いまもなお捨ててはいません。たとえば、天皇から東国の庶民にいたるまで、さまざまな身分や境遇の人びとの率直な思いが『万葉集』の歌に見てとることができるといった言説は、ひろく受け入れられています。
本書の議論は、こうした『万葉集』の見かたを解体するものということができます。現代のわれわれが『万葉集』の歌に、東国の庶民の心理をじかに感じとることができるように感じるのは、そこに採用されている歌が、中央の貴族たちのまなざしによってとらえられたかぎりでの、東国の庶民の心理だからなのです。そして、こうした普遍性を可能にしているのが、「歌」という文芸のジャンルであり、『万葉集』においてまさしくそうしたジャンルが形成されたのだと著者は論じています。
『万葉集』の歌に古代日本のロマンを求める読者の憧憬に水を差すような内容をふくんでいますが、著者のねらいはもちろんそのようなところにあるのではなく、文芸のジャンルがわれわれの思考や感情のありかたにどのように影響しているのかということを明らかにし、文学の成立根拠をも問いなおすような見かたを開くところにあるのではないかと考えます。