検索結果

  • 狐と韃(むち)~知らぬ火文庫~
    3.8
    人と狐の間に生まれた者の末裔と噂され、並外れて大きな体と美しい顔をもつ妖女、美濃狐。ある日市に現れ、凄まじい剛力で暴虐非道に振舞う姿に、人々は恐れおののき、市は寂れてゆくのだが――。(表題作) ほか、日本最古の説話集『日本霊異記』を下敷きに繰り広げられる、不可思議で妖艶な物語の数々。古典を大胆に紡ぎ直した「知らぬ火文庫」シリーズ第1弾。
  • きのうの世界(上)
    3.6
    上司の送別会から忽然と姿を消した一人の男。一年後の寒い朝、彼は遠く離れた町で死体となって発見された。そこは塔と水路のある、小さな町。失踪後にここへやってきた彼は、町の外れの「水無月橋」で死んでいた。この町の人間に犯人はいるのか。不安が町に広がっていく。恩田陸がすべてを詰め込んだ集大成。
  • きのうの世界 上下合本版
    -
    上司の送別会から忽然と姿を消した一人の男。一年後の寒い朝、彼は遠く離れた町で死体となって発見された。そこは塔と水路のある、小さな町。失踪後にここへやってきた彼は、町の外れの「水無月橋」で死んでいた。この町の人間に犯人はいるのか。不安が町に広がっていく。恩田陸がすべてを詰め込んだ集大成。 他殺か事故か。 町の外れの「水無月橋(みなづきばし)」で死んでいたのは、一年前に失踪したはずの男。 ようこそ、ここは、塔と水路の町。 上司の送別会から忽然と姿を消した一人の男。一年後の寒い朝、彼は遠く離れた町で死体となって発見された。そこは塔と水路のある、小さな町。失踪後にここへやってきた彼は、町の外れの「水無月橋」で死んでいた。この町の人間に犯人はいるのか。不安が町に広がっていく。恩田陸がすべてを詰め込んだ集大成。 飼い犬の「トラ」とともに暮らす、76歳の一卵性双生児、華代と虹枝。彼女たちはいつも同じ時間に散歩をする。水無月橋で一人の男が死んだあの日も。そして、二人は思い出す。バス停に捨てられた赤い印のついた地図のことを。 「ねえ、雨はどうやって数えるの? ほら、『ひと雨来た』っていうじゃない?」 「あのねえ、雨を数えてはいけないよ。雨を数えると鬼が来るよ――」
  • 球形の季節
    3.3
    四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。やがて噂どおり、一人の女生徒が姿を消した。町なかでは金平糖のおまじないが流行り、生徒たちは新たな噂に身を震わせていた……。何かが起きていた。退屈な日常、管理された学校、眠った町。全てを裁こうとする超越的な力が、いま最後の噂を発信した! 新鋭の学園モダンホラー。
  • Q&A
    3.7
    都下郊外の大型商業施設において重大死傷事故が発生した。死者69名、負傷者116名、未だ原因を特定できず――多数の被害者、目撃者が招喚されるが、ことごとく食い違う証言。防犯ビデオに写っていたのは何か? 異臭は? ぬいぐるみを引きずりながら歩く少女の存在は? そもそも、本当に事故なのか? Q&Aだけで進行する著者の真骨頂!
  • 狂王の庭
    3.3
    「この庭をあなたに捧げる――。」昭和27年、東京都下国分寺。広大な敷地に、全財産を投じてルートヴィヒ二世さながら華麗でシュールな西洋庭園を造った異端児・青爾。妹の婚約者である彼に引きつけられる美しい人妻・杳子。没落する華族社会を背景に、虚無と孤独と耽美の極地で、激しく求め合う男と女を描ききった、世紀の恋愛巨編。
  • 今日からは、愛のひと
    4.0
    無職宿ナシの亀谷幸慈は、秋葉原でカツアゲされていた記憶喪失の青年を助ける。元天使だと自称する彼を利用して小金稼ぎをもくろんだ幸慈だが、失敗して絶体絶命の窮地に。そこに、一人の女性が救いの手を差し伸べてくれた。彼女の家「猫の森」で始まった6人の共同生活。それは不思議なやすらぎに満ちたものだったのだが……。コミカルにして哀切な傑作長編!
  • 恐怖配達人
    3.2
    やっと自分にもツキがまわってきた――社長令嬢との結婚を目前にし、幸福の絶頂にあった男。だが独身最後の遊びとして女を誘ったことから歯車が少しずつ狂い始めた〈梁のある部屋〉。他5編収録。

    試し読み

    フォロー
  • 虚無のオペラ
    3.8
    セックスを抜きにしては考えられない恋だった。あなたはずっと、私の身体でピアノを弾いてた。私には淫蕩の血が流れているのか……。舞台は冬の京都。高名な日本画家の裸婦モデルをつとめる結子は、8歳年下のピアニスト島津正臣との恋を断ち切るため、ふたりきりで、雪に閉ざされた小さな宿に籠もる。この後は二度と会うことはない。別れのためだけにある4日間の逢瀬に、女と男の恋情と性愛の極みを艶やかに奏であげる、かくも美しき恋愛小説!
  • 銀河に口笛
    3.3
    昭和40年代。小学三年生の僕らは秘密結社ウルトラマリン隊を結成して、身の周りの事件に挑んでいた。そんなある日、不思議な力を持つ少年リンダが転校してきて――。懐かしくて温かい、少年たちの成長物語。
  • 雲の果て おいしいコーヒーのいれ方 Second Season V
    3.7
    すべての現実から顔をそむけ、自分を責め続けて膝を抱えているのは、ある意味いちばん楽なことだ。でも、人は生きている限り、永遠に立ち止まっているわけにはいかない─。勝利が逃げるようにオーストラリアに来て、半年がたった。秀人の仕事の手伝いにも、生活にも慣れてきたが、かれんから送られてくる手紙を読むことは、まだできないでいた。そんな勝利のもとに、かれんの弟・丈からの手紙が届く。
  • クラウドクラスターを愛する方法
    3.5
    1巻569円 (税込)
    かつて母は、幼かった私を置いて出て行った。その時、私が感じたのはさびしさよりも、家の中からこれで諍いがなくなるという安堵感だった…。三年前に再会した母親ともうまく距離感を取れない私は自分に問いかける。「自分を産んだ母親にやさしくできない自分に、母親になる資格はあるのだろうか」「ふと、気づくのだ。自分はただ、帰れる家がほしかったんだ、ということに。」『ふがいない僕は空を見た』で山本周五郎賞を受賞した著者による「家族になること」の難しさ、素晴らしさを描いた瑞々しい傑作。
  • 蔵の中
    4.0
    交通事故で下半身不随になった夫の世話をするだけの毎日をおくる私。唯一の心の支えは、夫の親友で、事故の加害者でもある新吾だった。これは宿命の恋、だが人は欲求不満の人妻と嗤うだろう――秘めた恋の果てに罪を犯した女の、狂おしい心情を活写した、瞠目すべき心理サスペンス!

    試し読み

    フォロー
  • クレオパトラの夢 新装版
    3.7
    北国のH市を訪れた神原恵弥。不倫中の双子の妹を連れ戻すという名目の裏に、外資製薬会社の名ウイルスハンターとして重大な目的があった。H市と関係があるらしい「クレオパトラ」と呼ばれるものの正体を掴むこと。人々の欲望を掻きたててきたそれは、存在自体が絶対の禁忌(タブー)であった――。シリーズ第二弾、新装版!
  • 黒い結婚 白い結婚
    3.8
    結婚――それは人生の墓場か、パラダイスか? 古今東西の解けない謎ともいえる「結婚」に、人気作家7名が迫ります。ダークサイドから見た〈黒い結婚〉と、ハッピーサイドから見た〈白い結婚〉。白黒両面から見た結婚の裏と表、たっぷりお届けします。 黒い結婚 窪美澄 「水際の金魚」 深沢潮 「かっぱーん」 木原音瀬 「愛の結晶」 中島京子 「家猫」 白い結婚 森美樹 「ダーリンは女装家」 瀧羽麻子 「シュークリーム」 成田名璃子 「いつか、二人で。」
  • 黒と茶の幻想(上)
    4.2
    1~2巻680~748円 (税込)
    太古の森をいだく島へ――学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。過去を取り戻す旅は、ある夜を境に消息を絶った共通の知人、梶原憂理(ゆうり)を浮かび上がらせる。あまりにも美しかった女の影は、十数年を経た今でも各人の胸に深く刻み込まれていた。「美しい謎」に満ちた切ない物語。
  • 黒と茶の幻想 上下合本版
    2.0
    1巻1,210円 (税込)
    太古の森をいだく島へ――学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。過去を取り戻す旅は、ある夜を境に消息を絶った共通の知人、梶原憂理(ゆうり)を浮かび上がらせる。あまりにも美しかった女の影は、十数年を経た今でも各人の胸に深く刻み込まれていた。「美しい謎」に満ちた切ない物語。 美しい謎が去来する永遠の島を目指して 太古の森をいだく島へ――学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。過去を取り戻す旅は、ある夜を境に消息を絶った共通の知人、梶原憂理(ゆうり)を浮かび上がらせる。あまりにも美しかった女の影は、十数年を経た今でも各人の胸に深く刻み込まれていた。「美しい謎」に満ちた切ない物語。
  • 黒のコスモス少女団 薄紅雪華紋様
    3.6
    これは、この世のことならず――。直木賞作家の浪漫あふれる大正怪異事件帖。大正時代の東京。画家を志す槇島風波は裕福な家を出て、風変わりな友人・穂村江雪華と同じ下宿に暮らしていた。天才的な画力を持つ雪華は、さまよう魂を絵で成仏させる不思議な力の持ち主でもある。巷では、何者かが一人歩きの婦女子を縄で縛り上げ、金品を奪う「鬼蜘蛛事件」が起きていた。妹の友達の護衛を引き受けた風波は、雪華とともに事件に巻き込まれ……(「鬼蜘蛛の讃美歌」)。「黒のコスモス団」と名乗る不良少女団に呼び出された風波。兵役忌避で故郷を飛び出した女ボスの幼馴染が、雪華に瓜二つだというのだが……(「黒のコスモス少女団」)。画業で結果を残さなければ家に戻ると、父親と約束してしまった風波。友人である鬼才の画家・平河惣多も、恋から身を持ち崩していた。そんな時、巨大な災害が日本列島を襲い……(「白い薔薇と飛行船」)。変わりゆく帝都で、友と交わり夢を追い怪に惑う青年たち。彼岸と此岸をつなぐ大正怪異事件帖、第二弾。【目次】第一段 鬼蜘蛛の讃美歌/第二段 汝、深淵をのぞくとき/第三段 黒のコスモス少女団/第四段 幽鬼喰らい/第五段 銀座狼々/第六段 白い薔薇と飛行船
  • 決戦!設楽原 武田軍vs.織田・徳川軍
    3.5
    累計18万部を突破し、ますます進化を続ける「決戦!」シリーズ。今回の舞台は鉄砲が雌雄を決した「設楽原(長篠)の戦い」。武田軍と織田・徳川軍、両軍はいかに戦ったのか。徳川信康、武田頼勝、朝比奈泰勝、真田昌輝ら七人の武将の戦いに、七名の作家が挑む。
  • 月蝕楽園
    4.0
    直木賞作家が描く、切なくて激しい純愛小説集。みつばち・金魚・トカゲ・猿・孔雀をモチーフにした恋愛を描きますが、甘い蕩けるようなものではない。重く・強い、読み手の心を鷲掴みにして離さない短編集。
  • 月曜日は水玉の犬
    3.6
    1巻1,650円 (税込)
    「物語」は、決して尽きない。この世に輝く数多のエンターテインメントを小説家・恩田陸とともに味わい尽くす――。強烈で贅沢な最新エッセイ集。
  • 恋

    4.0
    〔直木賞受賞作〕連合赤軍が浅間山荘事件を起こし、日本国中を震撼させた一九七二年冬。当時学生だった矢野布美子は、大学助教授の片瀬信太郎と妻の雛子の優雅で奔放な魅力に心奪われ、かれら二人との倒錯した恋にのめりこんでいた。だが幸福な三角関係も崩壊する時が訪れ、嫉妬と激情の果てに恐るべき事件が!?
  • 懐かしい家 小池真理子怪奇幻想傑作選1
    3.6
    夫との別居を機に、幼いころから慣れ親しんだ実家へひとり移り住んだわたし。すでに他界している両親や猫との思い出を慈いつくしみながら暮らしていたある日の夜、やわらかな温もりの気配を感じる。そしてわたしの前に現れたのは…(「懐かしい家」より)。生者と死者、現実と幻想の間で繰り広げられる世界を描く7つの短編に、表題の新作短編を加えた全8編を収録。妖しくも切なく美しい、珠玉の作品集・第1弾。
  • ふしぎな話 小池真理子怪奇譚傑作選
    4.0
    日常の中にふと忍び込む死の影、狂おしいほどの恋に潜む崩壊の予感、暗闇に浮かび上がる真っ白な肌……。著者が紡ぐ美しくも恐ろしい世界を、エッセイから小説まで見渡して厳選した、これまでにない傑作選。
  • 恋人と逢わない夜に
    5.0
    男友達には言えても、恋人には絶対に言えないことばがある。逆に恋人の前ではかまわなくても、男友達に対しては許されないふるまいがある。女と男はフクザツ怪奇、愛の表現も百人百様、ショート・コントを通して、女には女の魅力を、男には男の美学を教える“知的悪女”のソフト・エッセイ。単行本未収録のオリジナル版。
  • 劫尽童女
    3.8
    父・伊勢崎博士の手で容易ならぬ超能力を与えられた少女・遥。彼ら親子は、属していた秘密組織「ZOO」から逃亡していた。そして、7年を経て、組織の追っ手により、再び戦いの中へ身を投じることに! 激闘で父を失った遥は、やはり特殊能力を持つ犬・アレキサンダーと孤児院に身を潜めるが――。殺戮、数奇な運命、成長する少女。彼女の行く手に待つのは何か?
  • ここから先はどうするの―禁断のエロス―(新潮文庫)
    3.2
    官能小説の依頼に難航していた女性ホラー作家は、女性同士のカップルの後をつけ漫画喫茶へ。隣の壁に耳を澄ませ聞こえてきたのは、衣擦れ、溜息、潤みの音で……(「壁の向こうで誰かが」)。医師の寺沢は急患の老女の足に驚く。爪先に向かって細く、指は折り畳まれ、足裏は窪んでいた。纏足だ。それは、性具だった――(「Lotus」)。歪んだ欲望が導く絶頂、また絶頂。五人の作家の官能アンソロジー。
  • 凍える月 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season IV
    3.8
    僕はいったい、どんなことでなら頑張れるんだろう…。勝利は本格的な就職活動の時期を迎えるが、自分が何をやりたいのかがわからず、漠然とした将来への不安を覚える。そして、いま、大きな困難に直面しているかれん。仕事のこと、おばあちゃんのこと、悩みながらも精一杯お年寄りの世話をする日々。責任とは、社会的立場とは…。大人への転換期に戸惑う勝利。セカンドシーズン第4弾。
  • 午後の音楽
    3.8
    父や母、妹との距離感がつかめなかった少女時代。夫に別の女性がいたとわかったときの喪失感や娘に与えてしまった心の傷。胸の中にそっととどめておいた様々なことを、いつのまにか打ち明けてしまっていた。音楽をふたりで奏でるように、メールで言葉を紡ぎ合う。こんなにも共鳴し合える人に出会ったことの驚きと喜び。それなのに相手は義弟、妹の夫……。メールで綴られる新たな大人の恋愛長編。
  • 午後のロマネスク
    3.0
    Romanesque…小池真理子の不思議な愛の物語。夜になると来訪する死んだ友。母の密やかな不倫の光景。闇に監禁される声の美しい女――懐かしさや切なさ、失われたものへの哀しみ、激しい恋が淡い色彩とともに甦ってくる、幻想とファンタジーに満ちた17篇の掌篇小説集。

    試し読み

    フォロー
  • さいはての家
    3.7
    家族を捨てて逃げてきた不倫カップル(はねつき)。逃亡中のヒットマンと、事情を知らない元同級生(ゆすらうめ)。新興宗教の元教祖だった老齢の婦人(ひかり)。親の決めた結婚から逃げてきた女とその妹(ままごと)。子育てに戸惑い、仕事を言い訳に家から逃げた男(かざあな)――「家」はいつもそこにあり、なにも言わず受け入れてくれる。安息を手に入れたはずの住人たちはやがて、奥底に沈む自身の心の澱を覗き込むことになる。傷ついた人々が、再び自分の足で歩きだすまでを「家」とともに描く連作短編集。
  • 坂の途中 おいしいコーヒーのいれ方 VII
    3.6
    恋をすると、人は強くなれるんだろうか。それとも、弱くなってしまうものなんだろうか。一人で部屋を借りさえすれば、いつだって好きなときに彼女と二人きりになれるとばかり思っていた。なのに、思うようにはいかない勝利の一人暮らし。バイト先の「風見鶏」では失敗を重ねるし、勝利への思いを断ち切れずに苦しむ星野りつ子が気にかかる。何よりかんじんの「かれん」が離れていこうとしている……。波乱含みの大人気シリーズ7弾には、星野りつ子の独白を収録。
  • 朔が満ちる
    3.8
    1巻1,799円 (税込)
    かつて中学1年の時に僕は、斧で父に殴りかかって殺そうとしたことがある──心に傷を負い家族と離れ、悪夢のような記憶とともに生きていく史也。荒んだ生活の中で、看護師の梓との出会いから、徐々に自身の過去に向き合おうとする──これは「決別」と「再生」の物語。
  • 桜の下で待っている
    3.5
    面倒だけれど愛おしい―― 「ふるさと」をめぐる感動の物語。郡山、仙台、花巻……桜前線が日本列島を北上する4月、新幹線で北へ向かう男女5人それぞれの行く先で待つものは――。実家との確執、地元への愛着、生をつなぐこと、喪うこと……複雑にからまり揺れる想いと、ふるさとでの出会いをあざやかな筆致で描く。注目の気鋭作家が丁寧に紡いだ、心のひだの奥底まで沁みこんでくる「はじまり」の物語。解説/瀧井朝世
  • 蠍のいる森
    4.2
    美千代は人間嫌いの図書館司書。英国人の夫と離婚して帰国した女流翻訳家、真樹子と知り合って初めて心の交流を持った。二人が共有する静かな日常に、ある日、奔放な人生をおくる修平が入り込んできた。三者三様に大都会で生きる男女のそれぞれの愛が進行するが、修平が資産家の老未亡人の財産を狙ったことから急展開し、恐怖の結末を迎える。ラブ・サスペンス。
  • 殺意の爪
    3.7
    怒鳴り合う声、立ち去る男、長く続く女の悲鳴。――同じマンションで愛人を待つ木部比呂子はそのとき不審な思いにかられた。翌日、その部屋から布施夏美の死体が発見され、夏美の恋人が逮捕された。「彼はシロだ」真実を知る比呂子はしかし、不倫の恋の発覚を恐れて口を噤んだ。秘密に怯える彼女の前にあらわれた男は!? 赤いマニキュアの謎。日常の中にある恐怖。
  • 真田の具足師
    4.0
    1巻1,899円 (税込)
    「武士を生かすも殺すも、わしらの腕一本や」――こう言い放つ気概ある具足師たちが、真田信繁を日の本一の兵(つわもの)にした! 本作の主人公・岩井与左衛門は、南都奈良の具足師(甲冑師)の家に生まれ、修業を積んでいたが、あるとき「ズクを打った」(不良品を作った)と言われ、勘当される。その才能を惜しみ、目をつけたのが徳川家康。徳川軍が信濃の国衆・真田との戦いに惨敗した理由は、真田兵が身に着けている「不死身(しなず)の具足」にあり、と考えた家康は、与左衛門に真田潜入を命じる。甲賀の忍びの女と夫婦を装い、真田の本拠地・上田に入った与左衛門だったが、そこで思いがけない光景を目にする。赤備えをつくった具足師たちの命がけの闘いを描いた、戦国エンタテインメント。真田vs徳川のもう一つの死闘に、手に汗握る傑作長編小説。
  • 錆びた太陽
    3.5
    1巻1,799円 (税込)
    「最後の事故」で、人間が立ち入れなくなった地域をパトロールしているロボット「ウルトラ・エイト」。彼らの居住区に、ある日、人間が現れた。国税庁から来たという20代の女性・財護徳子。人間である彼女の命令に従わざるを得ないロボットたち……。恩田陸の想像力が炸裂する本格長編小説。
  • さよなら、ニルヴァーナ
    3.7
    1巻815円 (税込)
    あの子は、どこから戻れなくなったんだろう── 小説家志望の女と、少年犯罪の加害者・元少年Aとの運命の出会い 東京で働きながら小説家を目指していた今日子は、震災が起こった翌年に夢を諦め、母のすすめで実家に戻る。 妹とその夫、娘との二世帯住宅の生活に倦み疲れながらも、小説を諦めきれない。 そんな中、過去に凶悪犯罪を起こした少年Aが地元にいるという噂を耳にする。 そしてパソコンなどを検索して知った少年Aの姿に急速に惹かれていく。 一方、神戸生まれで、東京に住む十七歳の莢(さや)も、少年Aを崇拝し、「聖地巡礼」と称して事件現場などを訪れていた。 また少年Aに当時七歳の娘を殺された母親は、息子、夫とともに同じ場所にとどまり、一見平穏そうに見える暮らしを送っていたが、教会の人間から、Aのファンの話を聞かされる。 少年犯罪の加害者、被害者遺族、加害者を崇拝した少女、その運命の環の外にたつ女性作家……それぞれの人生が交錯したとき、彼らは何を思い、何を見つけるのか。 著者渾身の長編小説! 作家が書くことに固執するのは、「人間の中身を見たい」からなのだ。これは、小説ノンフィクションのジャンルにかかわらず、作家が持つ病理なのだ。その意味で、私もAの同志なのである──佐藤優氏・解説より
  • さよならの空
    3.4
    女性科学者テレサが開発した化学物質ウェアジゾンによって、夕焼けの色が世界中から消えてしまう事態に。最後の夕焼けを迎える日本で、テレサと小学生トモル、”キャラメル・ボーイ”らはある行動に出る……。
  • さよなら妖精
    4.0
    1巻799円 (税込)
    【注意】この作品はiOSとAndroidでのみご覧いただけます。 一九九一年四月。雨宿りをする一人の少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国したとき、おれたちの最大の謎解きが始まる。覗き込んでくる目、カールがかった黒髪、白い首筋、『哲学的意味がありますか?』、そして紫陽花。謎を解く鍵は記憶の中に――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。著者の出世作となった清新なボーイ・ミーツ・ガール・ミステリ。

    試し読み

    フォロー
  • 幸せのプチ
    4.5
    「キミはもしかして、大切な人を亡くした経験があるのかい?」 昭和40~50年代の景色の中で語られる、涙腺決壊必至の物語。 若い日の罪が眠る、懐かしい町・琥珀。 当時と変わらない喫茶店「青猫」で僕は、この世でもっとも聞きたくない最悪のひと言を聞いた。 彼女と通った銭湯、名物コロッケサンド、赤い公衆電話、サンダーバードのプラモデル、そして妖精のような白い犬。 昭和40、50年代を舞台に繰り広げられる、ひとりひとりの切実な人生模様。追憶と感動の連作集 文庫化で大幅に修正加筆! ※この電子書籍は2016年11月に日本経済新聞出版社より刊行された単行本の文庫版を底本としています
  • 幸せのプチ ――町の名は琥珀
    3.8
    高度成長期の昭和から平成までの都電が走る町を舞台に紡がれる「追憶のカスタネット通り」「幸せのプチ」「タマゴ小町とコロッケ・ジェーン」「オリオン座の怪人」「酔所独来夜話」「夜に旅立つ」の6つの物語。1970&80年代の思い出とともに、あなたを追憶の彼方へ誘います。 直木賞作家・朱川湊人さんの25万部を超えたベストセラー『かたみ歌』。東京・下町の商店街を舞台にしたノスタルジックでちょっと不思議なことが起こる連作はシリーズとなり、当時は最先端だった団地に舞台を移し(『なごり歌』)、今作もそのラインに連なるといってもいい。
  • 死者はまどろむ
    4.5
    美しい自然に囲まれ、信仰心の厚い村人が住む夢見村に魅せられひと夏を過ごすことになった間宮亜希子の一家。小説家の夫はスランプを脱し、義母も優しくなった。幸福をもたらす魔法の土地だと思った。しかし異様な葬式の列と共同墓地を見たことから、彼らの周囲で何かが狂い始める。ざわめく木立の隙間に、きらめく光の中に使者の影が忍び寄る。幸福に浸っていた家族を恐怖のどん底に突き落とす怪奇の連続とは。長編ホラー小説。
  • 七月に流れる花
    3.7
    坂道と石段と石垣が多い町、夏流に転校してきたミチル。六月という半端な時期の転校生なので、友達もできないまま夏休みを過ごす羽目になりそうだ。終業式の日、彼女は大きな鏡の中に、緑色をした不気味な「みどりおとこ」の影を見つける。思わず逃げ出したミチルだが、手元には、呼ばれた子どもは必ず行かなければならない、夏の城―夏流城での林間学校への招待状が残されていた。
  • 死に向かうアダージョ 新装版
    3.0
    死に魅入られた二人の男女は、甘美な充足感の中で終焉を迎えるはずだった。アルビノーニの荘厳な旋律に浸りながら……。しかし雪に閉ざされた山小屋で、愛と孤独、そしてほんの少しの偶然が、事態を予期せぬ方向へと導いていく。傑作心理サスペンス!
  • 死の島
    3.0
    大手出版社を定年退職後、カルチャースクールで小説講座を持つ澤登志夫、69歳。 女性問題で妻子と別れて後も、仕事に私生活に精力的に生きてきた。 しかし、がんに侵されて余命いくばくもないことを知るとスクールを辞め、人生の終幕について準備を始める。 講座の教え子・26歳の宮島樹里は、自分の昏い記憶を認めてくれた澤を崇拝し、 傍にいることを望むが、澤はひとり冬の信州へ向かった。 澤は、最後まで自分らしく生きることができるのか。「ある方法」を決行することは可能なのか…。 プライド高く情熱的に生きてきた一人の男が、衝撃的な尊厳死を選び取るまでの内面が描きつくされ、 深い問いかけを読者に与える傑作長編。 解説・白石一文 ※この電子書籍は2018年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 珠玉
    3.3
    国民的歌手だった美しい祖母は、自分とは似ても似つかず超えられない存在。常に比較されてきた歩は他人の目を恐れて目立たぬよう生きていたが、経営するファッションブランドの人気が低迷しデザイナーの相棒にも見限られ、最悪の状況に陥る。そんな折、仕事を失いかけているモデルの穣司と出会う。歩のブランドの建て直しを穣司は強引に手伝いはじめるが……。弱さを抱えた者たちが成長する姿を丁寧に描いた物語。
  • 主夫のトモロー
    3.8
    1巻858円 (税込)
    一流のインテリアデザイナーを目指して働く妻を支え、家事と育児をこなす“主夫”斉藤知朗(トモロー)。自らも作家を志し、家族の幸せと夢を追い求めて日々奮闘するトモローに立ちはだかるのは、主夫に対する社会の壁。出会うママ友・パパ友たちもまた一筋縄ではいかない家庭の悩みを抱えているものの、トモローはつまづきながらともに一喜一憂して全力で向き合う。やがてトモローが導き出す、愛する妻と娘の「家族のかたち」、そして、現実と夢との折り合いとは――。直木賞作家・朱川湊人渾身の、ユーモラスでハートフルな新しい家族小説。
  • 小説以外
    3.7
    本好きが嵩じて作家となった著者は、これまでどのような作品を愛読してきたのか? ミステリー、ファンタジー、ホラー、SF、少女漫画、日本文学……あらゆるジャンルを越境する読書の秘密に迫る。さらに偏愛する料理、食べ物、映画、音楽にまつわる話、転校が多かった少女時代の思い出などデビューから14年間の全エッセイを収録。本に愛され、本を愛する作家の世界を一望する解体全書。
  • 消滅 VANISHING POINT
    3.9
    202x年9月30日の午後。日本の某空港に各国からの便が到着した。超巨大台風の接近もあり離着陸は混乱、さらには通信障害が発生し、あらゆる端末上での通信が不可能になった。そして入国審査で止められた11人が、「別室」に連行される。この中に、「消滅」というコードネームのテロを起こすテロリストがいるというのだ。世間から孤絶した大空港内で、緊迫の「テロリスト探し」が始まる!
  • 昭和94年の横丁【文春e-Books】
    -
    『蜜蜂と遠雷』の作家・恩田陸のホラー短編を電子書籍で配信! 友人2人と入った老舗居酒屋。 ふと壁にかかった日めくりカレンダーを見ると、そこには「昭和94年」と印刷されていた……。 写真家・近藤篤さんによる、雰囲気たっぷりのモノクロ写真も収録。 ※本作は「オール読物」2019年8月号に掲載された作品を電子書籍化したものです。
  • 四龍海城
    4.0
    1巻1,408円 (税込)
    夏休みの最初の午後。中学生の健太郎は、海に浮かぶ謎の城に閉じ込められてしまう。城には同じように迷い込んだ十数人の大人たちと、暗い目をした少年、貴希がいた。次第に覇気を失う大人を尻目に、健太郎と貴希は城を出ようともがき続ける……。孤独で清らかな二つの魂がからみあう、ひと夏のファンタジック・サスペンス。

    試し読み

    フォロー
  • 白い部屋で月の歌を
    3.7
    ジュンは除霊のアシスタントを務める少年だ。様々な霊魂を自分の体内に受け入れる際、白い部屋に自分がいるように見える。ある日、少女エリカと白い部屋で出会ったジュンはその面影に恋してしまったのだが……
  • 心音(しんおん)
    4.3
    城石明音は先天性の心疾患を患っていた。8歳の時に悪化し、両親は米国での心臓移植手術を決断する。募金活動により1億5千万円という莫大な費用を集め、明音は一命を取り留めたが、帰国した明音を待っていたのは、幸福だけではなかった。恨み、嫉妬、同情、愛情、様々な思いを抱えた人々が明音の人生を動かしていく。そして――。骨太の社会派エンターテインメント!
  • 新装版 あなたに捧げる犯罪
    4.7
    1巻561円 (税込)
    突然現れた妻の旧友は、厚顔で鼻持ちならない女だった。従順な妻を家政婦のように扱い、平穏だった家庭生活を掻き乱していく。そんな彼女に夫は不快感を募らせていくのだが……(日本推理作家協会賞受賞作「妻の女友達」)、ありふれた日常に潜む心の闇と、音もなく忍び寄る恐怖を描いた傑作サスペンス集。
  • 時間色のリリィ
    4.0
    1巻1,386円 (税込)
    小学5年生のロミは、ある日、同じ塾に通っている優等生、園内くんの訪問を受ける。 「ミコミコぷろだくしょん」という名前をしらないかという突拍子もない質問をされて、近くの公園まで誘われると、風変わりな女の子がまっていた。 コスプレめいた服装のその女の子は、園内くんをあやつって、「ミコミコぷろだくしょん」のことを聞き出そうとしているらしい。 ノスタルジックホラーとよばれる作風の直木賞作家が、児童向けの作品に初挑戦。 親子で楽しめる作品です。
  • じっと手を見る
    3.8
    富士山を望む町で暮らす介護士の日奈と海斗 はかつての恋人同士。ある時から、ショッピ ングモールだけが息抜きの日奈のもとに、東 京の男性デザイナーが定期的に通い始める。 町の外へ思いが募る日奈。一方、海斗は職場 の後輩と関係を深めながら、両親の生活を支 えるため町に縛りつけられる。自分の弱さ、 人生の苦さ、すべてが愛しくなる傑作小説。
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体
    3.8
    あいちトリエンナーレ2019、日本学術会議 会員任命拒否、検察官定年延長、加計学園問題……今、起きている出来事の本質を見抜くための論考集。 「百人組手で知性を鍛え、不当性に抗う訓練になる一冊」――荻上チキ(評論家) あらゆる「自由」が失われつつある中で、研究者・作家・芸術家・記者などが理不尽な権力の介入に対して異議申し立てを行う。少しでも声を上げやすい世の中になるようにと願って26名の論者が集い、「自由」について根源的に掘り下げる。 批判的思考を養うための書! 【本文より】 表現の範囲がどんどん狭まっている――ヤマザキマリ 批判精神に欠けた学者に囲まれた政府は、端的にいって災厄――藤原辰史 アーティストやタレントが政治的な発言をするたびに、猛バッシングを受けますが、彼らも市民の一人です。政治的発言をしてはならない理由がわかりません――上野千鶴子 私たち日本人は「自由は取扱いの難しいものだ」という実感に乏しいように思われる――内田樹
  • 【上下合本版】風よ あらしよ
    -
    【第55回吉川英治文学賞受賞作】明治28年、福岡県今宿に生まれた伊藤野枝は、貧しく不自由な生活から抜け出そうともがいていた。「絶対、このままで終わらん。絶対に!」野心を胸に、叔父を頼って上京した野枝は、上野高等女学校に編入。教師の辻潤との出会いをきっかけに、運命が大きく動き出す。その短くも熱情にあふれた人生が、野枝自身、そして二番目の夫でダダイストの辻潤、三番目の夫でかけがえのない同志・大杉栄、野枝を『青鞜』に招き入れた平塚らいてう、四角関係の果てに大杉を刺した神近市子らの眼差しを通して、鮮やかによみがえる。著者渾身の評伝小説!!
  • 水銀虫
    3.6
    17歳を目前に自殺した姉。明るく優しい性格で、直前までそんな素振りはなかったのに、なぜ…背後には、死神のような女生徒の姿があった(「はだれの日」)。孫を交通事故で亡くした祖母。断ち切れない愛情と悲しみが、孫の幼友だちをおぞましい事件に巻き込む(「虎落の日」)。惨劇の陰には、人の心を蝕む「水銀虫」の存在が。取りつかれ、罪を犯した人々の、悪夢のような一日を描いたホラー短編集。
  • スズメの事ム所 駆け出し探偵と下町の怪人たち
    3.3
    夜行の鉄仮面、瞬間移動する引ったくり、謎のチンドン屋―― なりゆきで探偵になったスズムが下町で起きた6つの怪事件に挑む! 不動産販売の営業マンだった黒葛原涼(つづらはら・すずむ)は、会社の倒産後、ひょんなことから東京の下町・町良(まちら)で、探偵事務所を開業する。 ハーバード大卒の美女ネジ子さんを相棒に、下町で起こる6つの怪事件の謎を解く。 第1話「都電の町と鉄仮面」 東京の下町・町良に移り住んだスズムはピカピカ光る鉄仮面が夜な夜な徘徊すると聞き……。 第2話「ネジ子さんが来た」 神出鬼没の連続引ったくり犯“カマイタチ”を捕まえてほしいという依頼を受ける。 第3話「セカイは知らんぷり」 公園で虐待されたノラ猫を助けたスズムが調べを進めると、意外にも犯人は……。 第4話「守り神は失踪中」 “信号揚げ”が名物、タツ子が営むてんぷら屋から大事な守り神が消えた。 第5話「スキマ男のレモン」 町のあちこちで空き缶と一緒に置かれたレモンが見つかった。それは怪しい暗号なのか? 第6話「まぼろし楽隊(ジンタ)」 正式につづはら探偵事務所を立ち上げたスズムは、いきなり謎の“怪人”から挑戦を受ける。
  • ストロベリー・フィールズ
    3.1
    「僕が今、女を感じてるのは、夏子先生だけです」  出版社社長・月川の後妻となった夏子は、夫の連れ子・りえの継母として、そして自らもクリニックを開業する女医として、七年余りの月日を平穏に過ごしてきた。しかし、りえの友人でロック・バーでバイトをする青年・旬と出会い、その危険なまでの若さに触れた夏子は、目を背けてきた己の渇きに気づかされてゆく……。  ひとりの女性の陶酔と孤独を描く傑作長篇。  〈解説〉稲葉真弓 〔著者のことば〕  誰もが、あからさまに「家族」の大切さを叫ぶ時代になって久しい。「家族」は人間にとって、最小単位の砦であり、「家族愛」ほど、愛の深さにおいて意味のある、健全で価値の高いものはないと見なされている。  とてつもなく嬉しいことが起こる。真っ先に誰に知らせたいですか、と聞かれる。誰もが「両親」「夫」もしくは「妻」「子供」と答える。  その健全さは微笑ましく、未来永劫、消えることはないかのように思われて、しかし、同時に、その健全な場所でこそ、人は苛立ったり、憎んだり、絶望したり、孤独の淵をさまよったりするのである。そこに「家族」がはらむ「魔」の部分がある。  (読売新聞2009年1月13日付、連載完結インタビューより抜粋)
  • spring
    NEW
    -
    1巻1,870円 (税込)
    自らの名に無数の季節を抱く無二の舞踊家にして振付家・萬(よろず)春(はる)。少年は八歳でバレエに出会い、十五歳で海を渡った。同時代に巡り合う、踊る者 作る者 見る者 奏でる者――それぞれの情熱がぶつかりあい、交錯する中で彼の肖像が浮かび上がっていく。彼は求める。舞台の神を。憎しみと錯覚するほどに。一人の天才をめぐる傑作長編小説。 【電子書籍版には紙書籍版に収録されている「パラパラ漫画」と書き下ろし番外編二次元コードは付きません】
  • すべての雲は銀の…(上)
    3.8
    1~2巻649円 (税込)
    誰も愛せない。壊れた心に降り積もる物語。心変わりした恋人由美子が選んだのは、こともあろうに兄貴だった。大学生活を捨てた祐介は信州菅平の宿「かむなび」で、明るさの奥に傷みを抱えた人々と出会う。 (講談社文庫)
  • 隅の風景
    3.5
    ビールを楽しんだプラハ、巡礼者が行き交うスペイン、高所恐怖症と闘った韓国……。それぞれの土地に広がる、見たことのなかった風景たちを写真に収め、心に刻みながら、作家は新しい小説の予感を探す──。稀有な感性で捉えた情景を描き出す旅エッセイは、もう一つの恩田陸ワールド。さらに、過去の小説作品のヒントを得た舞台を明かす「ゲニウス=ロキ覚書」を収録。
  • スワン・レイク
    -
    久しぶりに叔母を訪ねたサツキ。信州の小さな町でバーを営む叔母は、何でも話せる唯一の存在。でもこの厳寒期に突然きた理由は話していない。きっかけは、一本の古いビデオテープだった…。3年前交通事故で夫を亡くしたサツキが、人生を新たにやり直そうと20年勤めた会社を辞める際、引き出しの奥で見つけたビデオ。そこに映っていたのは…。今、小雪が舞う中その場所へ。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • 晴天の迷いクジラ(新潮文庫)
    4.1
    1巻737円 (税込)
    デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつを発症した。社長の野乃花は、潰れゆく会社とともに人生を終わらせる決意をした。死を選ぶ前にと、湾に迷い込んだクジラを見に南の半島へ向かった二人は、道中、女子高生の正子を拾う。母との関係で心を壊した彼女もまた、生きることを止めようとしていた――。苛烈な生と、その果ての希望を鮮やかに描き出す長編。山田風太郎賞受賞作。
  • 赤々煉恋
    3.8
    人の世はなんとおぞましく、美しいのだろう――。最愛の妹をたった二十二歳で亡くした女は、不思議な葬儀社にあるお願いをする。まるで生きているかのように写真を撮影できる凄腕のカメラマンに、妹のウエディングドレス姿を残してほしい、と。しかしそれは、禁断の行為だった……。雨の渋谷で死んだ同級生を思い出す男、街を彷徨う女子高生、満たされぬ思いから窃盗を繰り返す女、この世のものとは思えない美女と遭遇した少年。赤々とした炎のように何かに身を焦がし、切望する者たちの行く末ははたして──。人間の赤裸々な欲望、妄執を巧みな文章で書き綴った、切ない余韻の残る連作短編集。

    試し読み

    フォロー
  • 雪月花黙示録
    3.6
    1巻748円 (税込)
    私たちの住む悠久のミヤコを何者かが狙っている…! 謎×学園×ハイパーアクション。恩田陸の魅力全開、ゴシック・ジャパンで展開する『夢違』『夜のピクニック』以上の玉手箱!!
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から
    3.5
    豪華寝台列車「ななつ星」をめぐる7つのストーリー 豪華寝台列車「ななつ星」での旅を舞台に、7人の人気作家が紡ぐ極上の小説と随想。あなたなら、この旅に誰と一緒にでかけますか? ※この電子書籍は2020年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 千日のマリア
    4.0
    義母の葬式で男は思い出す。22年前に、義母の起こした事故のこと。義母を責めた自分のこと。そして--(「千日のマリア」)。会社に長文の手紙を送りつけてくる女。意を決して女の家を訪ねた男が見たものは(「修羅のあとさき」)。森に囲まれた土地で暮らして20年。引っ越しを間近に控えたその日、はじめて庭に現れた美しい琥珀色の生き物がいた(「テンと月」)。ほか、生と死、愛と性、男と女を見つめた珠玉の8篇。
  • 贅肉 新装版
    3.7
    才色兼備の姉と正反対の妹。しかし姉は、母の死、恋人との別離から過食に走り、見るも無惨な姿に変貌していく。そんな姉の世話をする妹は──(「贅肉」)。平凡な人間の、ほんの少しの心の揺らぎが、事件の加害者になったり被害者になったりする。そんな日常に潜む恐怖を描く傑作サスペンス集!
  • 草原のサーカス(新潮文庫)
    4.3
    大手製薬会社に勤める姉の依千佳(いちか)と、人気アクセサリー作家の妹の仁胡瑠(にこる)。それぞれの道で成功を掴んだ姉妹は、やがて日本を揺るがす治験データ捏造事件、そしてハラスメント騒動を引き起こす。たった一度でも踏み外せば、容易(たやす)く切り捨てられる世の中で、私たちは何を「正しさ」の指標にできるだろう。「間違えた」後も続く自分の人生と、傷ついた心への向き合い方を渾身の力で問う長編小説。(解説・芦沢央)
  • 葬式同窓会
    3.5
    1巻1,870円 (税込)
    卒業後7年ぶりに再会した、北海道立白麗高校3年6組の元クラスメートたち。それは同窓会ではなく、クラス担任だった水野先生の葬儀だった。思いがけず再会した皆は、高校時代の思い出話に花を咲かせる。そして水野が授業中におこした〝事件〟が切っ掛けで不登校になったクラスメートがいたことを思い出す――。かつて高校生だったものたちを睨む〝過去〟。大人になるとはなにか、そして生き直すことは出来るのか。誰もが自分に問いかけた思いを描く、青春群像劇の傑作。
  • 双面の天使
    4.0
    絵のように美しい兄妹、潤と茜。幼い二人に芽生えた“新しいママ”への小さな嫌悪がやがて恐ろしい惨劇を招いてしまう…、表題作「双面の天使」他、牝猫と暮らす独身中年の身近で起きる謎の完全殺人を描く「共犯関係」。都市に住む人々の孤独と狂気が思いがけない殺意を呼び起こす…サイコスリラー4編を収録。
  • ソナチネ
    3.4
    生と死とエロス――。著者の真骨頂! 刹那の欲望、嫉妬、別離、性の目覚め……。 著者がこれまで一貫して描き続けてきた人間存在のエロス、 生と死の根幹に迫る圧巻の短篇集。 ピアニストの佐江は、教え子の少女のホームコンサートで、 少女の叔父だという男と出逢う。 音楽堂の暗い客席で、少女の弾くソナチネのメロディに合わせるように、 佐江と男は視線を、指先をからませていく……。(「ソナチネ」) 「鍵」「木陰の家」「終の伴侶」「ソナチネ」「千年萬年」「交感」「美代や」の7編を収録。 「恋愛とはきっとこういうものなのだ。人生のあらゆる出来事に繋がっている。」(千早茜、解説より)
  • 存在の美しい哀しみ
    3.8
    死の床に臥した母から異父兄の存在を知らされた榛名(はるな)は、母が亡くなったのを機に、兄の住むプラハに向かった。妹であることを隠し、ガイドとして兄を雇って、初めての対面を果たす。そこで初めて知ったのは、両親の過去であり家族の真の姿だった──。榛名、母、異父兄といくつも視点を変えながら、家族の歴史と真の姿を万華鏡のように美しく描き出す、感動の長編。
  • 象と耳鳴り
    3.8
    「あたくし、象を見ると耳鳴りがするんです」退職判事・関根多佳雄が立ち寄った喫茶店。上品な婦人が語り始めたのは少女時代に英国で遭遇した、象による奇怪な殺人事件だった……。表題作をはじめ、子供たちの会話、一枚の写真、携帯電話など、なにげないテーマに潜む謎を、鮮やかな手さばきで解き明かすロジックの芳醇なる結晶。幻惑と恍惚の本格推理コレクション!
  • タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース
    3.9
    1巻1,320円 (税込)
    とある団地で5歳上の姉・七海と暮らすみかげ。父とは死別し、母は数年前に出て行ったきり。家計を支える姉に心苦しさを覚えながらも、ぜんそく持ちで、かつ高校でいじめに遭い定時制高校に通っていることもあり、自分の無力さにうちひしがれて、未来に希望が持てず「死」に惹かれはじめる。そんな彼女の前に団地警備員を名のる奇妙な老人・ぜんじろうが現れ、みかげの日常が変わっていく――刊行前から全国の書店員さんたちの熱い感想が続々。新たな夜明けをもたらす、温かさあふれる長編小説。
  • 太陽の村
    3.5
    漂着したのは、理解不能の村だった。 「この村の秘密をしゃべってはいけない」 父親の定年を祝うハワイ旅行の帰りに飛行機事故に遭った坂木龍馬。 目が覚めると、家族とは離れ、ド田舎の村に漂着していた。電気・ガス・水道なし! 車すら走っていない。そこで暮らすのは、金太郎に、桃太郎。おまけに弥勒菩薩像の仮面をかぶった男まで現れる始末。田おこしや年貢、人身御供に仇討ち? なんて言葉まで聞こえてきた。どうやら日本語は通じるが、一体ここは、どこなんだ。ひょっとして、タイムスリップしてしまったのだろうか。本当にどうする俺。 やがて、主人公を待ち受ける究極の問いとは? 「文明と未開」の間に揺れる青年を直木賞作家が描く。 著者新境地のノンストップ・エンタテインメント!!

    試し読み

    フォロー
  • たおやかに輪をえがいて
    3.6
    1巻880円 (税込)
    結婚二十年。娘は大学生に育ち、住宅ローンもほぼ完済し、主婦・絵里子の人生は穏やかに収束するはずだった。夫の風俗通い、娘の危険な恋愛、愛した父の不実など、思いがけない家族の秘め事が明らかになるまでは……。妻でも母でもない道が、鮮やかに輝き出す長編小説。解説・島本理生
  • 黄昏の百合の骨
    4.2
    強烈な百合の匂いに包まれた洋館で祖母が転落死した。奇妙な遺言に導かれてやってきた高校生の理瀬を迎えたのは、優雅に暮らす美貌の叔母2人。因縁に満ちた屋敷で何があったのか。「魔女の家」と呼ばれる由来を探るうち、周囲で毒殺や失踪など不吉な事件が起こる。将来への焦りを感じながら理瀬は――。
  • 玉虫と十一の掌篇小説
    3.9
    男はもうここに戻ってくることはないだろうと女は思った――。三年間、食事をともにした男との永遠の別離を描く「食卓」他、恋によって炙り出される男と女の孤独が、かなしさとせつなさを孕んでゆらめく十一篇。短篇よりも短い「掌篇小説」には、小さく切り取られているがゆえの微妙な宇宙が息づき、無限の時間へと読む者を誘う。長篇よりもいっそう濃密な闇と静謐な光を湛えた作品集。
  • 短篇セレクション 幻想篇 命日
    4.0
    仙台の家に引っ越してから、姉の繊細な神経はますますその度合いを増していくようだった。見えないものを見、聞こえない音を聞く。それは死者の気配。(表題作「命日」より)生きているものたちの後ろにひっそりとある異界のものたちの存在。かれらは何を伝えようとしているのか。恐怖より哀しみ、不思議より美、幻想に満ちたあやしの交流を、流麗な筆致で描く恐怖短篇集。
  • 短篇セレクション サイコ・サスペンス篇1 会いたかった人
    3.8
    25年ぶりの親友との再会。TV出演した小夜子を見て連絡をとってきた女は、まるで別人のように変貌していた。うずまく疑念、そして……。表題作「会いたかった人」。他に男と女の妖しく美しい愛の行き着く果てを描く「倒錯の庭」、犬を飼い始めてからはじまる不運にみずからとりつかれていく男の物語「災厄の犬」を収録。静かな狂気を描くサイコ・サスペンス短編集。
  • 短篇セレクション ノスタルジー篇 夢のかたみ
    5.0
    一枚のモノクローム写真に秘められた懐かしくいとおしい日々の記憶。人生の晩年を迎えようとしている女性随筆家は、愛した男への思いを胸に生きてきた。だが、小さな出来事が平穏な生活にさざ波をたてる……。表題作「夢のかたみ」ほか、再会の一夜のドラマを綴る「チルチルの丘」など、遠い日のエロスを溢れるノスタルジーで描く。失われた時間への哀惜と感傷に満ちた5編。
  • 第三水曜日の情事
    4.0
    ジャネットは広告代理店に勤めるOL。女友達の何気ない言葉から、社長殺害の完全犯罪を思いつく。「第三水曜日」なら成功間違いなし。これで恋も仕事も思いのまま、と思いきや、完璧だったはずのアリバイが……。大都会を舞台に、摩天楼の迷路をさまよう男と女が抱く、恋、嫉妬、復讐心、そしてきらめく殺意! ありきたりな毎日に飽き飽きしたあなたに贈る、とびきり小粋でスパイスの効いた、ショート・ミステリー20編!!
  • 蛇行する川のほとり
    3.7
    演劇祭の舞台装置を描くため、高校美術部の先輩、香澄の家での夏合宿に誘われた毬子。憧れの香澄と芳野からの申し出に有頂天になるが、それもつかの間だった。その家ではかつて不幸な事件があった。何か秘密を共有しているようなふたりに、毬子はだんだんと疑心暗鬼になっていく。そして忘れたはずの、あの夏の記憶がよみがえる。少女時代の残酷なほどのはかなさ、美しさを克明に描き出す。
  • ダブル・ファンタジー(上)
    3.7
    1~2巻569円 (税込)
    35歳の奈津は売れっ子脚本家。仕事は順調だが、マネージャーである夫の支配的な態度に萎縮し、精神的にはギリギリの日々。そのうえ奈津は人一倍性欲が強く、躯の奥から溢れる焦りと衝動になんとか堪えていた矢先、敬愛する56歳の演出家・志澤とメール交換を始めたのを機に、女としての人生に目覚めていく。志澤の、粗野な言葉遣いでの“調教”にのめり込む奈津。そして生と性の遍歴が始まった…。柴田錬三郎賞ほか文学賞三冠受賞。文壇に衝撃を与えた迫力の官能長篇!
  • ダンス・ウィズ・ドラゴン
    1.0
    井の頭公園の奥深く潜む、夜にしか開かない図書館。生い立ちに消えない痛みを刻むオリエ。過去に妹を傷つけたことを悔やみ続ける兄・スグルと、彼を救済したい妹・マナミ。前世の記憶をもてあますキリコ。〈永遠なる〉ドラゴンに導かれるように集う彼らは、痛みとともに、それぞれの“性”と“禁忌”を解き放ってゆく。ミステリアスな官能長篇。
  • 地図のない旅 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season VIII
    4.1
    誰一人として、勝利くんを罰しようとしなかった。その結果、彼はあそこまで追い詰められたんです――中沢の言葉を反芻しながら、風見鶏のマスターは、自分がかれんの兄であることを花村家に告げに行く。由里子さん、若菜ちゃんもそれぞれのつらい経験を乗り越えようと、一歩ずつ足を前に進める。あのとき以来、時間がとまったままの勝利だったが、急遽オーストラリアから帰国することになり……。
  • チョコレートコスモス
    4.2
    1巻858円 (税込)
    芝居の面白さには果てがない。一生かけても味わい尽くせない。華やかなオーラを身にまとい、天才の名をほしいままにする響子。大学で芝居を始めたばかりの華奢で地味な少女、飛鳥。二人の女優が挑んだのは、伝説の映画プロデューサー・芹澤が開く異色のオーディションだった。これは戦いなのだ。知りたい、あの舞台の暗がりの向こうに何があるのかを──。少女たちの才能が、熱となってぶつかりあう! 興奮と感動の演劇ロマン。
  • 沈黙のひと
    4.0
    吉川英治文学賞受賞、小池文学の最高峰! 亡き父が遺した日記には娘への愛、家族との不仲、そして恋人との心の交流が記されていた。生と死、家族を問い直す魂を揺さぶる傑作!
  • つばさスペシャル きみが見つける物語 あこがれのハイスクールライフ!
    3.0
    省エネがモットーのホータローと千反田えるがナゾをとく〈古典部〉。ハルタと穂村チカが立てなおす〈吹奏楽部〉。天上天下唯我独尊の美少女、涼宮ハルヒが率いる〈SOS団〉。天下御免の学園ストーリー3本を収録。本電子書籍はオリジナル書影で構成されています。紙本と書影画像が異なりますが、本文内容は同じものです。【小学上級から ★★★】
  • 妻の女友達
    3.9
    市役所の戸籍係をしている夫と美人ではないが清楚で控えめな妻。平和で波風の立たない人生をこよなく愛する夫婦の前に、突然現れた妻の学生時代の女友達。女流評論家として活躍するスキャンダラスな女の登場が平穏な家庭をいつのまにか破滅的状況に追い込んでいく…。推理作家協会賞受賞の表題作。ありふれた日常に潜む愛憎が殺意を纏ってあなたの背後に忍び寄る恐怖の瞬間。傑作サスペンス6編。
  • てふてふ荘へようこそ
    4.0
    1巻638円 (税込)
    ある街の高台に佇む木造アパート「てふてふ荘」。敷金・礼金なし、2Kの間取りで家賃はわずか13,000円、しかも最初の1ヶ月は支払う必要なし……破格の条件に不審を抱きつつ1号室に入居したフリーターの高橋真一。翌朝目を覚ますと、見たことのない若い女の子が笑顔で座っていた。「これからよろしくね」。特異な事情を抱えた住人たちが出逢った、謎の“同居人”の秘密。切なくもほっこり心が温かくなる、おんぼろアパート物語。
  • 天使の卵―エンジェルス・エッグ―
    完結
    3.0
    芸大を目指す浪人生・歩太は、満員電車の中で恋に落ちた――。8歳年上の精神科医・春妃との激しくも切ない純愛を描いた、直木賞作家・村山由佳のベストセラーを完全漫画化!!
  • 天使の卵 エンジェルス・エッグ
    4.0
    そのひとの横顔はあまりにも清冽で、凛としたたたずまいに満ちていた。19歳の予備校生の“僕”は、8歳年上の精神科医にひと目惚れ。高校時代のガールフレンド夏姫に後ろめたい気持ちはあったが、“僕”の心はもう誰にも止められない。第6回「小説すばる」新人賞受賞作品。みずみずしい感性で描かれた純愛小説として選考委員も絶賛したデビュー作。
  • 天使の柩
    4.1
    家にも学校にも居場所を見出せず、自分を愛せずにいる14歳の少女・茉莉。かつて最愛の人を亡くし、心に癒えない傷を抱き続けてきた画家・歩太。20歳年上の歩太と出会い、茉莉は生まれて初めて心安らぐ居場所を手にする。二人はともに「再生」への道を歩むが、幸福な時間はある事件によって大きく歪められ――。いま贈る、終わりにして始まりの物語。『天使の卵』から20年、ついに感動の最終章。

最近チェックした本