村瀬秀信の作品一覧
「村瀬秀信」の「後ろ姿のない男 高田繁と日本野球の70年」「ドラフト最下位」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「村瀬秀信」の「後ろ姿のない男 高田繁と日本野球の70年」「ドラフト最下位」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
優れた野球人とは、選手としての力はもとより、無頼でヘンな人で大金も持ってるから、すなわちすごいんだ!……と、誰が決めたのか。いや、俺ら庶民はそう思い込んじゃっているのか。
実はそういうイメージから程遠い高田繁こそは、この本を読めばすぐわかるが、「マジですごい野球人」なのである。浪商、明治、V9時代の巨人という王道の中の王道をすべて主力選手として脱落することなく生き抜き、引退後はあまた当時の弱小チームの監督・GMで存分に(その大部分をバックヤードで)強化力を見せ、野球人として生き抜いてきたという経歴は、完全に半端ない。
では、なぜ過小評価されてしまうのか。要するに、あえて自らそれを語るを良し!としてこなかったからである。そして、クソの付くほど常識人であり(俺らがプロ野球人に期待してしまう「大バカさ」とか「豪放磊落」「常人ならざる言動」なんぞとは、この人は一切無縁だ)、マスコミと派手に渡り合うとか、飲み歩くとか、いじって楽しい武勇伝(つまりコンプラ違反)の属性なども、一切なかったからである。
大体において、政治の世界なんかでも、闇将軍は堂々と「闇将軍」と言われてて全然闇じゃなかったりするのだが、こと近年の高田繁の仕事ぶりは、本当にブラックボックスであった。もっとも、発言するのは自分の仕事にマイナスだから、この人は対・世間には何も言ってこなかったに過ぎないのだが。
で、そのほぼ全てが初出しの内容と言っていい本書を読めば、その肉声でもって、高田繁の真の実力と球界への貢献度が一目瞭然なのである。もしも、4番かエースならざれば監督ならずという巨人の不文律がなくば、高田巨人が存在してて、またすごい時代を迎えたんじゃないか……とか、否、そのおかげでこの稀有な野球人はファイターズへ、ベイスターズへとGMで渡り歩いて、球界全体を良くしてくれたんじゃないか……とか、妄想からリアルまで、様々なことを思ってしまうのだ。
多分に本音しか話していない高田の舌鋒は、鋭い。特に苦言は! かといって、メチャクチャな老害のそれではない。筋立っているのだ。ブー垂れてるだけの人ではないからこそ、その言葉は突き刺さる。逆に、野球の制度であれ人間であれ、褒めるべきものは徹して褒める。状況を常に俯瞰できている証左でもある。
自他共に認める「どこの派閥にも属さない一匹狼」で、権謀術数なしに全うしえた野球人生には、驚愕しかない。だってここは日本社会ですよ? 最初から最後まで、内容のインパクトはメチャクチャ強い。あまたゴーストの書いた「野球人の自著」など、屁でもない。
本書が出た後に、有名な著書もあられる、とある野球識者さんと話す機会があったが、その方は開口一番「これの書き手が村瀬さんで、本で出してくれて、本当に良かったですね!」と、下手すれば商売敵に対して、一点の曇りもないトーンで言われた。
それもその通りで、まさにその取材3年の執念と食いこみ方と知識なくして、この「本物」の日本プロ野球裏面史が表に出ることは、絶対なかったであろう。と同時に、本書が前述のような凡百ゴーストによる「高田繁・著」の本ではなく、村瀬秀信・著であるところの意味合いというのも、またしみじみと感じられるというもの。この稀有な野球史にして野球秘録、今知らなければ、もったいない!
Posted by ブクログ
こんな話があったなんて、、、
1955年の大阪タイガースの監督は、プロ経験のない60歳のおっさんだった!岸一郎。
もっとも、早稲田と満州で好投手として鳴らしていたので、素人ではない。
ただそれにしても、いきなりプロ集団のトップに据えるなんて、
阪神球団、どうかしている。
若手への入れ替えがミッションで、外部の人間でないとできない、と判断したようだが、、
日産のリストラをゴーンがやったようなものか。。
30試合、ほぼ5割近い成績だったが、それは采配によるものではなく選手の頑張り
というかミスタータイガース藤村富美男からも無視され、痔を理由に休養せざるを得なかった。
ここから阪神の「監督より選手が偉い」という悪しき習慣が生まれてしまったと。
歴代ミスタータイガースとて、監督としては寂しい終わり方をしているのが巨人と違うと。
しかしこの方、結果的には小山正明がエースになったり、爪痕は残している。
ロッテの小山として知ってるくらいだから、そんな昔の話じゃないんだよね、、
そんなころにこんなことがあったなんて
第1章 第8代監督 岸一郎
第2章 ベテランを殺す
第3章 1955年の33試合
第4章 ミスタータイガース
第5章 消えた老人を追って
第6章 苛政は虎よりも猛し。
Posted by ブクログ
読売ジャイアンツのライバルと位置付けられ、熱狂的なファンを多く擁する阪神タイガース。その長い歴史の中で、僅か2ヶ月だけ監督を務め、今やすっかり忘れ去られた岸一郎という人物がいた。彼の正体に迫る評伝。
自分は野球のことはろくに知らないが、なんとなく立ち寄ったスポーツ本コーナーで目にして、題材や帯コメントに興味を持ち読んでみた。
当時ですらほぼ知られていない謎の老人扱いだった岸が実は戦前野球界でスターだったこと、結果を出せず引退に追い込まれたもののそのことは後々まで尾を引く球団の悪しき体質に繋がったこと、引退後の足取りを追う中で明らかになった新事実など、予想以上に壮大な物語が展開されており、読み応えのあるノンフィクションとなっていた。関係者の死去や貴重な資料の散逸もあり、もっと早い時代に取材が行われていればと惜しまれる気持ちもあるが、そもそもこの本が書かれるまでほとんど誰も岸という人物を省みなかったらしいことを考えれば十分以上のものだと思う。