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「この庭をあなたに捧げる――。」昭和27年、東京都下国分寺。広大な敷地に、全財産を投じてルートヴィヒ二世さながら華麗でシュールな西洋庭園を造った異端児・青爾。妹の婚約者である彼に引きつけられる美しい人妻・杳子。没落する華族社会を背景に、虚無と孤独と耽美の極地で、激しく求め合う男と女を描ききった、世紀の恋愛巨編。
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Posted by ブクログ
男は庭を造り、女に捧げ、女はすべてをかなぐり捨てた。 「僕があなたを恋していること、わからないのですか」昭和27年、国分寺。華麗な西洋庭園で行われた夜会で、彼はまっしぐらに突き進んできた。庭を作る男と美しい人妻。
これは止まらない!その時代の情景に絡みながら、人間の心理をいろいろな角度から捉えていく見事な構図。一気に読まずにはいられない。こわいなぁ。
予備知識なく、表紙がキレイだなぁと思い手に取った1冊。 不倫に全く興味はなく、そこに関しては何も感想はなし。 大変そうだなぁ、としか。 しかし物語の中に出てくる豪華な個人庭があるのなら、 是非行ってみたい。
亡くなった美貌の祖母の家の解体時に、「開封厳禁」という大量の書類が見つかった。そこには、義理の弟に当たる人物が作った、壮大な庭における、禁断の関係が克明に記されていた。 先に読んだエッセイから、ミステリ・ホラー作家という先入観があったのと、タイトルから、きっとなにか事件が起こるのだろうと読んでいく...続きを読むが、起こらない。内容もクラシックなロマン小説という感じで、読み慣れないジャンルともあり、なかなか読み進めることが難しかった。 ところが、内容に進展があるわけでもないが、2/3を過ぎたあたりからトリップをしたかのように読み進められるようになる不思議な感覚を受ける。 とにかく、お金持ちの男女の置かれている状況などが、すんなり受け入れられる人にとっては、マンガのようにスラスラと読める本であろう。 また、クラシックや庭のディテイル、その他周辺知識についても、非常によく調べられており、ストーリーにもじゃまにならない程度でしっかり組み込まれているため、それぞれの表現はストレートなものの、厚みが出ていると感じられる。 日記という建前もあるのだろうが、世間の動向などということはあまり考慮されない。だからこそ、少ない登場人物に集中させるあたりは、成功しているのではないか。 まあ、半分までは読むのが辛くて☆1にしたろか、などと考えていたが、途中のイベントなども、メリハリを考慮して配置されており、よく出来たストーリーである。 ただ、長い。疲れた。
映画化された小池さんの「二重生活」がとても面白かったので、「青山娼館」に続いて3冊目。 少しどんなだろうと心ひかれる設定は、お上手。帯に書かれると、思わず手に取ってしまう気になる度。 でも、3冊にして、3冊とも不倫が関わってくる。私は、不倫を目の当たりにしたこともあり、その実際の不潔さを気持ち悪く思...続きを読むっており、安易に本で煽りたてるネタではないと思っているので、不倫が出てくるとよくある設定に感じて、がっかりしてしまう。 今度は、妹が惚れてやまない相手を奪うという人間的にも下衆な関係を描いていて、食傷してしまった。 もう小池さんは、しばらくいい。
戦後数年経ったあたりの時代背景が新鮮な恋愛小説。 ルードヴィッヒ2世を知ってから読んだ方がいい。
ルードビヒ2世のシシーへの恋情がベースになっているのかとは思いますが、うーん、お貴族様すぎて、恋のなやみにも完全に共感できない。
初見で読んでるときは、狂おしいほどの愛に胸が震えました。没落する華族。それを背景とした耽美でデカダンスとも言える雰囲気は、とても壮絶。波に呑まれるように読みきりました。小池氏の作品の中でも力強い方です。ああでも、デカダンスと思ってしまう。ですが読み返すのはよした方がいいかも…。
高等遊民として生きる資産家の末裔に、上流の暮らしをさせてくれる夫がありながらも惹かれていく主人公の恋物語。 時代は、まだまだ男女が社会のしがらみにしばられていた頃のことです。 小池真理子らしい、知性があり上品でありながらも、どうにもならない男女の恋愛の刹那を描いています。 ノイシュバンシュタイン...続きを読む城を築いたバイエルンの狂王を思わせるような、自らの屋敷の『庭』にあらゆる資材と情熱を注ぎ込んでいく彼を止めることは誰にも出来ず、主人公の妹までも巻き込んで破滅へと流れ込んでいきます。 どんな風に物語が流れていくのか、とても気になってしまい、一気に読みました。 登場人物の中で一番印象に残ったのは、資産家に仕える女中さんで、こういう自分の役所をわきまえ、分を守って生きているような見事な人が昔にはいたんだろうなあと思いました。 気分転換にお勧めします。
あぁ・・って思わず心が疼き出すような作品です。何とも言えない心境です。読んだ感じはどこか官能小説に似ています。
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